悪魔と堕天使が、坊主を挑発する
「おい、何してる。」
騒ぎを聞きつけた生徒会長がやって来た。
林崎 武。居合道の達人にして学年一の秀才。
森 星明の元カレで、クリスマスの夜、僕に決闘を申し込み、
破れ、出家した。潔く、今は坊主頭なんだけど、それはそれで、
セクシーだと騒ぎ立てる女子も多いから、好きにすれば~かな。
「おい、おまえ、少しはできそうだな。かかってこい。」
出たあ~、私は東洋の女王様よとばかりの、いきなりの上から目線。
「それはできない。君に怪我でもさせたら、国際問題になる。
生徒会長として、それはできない。」
武は、挑発に乗らず、あくまで冷静に優等生の答えだ。
「おまえさ、そんなんだから、あいつに愛想を尽かされ、こいつに
持っていかれたんだろう。男なら、やらんかい。金〇ついてんだろう。」
来たあ~、龍美のタイムリーヒットと言えるこの発言。傷つくよな。
「成る程ね。可哀そうに・・・・。」
日本と香港でこれほど、性格の似た女子がよくいたもんだ。僕には、
この二人が、悪魔と堕天使に見えるよ。
桃陽の冷たい見下した視線に耐えられる男子はいない。
「よかろう。これも、国際交流の一環だ。お相手しよう。」
武は、右足を前に半身に構えた。両肘を脇につけ、両手を開いている。
やっぱり、骨法だ。しかも、あれから、相当の修行を積んだと見える。
これは、要注意だぞ。
「何だ、お前、坊主のくせに少林拳じゃないのか。まあ、何でもいい。
かかってこいや。」
「では、お言葉に甘えて。」
武は、スルスルと間合いを詰めた。




