太陽と北風作戦
あと、一人。退魔師の陳 桃陽、僕とキラちゃん、白木龍美、
そして林崎 武。妖怪、九尾の狐と闘うには、一人足りない。
生徒会室で事情を説明していたら、やはり恐れていたことが
起こった。
「私、妖怪とか、そんなの無理、無理、無理。絶対。嫌だからね。
龍美は、人間の皮を被った悪魔のくせにビビりだ。幽霊とかに弱い。
「大丈夫、相手は人間だ。実態はある。」
陳 桃陽が説得にかかるが、聞く耳を持たない。僕たちに、背中を向ける。
「どうする、近藤君。このままでは、我々も、鬼にされるのかな。
きっと、君のことだ。森さんを死んでも守るって、死ぬんだろうな。」
何を言い出すかと思ったら、武の瞳が大丈夫、僕に任せてって言ってる。
「えっ、死んじゃうの。あいつを守るために・・・・。」
龍美が振り向く。
「仕方ないよね。僕も、森さんを守るために、闘うよ。龍美さんは、一人、
生き延びればいい。誰も責めないから。」
そうか、北風と太陽作戦か。流石、学年一の秀才だな。
「ええ~い、わかったよ。やるよ。やるから。その代わり、
私にも条件がある。」
転んでもただでは起きない龍美の申し出は、僕は速攻で拒否した。
しかし、今度は、僕が北風と太陽作戦にはめられることとなった。
悪魔と堕天使に破戒僧が加わったみたいな。
やっぱり、こいつらに関わると、ろくなことはない。




