立派な生徒会長
ビシッ、ビシッ
武は、弾きを右の掌で連続して打ち出した。弾きはボクシングで言うところの
ジャブにあたるが、浸透性のある打撃だ。
桃陽は余裕で受け流すが、次の攻撃には意表をつかれた。
武は、右の掌で曲がりを打ち出した。曲がりは、肘を起点にし、回転しながら、
振り上げ、落ちてくる力を利用して、相手の死角をつき打つ技である。
武の構えから、左利きと誤解し、左手による攻撃を警戒していただけに、
反応が一瞬遅れた。鉄壁の化剄が、不完全だ。並みの武術家なら、相手の攻撃を
見失い、あっと思った瞬間に頭を揺らされ、気持ちよく眠るであろう。
武は、その隙を見逃さず、畳みかける。逆回し蹴りだ。
至近距離から、右足を軸に体を反回転し、地面に右手をつき、左足で相手の側頭部を
蹴り上げる。非常に防御しにくい技であるが、桃陽の体がスウ~と沈んでかわす。
グエッ
かわすだけですむはずがなかった。武の金〇をグワッと鷲掴みにする。
「離せ。」
武は、そのまま右足で蹴りを入れる。桃陽は、余裕でかわし、間合いをとった。
「成る程、立派なものだ。これ以上やると、私も本気を出さざるを得ない。
生徒会長に怪我させて、病院送りもやぶさかではない。それより、お前、
生徒会長だよな。全校生徒のためなら、何でもするよな。」
右手の感触を確かめながら、こんなこと言うなんて、エロイ堕天使だよ。
実際、股間の痛みに耐えながらも、少し新しい感覚に目覚めた武は、
生徒会長の使命を果たすべく、僕たちの仲間に加わることとなった。
何だか、可哀そう。同情するよ。




