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僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
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祖父たちのデートはバスケット観戦

 僕たちが酷い目にあっている時、僕の祖父とキラちゃんの

祖母は、僕が睨んだ通りデートだった。

 デートの場所は、都立体育館、関東大会女子バスケットボールの

決勝会場。

 祖父と同じく大東流合気柔術の達人である奏絵さんは、ひょんな

ことから女子バスケットボール部の特別コーチを頼まれ、指導している。

 大東流合気柔術とバスケットボールは、一体どんな関係があるのか

不思議に思って聞いてみたことがあるんだけど、祖父が語るには、

古武術バスケットと言って古武術を取り入れた高校が実際に存在し、

確実に力をつけ、今では強豪校として名を連ねているとのこと。

 奏絵さんが特別コーチとして指導している女子バスケットボールも

然りじゃと。自分のことのように自慢するのが、聞いていて面白かった。

 さて、奏絵さんが応援する朱雀高校と対戦するのは、準決勝で

昨年度の優勝校の美雲学園高校を102対51とダブルスコアーで

打ち破った二木川高校であった。地区大会一回戦負けの弱小チーム。

 それが、突然生まれ変わったように強くなったらしい。

 まず、フルタイム、スタメンが出ずっぱり。驚異のスタミナだ。

平均身長は、170cmと普通だが、ジャンプ力はけた違いで、全員が

女子ながらにダンクシュートができる。しかも、反応スピードがハンパなく、

コートの端から端まで余裕でパスができるくらい肩の力も異常だと。

「怪しいですわ。」「確かに。」

 決勝前のアップを見ていた奏絵さんと祖父が気が付いた。

「人間業ではないようじゃ。」「物の怪が憑いているようですね。」

 亀の甲より年の劫、僕たちと違って、この二人は即座に気が付いたようだ。

 ピ~

 アップの時間が終わり、両チームがコートの真ん中に整列した。

 主審が笛を吹いて、試合が始まった。

 試合は一方的に終わるかと思いきや、朱雀高校は喰らい付いた。

 第一ピリオド 10対2。負けてはいるものの、ロースコアーに抑えた。

 相手の二木川高校はあくまで無表情だったらしい。

 第二ピリオドで、23対20と詰め寄る。相手は個人プレーが多く、

シュート率が悪いので、その隙を付く。全員が一致団結して、戦う。

 ハーフタイムは両チーム対照的であった。二木川高校は、無表情に

ベンチに座り、各個人が一言もしゃべらない。

 対する朱雀高校は、キャプテンの元に集合し、作戦板で頭を突き合わせる。

本当はベンチに座りたいほど疲れているが、最後の最後まであきらめない。

 みんなで、色々と作戦を練る。こんな楽しい女子会はないとばかりに、

ベンチ入りのメンバーも一緒だ。チーム全員、瞳が輝いている。

 女子高校生特有の熱い燃えるようなオーラは、眩しいかぎりだ。

 ズブの素人でルールも覚えられない大学を出たばかりの男の監督は、

黙って見守るしかできない。奏絵さんも、可愛い孫たちを見るかのように

優しい眼差しであった。

 第三ピリオドで、36対36。とうとう、ついに、やっと追いついた。

 この頃になると、相手の二木川高校にイヤな空気が漂い始める。

 口には出さないがお互いを責め合っている、冷たい視線で睨み合う。

「これです。私が見てほしかったのわ。体が大きく力が強い者が勝つのは

当たり前。体が小さくても力が弱くても相手に勝つのが武術。スポーツも

同じだと私は思っていました。いかがかしら。」

「確かに、その通りじゃ。」

 熱く語る奏絵さんに、祖父は頷く。




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