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行く当てがない私
アパートの部屋を飛び出たものの、行く当てもない。
かろうじて、ケータイを持ち出し、靴は履いているけど、
財布の中身は漫画喫茶で一晩過ごすには少ない。
お腹はまだすいてないけど、ファーストフードの
お店で何時間も粘る勇気なんか私にはない。
こんな時に頼れる友達もいない私は、夕焼け空を見上げて
大きなため息をついた。
「どうしてこんなことになるの。私ばっかり・・・。
私、私・・・。もう生きているのが嫌。
お父さんの元へ行きたい。」
でも、痛いのと苦しいのは嫌だ。そんな勇気もない。
母親から死んだと聞かされている天国の父親に魂の救いを
求めた時、私は八ツと気がついた。
いつも制服の上着の胸ポケットに入れている父親の形見の
御守り袋が無くなっている。
「どうしよう。どこに落としたのかな。」
学校だったらいいけど、電車とか通学路とかだったら
まず見つからないでしょ。
そうだ、とりあえず、学校に行こう。夜の繁華街を歩いたら、
また嫌な中年男たちに狙われるし、公園で野宿なんかとても
怖くてできないから。
私は、夜空の下、学校に向かった。