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僕の夢は 退魔師じゃない  作者: 三ツ星真言
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私の神通力

ピ~

「集合。」

 さあ、お待ちかねの体育の時間がやってきた。

ショータイムだぞっと。

 セクハラ野郎、体育教師の福原は私の体操服姿を

見て、涎を垂らさんばかりに興奮している。

 玉藻の力で、私のポッチャリ体型が、スレンダーで

ボン・キュン・バンに変化しているからね。

 準備体操中、私の揺れるDカップの胸を見て、今にも

襲い掛からんばかりだ。

 そう言えば、昨夜、玉藻が妙なことを言っていた。

「そなたは、狙われているのではない。

 そなたが、男どもを引き寄せ、狂わしておるのじゃ。

 ホルモンをまき散らせておるからのう。」

「あのう、ホルモンまき散らすって、スプラッターですか。

 私、そういうの、苦手なんですけど。」

「・・・・・・」

「だから、血が流れたり、内臓が飛び出るのを見るのが

嫌なんです。」

「オホホホ。今のは、ジョーク。アメリカン・ジョークって

いうものじゃ。フェロモン、そう動物が異性を引き寄せる分泌物。

 そなたは、男性に対して発情(興奮)を誘発させる性フェロモンが

人一倍濃いのじゃ。」

「へえ~、そんなこと、思いもしませんでした。」

 自分で、自分の脇の下とかを嗅いでみたが、わかんない。

「それだけじゃないぞよ。そなたは、その三つ編みと牛乳瓶眼鏡で

自らの女の魅力を封印しておる。完全でないがゆえに、男どもは

そなたに引き寄せられるのじゃ。そなたは、美しい。自信を持て。」

「ありがとうございます。」

 生まれて初めて褒められたので、天にも昇るくらい嬉しかった。

 私が昨夜の玉藻とのやり取りを思い出して、ニヤニヤしていたら、

セクハラ体育教師・福原が大声を上げた。

「おい、清廉、何が可笑しい。真面目にやれ。」

「真面目にしなければならないのは、先生でしょ。」

 いつも大人しい私が、先生に口答えするもんだから、クラスの女子は

眼が点になっていた。一部のヤンチャな女子は、秘かに心の中で私を

応援している。

 そう、今の私には、他人が何を考えているのか、心の中までわかる。

読心術、玉藻の言うところの神通力の一つだよ。

「何だと。この野郎。」

 生徒の前で恥をかかされた福原が私の肩を突き飛ばそうとしたが、

それは無理というもの。私が軽くかわすと、バランスを崩し、体育館の

床に倒れそうになった。

「ダサッ。」「いい気味よ。」

 大人しい女子からも嘲笑が起きたもんだから、福原は顔を真っ赤にして

わめき散らす。

「清廉、コートに入れ。その曲がった根性を叩き直してやる。」

「寝言は、寝てから言えば。」

 私の挑発を聞いたセクハラ体育教師、自分自身、大学までバレーボールを

やっていて、現在、女子バレー部の顧問をやっている福原は、怒りのオーラを

身をまとい、絶対の自信を持って、サーブを打った。

 かなりのスピードでしかも性格が表れているくせ玉、クラスの誰もが

私が顔面血だらけで救急車で運ばれると思っている。

 ところが、顔面血だらけで床に倒れたのは、福原だった。

 私は余裕でレシーブをすると、ネットの前に行き、自分でトスを上げた。

 ネットより2mは高く上がったボールを私はジャンプして、アタックした。

 軽く打ったように見えたが、狙いも正確で、風を切り福原の顔面にぶち

当たった。私が本気で打ってたら、死んでるよ。

 これも、玉藻の力。運動音痴の私の身体能力は、オリンピックの金メダル

選手を超えるほどにレベルが上がっている。もはや、人ではない。

「キャー」「今だ。」「やっちまえ~。」

 クラスの女子がこれ幸いと気絶しているセクハラ体育教師に集団で

蹴りを入れている。怪我を負ったライオンに群がるハイエナみたい。

 多かれ少なかれ、クラスの女子はこいつから、セクハラ、パワハラを

受けて、恨みを持っていたようだ。

 そう、これも玉藻の力。人が心に秘めている欲望、願望を刺激し、実際に

行動に移らせる。マインドコントロールなんて生易しいもんじゃないからね。

 


 

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