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異世界に転生した私は猫である。  作者: 草川斜辺


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久しぶりの新人冒険者はなんか訳あり その5

「おにいさん達、ちょっといいかな」

近づいて来た3人の中でもっとも太っている男がいう。

私とフロリナはお兄さんではないので、ギースとエドガルに用があるようだ。ただギースはお兄さんというには年を取っているように見えのだが。


「ああ、もちろんだ」

ギースが機嫌よく答える。

「さっき、工房を覗いていたようだが何か用かな?」

太った男は不機嫌そうな表情だが、ギースが返事をしたことについては特に何もいっていない。つまり、この男からするとギースは「おにいさん」のようだ。


「ん? 物を売る商売をやってるもんでね、いい仕入れ先がないか調べてるんだ」

「ほう。で、我々のところは気に入ってもらえなかったのかな?」

太った男はそういうと(あご)に手をやる。

「まあ、なんというか...」

「そこの女、どこかで見たな...」

ギースが返事をしかけたところで、テオとかいう男が発言する。どうやらフロリナに気づいたようだ。

「え...」

下を向くフロリナ。


「そうだ、おまえ、ラスタンのところで働いていた女だな。逃げたと聞いていたが」

テオがフロリナを指さす。

「ラスタン? なるほど」

太った男はそういうと一歩前に出てくる。テオも前に出てくる。


「そういうことなら詳しい話を聞かせてもらわねえとな」

そういう太った男は、なんか、にやにやしているような感じだ。

太った男が何か小声で言うと、もう1人の男は我々の馬車の前のほうに移動する。エドガルが杖を構える。


「まあ、お前ら、みんな落ち着け」

ギースは両手で何かを抑えるようなしぐさでいう。

「確かに、俺はあんたらの商売のことは知っている。何をやってるのかとかな」

ギースがそういうと、男らはさらに一歩近づいてくる。私はいつでも飛びかかれるよう、男らの動きに注意する。


「それと、俺が物を売る商売をやっているのは本当だ。で、ここで相談だ」

ギースの返答に右目の眉を上げる太った男。器用な奴だ。今度人間に変身したときに私も試してみるか。


「ほう?」

男らはギースの提案に興味を持ったようだが、ギースがこいつらに何かを相談する予定があったとは知らなかったので私も興味がある。

エドガルがギースのほうに顔を向けたので、荷馬車の上にいる私からも彼の横顔が見えたが、ちょっと驚いているような感じだ。エドガルも知らなかったようだ。


いや、ちょっと待てよ。この前、アリナさんに対し、掃除がちゃんとできているか確認するための一覧の話をギースがしていたが、後でわかったのは、ギースはそんな一覧など持っておらず、その場の思い付きで話していたのだった。もしかして、この相談というのも今思いついたことで、内容はこれから考えるのではないだろうか。となると、ますます興味がわいてきた。

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