僕の夢
僕たちに平凡だが平和な生活が戻った。
九尾の狐に支配されていた土御門高校、そして
一木川高校から護鬼学園の五つの高校、学園も
元に戻った。
不思議なことに、九尾の狐の邪悪な企みが生徒の
頭からキレイさっぱり消えて、それぞれが将来への
夢の実現に向けて、それぞれの特技を活かして真剣に
取り組むようになった。
変わったことと言えば、土御門高校の校長が父親の
法事が終わり、元の勤務に戻った。祖父から、事情を
聴いた校長は、ものすごく感動して祖父に涙を流して
抱きついたのは言うまでもない。祖父も、喜んでいた。
校長は、殺生石に、時折、花を添えるようになったという。
そして、陳 桃陽が香港に帰るというので、みんなで
羽田空港まで見送りに行った。
可笑しなもので、一緒に過ごした時間は短く、退魔師の
修行はとっても過酷で、九尾の狐との闘いは酷いものだった
けど、今となってはとっても懐かしく思える。
「あっ、そうそう。」
この女は最後の最後まで、人騒がせだ。
祖父の手を引っ張って、僕たちから離れたところで、
何やら耳元で囁いた。
何を言っているのかは、わからないが、祖父がかなり
動揺しているのが、誰の眼にもわかる。みんな、戻って来た
祖父を見てニヤニヤ笑う。きっと、春李さんがらみだろう。
「何が可笑しい。ワシは、ちっとも可笑しくないぞ。」
拗ねる祖父を見て、奏絵さんだけは、顔では笑っていたが、
女のカンで、視線が怖い。
陳 桃陽は、僕の方にも近づき、囁いた。
「どう、香港に来ない。本格的な退魔師の修行してみない。」
「折角ですが、遠慮しておきます。僕の夢は、退魔師じゃないから。」
僕はキラちゃんの手前、はっきりと言った。僕はキラちゃんと、
未来を固く誓い合っている。
「そう、残念。じゃあ、みんな、有難う。お世話になりました。
また、どこかで逢えたら嬉しいな。」
そう言って、自称・香港一の退魔師は日本を去って行った。
この広い青空は、日本と香港だけでなく、世界に未来永劫
つながっているんだな。
最後まで、お付き合いくださりありがとうございました。
前作の「僕は君たちの玩具じゃない」の続編ですが、ありきたりの
恋愛小説を書くのが嫌だったので、オカルトの要素も組み込み、
こんな作品になりました。
僕がお気に入りのキャラに、新しく、前田三四郎と陳桃陽が、
加わりました。
また、構想がまとまり創作意欲が溢れたら、彼らも巻き込んだ
作品を書きたいと思います。
その時は、どうかよろしくお願いします。
風邪、インフルエンザが流行ってきました。
充分に、お気をつけ下さい。
では、失礼します。