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僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
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教室で見たものは・・・・

「ねえ、佐藤君、あんなのが趣味なの。」

「何言ってんだ。わかってるくせに、僕が好きなのは

君だけだよ。」

 誰もいないと思っていた教室で佐藤君が誰かと抱き合っているのが

一瞬見えたので、私は廊下にしゃがみこんだ。

「本当。」

「本当だよ。クラスでイジメとかあったら、僕の管理責任を

問われるから、仕方なくやってるんだよ。担任にしかられるし、

内申書に響くからさ。じゃなければ、誰が、あんな三つ編みの

牛乳瓶眼鏡女なんか、相手するものか。」

「わあ、ひどいなあ。でも、僕、嬉しいよ。」

 二人の熱い抱擁、お互いの心を確かめる体の音が聞こえてきた。

 冷たい廊下にお尻を着いて、両耳を覆っていた私は、わかった。

 佐藤君の相手は、自分のことを僕と呼ぶ女の子じゃなかった。

 クラス一の秀才、菅田優紀君だった。正真正銘の男子だ。

『ひえ~、BLかよ。』

 十人十色、人生色々だし、恋愛は自由なのはわかっているけど、

まさか、まさか、同じクラスで、憧れの佐藤君が・・・・。

 道理で、学校中の美少女たちにがコクられても、断るはずだ。

 納得したけど、ショックは大きい。

 私は小学校の時から、悪口を言われるのは慣れているけど、

これは免疫がない。生まれて初めての経験だ。

 すっかり動揺した私は、鞄を教室に置いたまま、その場を

立ち去ろうとした。

『いいんだ、どうせ、家に帰っても、勉強なんかできる

環境じゃないんだから。』と、急いで階段を降りようとしたら、

転んでしまった。どこまで、私は不幸なのよ。

「痛たたた・・・・」

 その音に気が付いた二人が、慌てて階段に駆け付けてくれた。

「大丈夫かい。怪我はないかい。」

 佐藤君が優しく声を掛けてくれるが、この男、信用できないでしょ。

「大丈夫です。教室に忘れ物を取りに行こうとして、転んでしまいました。」

 佐藤君の横で、菅田優紀君が無言のまま冷たい視線を送ってくるので、

いたたまれない。

 私は、教室から自分の鞄を持って、学校を飛び出した。

 ある意味、鞄にはケータイとお財布、電車の定期が入っていたので

ラッキーだったかな。

 空を見上げると、夕焼けがうっすらと見えた。



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