変身した私
「おい、あれ、誰だよ。」「あんな可愛い子、いたか。」
「わあ、素敵。あそこまで、うちの制服を着こなすなんて。」
「ウオーキングなんか、パリコレものよ。」
私が、校門に入った途端、男女を問わず、私をガン見する。
「おはようございます。セクハラ先生。」
他の先生たちと玄関で朝の生活指導を行っているあのセクハラ
野郎、体育教師の福原に意地悪く挨拶をしてやったら、メロンが
入るくらい口を開けて驚いていた。
「おは、おま・・・・」
まったく、言葉にならない。
でも、これくらいですまないからな。体育の時間が、楽しみだ。
教室の自分の席に着くと、クラスメートが大騒ぎ。
他のクラスの連中も、わざわざ私を見に来る始末。
今日の私は、いつもの自信のない不幸を画に描いたような
私とは違う。三つ編みをほどき、ざっくり肩に流しているが、
カール感の強い巻き髪で、無造作にそれでいてちょうどいい
上品さと可愛さを出している。それだけではない。
牛乳瓶眼鏡は外している。コンタクトに変えたんじゃないよ。
視力が上がったんだ。睫毛も、つけまつげじゃなくて、本当に
1cm伸びた。リップを塗らなくても、唇の色もめっちゃ潔い
ヌードカラーになっている。
これも、玉藻が与えてくれた力。
クラス全員が、私の変わり様に釘つけになっている。
「どこのエステかしら。」「整形じゃない。」「でも、一晩で無理よ。」
色々、噂しているのが聞こえてくる。
佐藤君と菅田君なんか、私を見つめる表情がめっちゃ面白い。
生まれて初めて女性を好きになったみたいなだ。
私、生まれて初めて、学校生活が楽しいと思ったよ。