橋のある風景
海に架かる
大きな橋を渡れば
水平線に触れた空に
黄金色はまだ
あたためられていて
波間に撒いた
琥珀の光は
揺れる穂のように
先を急ぐ人びとの
ヘッドライトは
いくつもの彗星
淡い飛沫を上げ
流れ流れて
滑り落ちていく
透明な額縁に
収められた
一枚の大きな絵を
眺めるように
そこに
描かれるはずのない
帰る場所を探している
どこへ向かい
どこへ帰るのか
立ち止まる
この瞬間は
いつもすべての
道の途中
夜の気配を蒼く潜め
紐解かれていくのを
静かに待つ
雲の隙間
射し込む
仄かな明かりが
細い絵筆となり
そっと
私の影を置く