表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
13/46

新しい玩具

 私が人生に絶望した夜、玉藻の封印を解いた日から

早くも一週間経った。

 私の人気はとどまることはなく、天にも昇る勢い。

 全校生徒だけでなく、すべての教師も意のまま、

忠実なるシモベと化している。

 今や、この学校は私の手中、いや玩具箱となっている。

あんなこと、こんなこと、色々、実験したりしているもんね。

 そんなある日の放課後、私の脳に直接語りかける者が

現れた。精神感応だ。

「妖怪、おまえの悪行もそこまでじゃ。滅殺してくれる。」

「こんな可愛い女子高生に向かって、ヒドイじゃないの。

 お仕置きしてやるから、どこへ行けばいいの。」

「決まっておる。おまえが封印されていた殺生石が置いてあった

場所じゃ。逃げても、無駄だからのう。逃しはせぬ。」

「誰が、逃げるかっちゅうの。首を洗って、待っててね。」

 私は新しい玩具を与えられたように嬉しくなり、階段など

チンタラ使っている時間が惜しくて、三階から飛び降りた。

 下校途中の生徒たちが拍手喝采する中、決戦の場所へと

疾風のように駆けてゆく。

 そこに待っていた者は、頭に黒い変な帽子をかぶり、全身

白装束に身を包んだ初老の男だった。

「気を付けるのじゃ。そやつは、陰陽師じゃ。」

 珍しいことに、玉藻が語りかけてきた。実は、玉藻は封印を

解かれた後、私の体の中にいる。

 普段は、眠ったかのように表に出てくることはないのに、

よほど危険な強敵なのだろう。

「へえ~、陰陽師なの。初めて見た。で、あんたもスケートやるの。」

「たしなみ程度ならじゃなくて、馬鹿者。お主、陰陽師を知らんのか。」

「全然。」

「まったく、今どきの若い者は、何も知らぬ。そのくせ、アイススケートの

あの若い人気選手が陰陽師をお手本にした演技をしたことは、知っておる。

困ったもんじゃ。」

「愚痴はいいから、早く教えてよ。」

 年寄りは、だから嫌なのよね。

「その身を持って、知るが良い。」

 陰陽師は、生意気にも私に言うではないか。

 そして、人知を超えた対決が開始されることとなった。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ