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僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
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若い者は若い者同士なんて

「若い者は若い者同士で、どうじゃ。」「そうですね。」

 祖父と奏絵さんは、ちゃっかり高見の見物を決め込んでいる。

「行くぜ、みんな。心のエンジン、バリバリだぜ。」

 龍美が昭和のヤンキーみたいな台詞を吐いて、鼓舞する。

「散。」

 僕たちは、陳 桃陽の合図で、散らばった。

 打ち合わせ通り、上から見ると男、女、男、女、男、女と

珠美を中心に大きな円を描いている。そう、六芒星である。

 祖父たちのこの前の闘いから、僕たちの未熟な手裏剣術は

やめることにした。珠美の念動力で弾き返される前に、同志打ちを

する恐れがあるからだ。代わりに、八鋒輪宝はっぽうりんぽうを投げることに

決めている。本来は、古代インドの刃が複数ついた円盤の武器だが

僕たち若者が使いやすいようにと、刃はつけていない。

 その代わり、林崎 武が僧侶として修業したお寺の一番偉い人に

事情を話して、大威徳明王の怨霊調伏法をほどこしてもらっている。

「投」

 僕たちは、手にした八鋒輪宝を陳 桃陽の掛け声で一斉に、投げた。

「気をつけろ。」

 玉藻が、珠美に叫んだ。確かに、念動力が通用しない。

 珠美の顔面、心臓、水月、後頭部、腎臓、腰を狙った六つの

八鋒輪宝が正確にハヤブサのように襲ってくる。

 霊力が込められているから素手で打ち払うのは、危険だし、

全部避けきる自信はないから、仕方ない。

 珠美は、高く跳ぶことなく、このピンチを切り抜けた。

 六人に分身して、僕たちに襲い掛かってきたのであった。

「ちょっと、聞いてないよ。」と僕が叫ぶと同時に、「スゴイ。」

「近寄らないで。」「面白い。」「マジ。」「スゲエ~。」と、

仲間が叫んだ。

 実際に、僕たちはそれぞれに武術、武道の修行をしているが、

珠美の動きは人間離れしていて、しかも体術は中国拳法の五獣拳を

はるかに超えるものであった。中国千年の歴史と伝統を感じた。

 頭巾、手甲、銅、拗ね当ての内側に仕込んだ護符の霊力のおかげも

あって、僕たちはけっこう善戦したが、やはり押されている。

 このままでは、危ない。やられるのも、時間の問題だ。



 

 

 

 

 

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