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僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
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退魔士短期養成塾

 若者6人がそろった。祖父と奏絵さんも加わり、次の日から、

退魔師短期養成塾が祖父の道場で開講された。

 講師は、もちろん、自称、香港一の退魔師、陳 桃陽だ。

 東洋が生んだ奇跡の美少女とも言ってるが、まあ許す。

 それだけのことはあるけど、あの女王様気取りの性格は

嫌だな。とにかく、僕は、一生キラちゃん派だから。

 退魔師としての基礎知識、仏教の教えと中国独自に発展

体系づけられた陰陽道の原理、陰陽五行説や天人相応説やら、

何が何だかで、こんなこと覚える暇があったら、新しい英単語の

一つでも覚えたいよ。そもそも、僕の将来の夢は退魔師じゃない。

「おい、おまえ。聞いてるか、集中しろ。」

 突然の陳 桃陽の叱責。僕かと思ったら、龍美だった。

「仕方ないじゃん。私、頭悪いから。もっと、体を使った

実戦的なの頼むわ。」

 おや、おや、学校でのアイドルきどりとは違い、ここでは

デビルドラゴンに戻っている。その方が、こいつらしい。

「仕方ない。そうするか。」

 陳 桃陽は、僕に古い畳を用意させる。

 一尖  ヒョウ1本を投げつける。基本中の基本から、始まった。

 祖父と奏絵さんは手裏剣術の達人だから、ヒョウも、ビシバシ

的に当たる。直打法も反転打法も自由自在。

 僕とキラちゃん、三四郎君は、悪戦苦闘だ。僕ら、若い世代は、

ダーツなら得意なんだけど。意外なことに、龍美が得意だった。

「そなた、手裏剣はどこで修行した。」

「ないよ。死んだ祖父さんが、手裏剣術の免許皆伝で修行しているのを

見たことあるから。」

 不思議に思った祖父が尋ねると、本人はサラッと答えるから、嫌になる。

 見ただけで、できるんかい。

「もしや、白木とは。」

「うん、本家は白井、分家だよ。そんで、死んだ祖父は豪龍だよ。」

「何じゃと。」「何ですって。」

 祖父と奏絵さんがハモッタ。若い頃、ともに白井流手裏剣術の宗家の元で

修行した兄弟弟子だったのである。二人の龍美を見る瞳には、たとえようも

ない感動があふれていた。昭和か。

「はい、はい、昔話は後。次。」

 陳 桃陽は、非情だ。年寄りの折角の感動話なんか、聞く耳持たない。

 ニ直  陰陽2枚の避災符で敵の攻撃を禁じ防ぐ防禦技。

 これは、僕たちダーツ派でも、できる。

三運  紐を結んだヒョウを操り、敵に絡めて禁術を発動する。

 紐を結んだヒョウの扱いは、祖父が一番上手かった。本人曰く、

鎖鎌に通じるものがあると。はい、はい、一芸に秀でる者は、多芸に

通じるだね。

四爆  爆雷符を用いた攻撃。敵に突き刺し爆破・破壊する。

 これは、室内では無理。庭でやったら、ご近所からの苦情では済まない。

警察と消防車が殺到する。僕たち、テロリストとして逮捕されちゃうよ。

五斧  気の奔流を束ねた一撃。雷斧とも称される大威力の格闘系攻撃技。

 これは、武が、一番上手かった。本人曰く、刀も斧を同じだと。

 僕とキラちゃん、三四郎君は、金太郎じゃあるまいし、渋々稽古する。

 単なる当身技なら、得意なんだけどね。

六貫  紐を結んだヒョウを急所目掛けて投擲する攻撃。貫通性が高い。

七排  霊符を刺したヒョウによる投擲攻撃。結界の展開にも応用される。

八弓  地に刺したヒョウと手に持つ符によって展開される強力な結界。

 祖父と奏絵さんは、二人でデートを楽しむかのように、熱中している。

 こりゃあ、ボケることなく長生きするな。

九爪  符を刺したヒョウを手にした格闘系攻撃技。

 これは、僕とキラちゃん、三四郎君は、ハマった。

十翼  極短時間の飛行能力を得る。

 これは、みんな無理だった。あのアニメの戦闘民族みたいな舞空術は、

できるはずがない。

十一閃 閃光による目眩まし。霊的ジャミング効果もあるため妖怪にも有効。

十二散 周囲に大きく広げて投げた爆砕符を起爆させる広範囲制圧系攻撃。

 これらも、室内では無理。説明聞いたんだけど、何でこんな危ない技

多いんだよ。こんな技習得しているから、あんな性格になるのかと、心の中で

毒を吐く。

十三連 予め服や鎧に仕込まれた防禦用の符。事前に指定した属性の攻撃を

軽減できる。これは、全員、OKだ。しかし、どんな属性の攻撃を仕掛ける敵か

わからないから、油断禁物だ。

十四打 霊縛符による結界技。特に魔を縛り付けるために用いられる。

 これには、かなりの修行がいるらしい。僕らのにわか仕込みの霊力では、

無理みたい。

十五折 十五雷正法最大の攻撃術。爆砕符15枚を用い、あらゆる妖怪を

微塵に粉砕する。

 これは、祖父でも絶対に無理。陳 桃陽に任せるしかない。

 こうして、僕たちの修行は続いた。


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