朝の満員電車(起の章の始まり)
前作、「僕は君たちの玩具じゃない」の続編を書きたくてしょうがない。
でも、主人公の祖父の昭和ロマンス、雪降る中の死闘も書きたいし、
主人公と恋人の関係がどうなるかも書きたいし、電龍組の龍美の
キャラも捨てがたいし、なかなかまとまりません。
そんで、今回、とりあえず、前作にオカルト要素を組み込んで、
こんなお話にしました。
どうか、お正月の特番と思ってお付き合いください。
「止めて下さい。止めて・・・」
五月の下旬、朝の満員電車で、今日も私は痴漢に
あった。時間をずらしても、車両を変えても、同じ。
毎日、痴漢に遭うが、私の必死に助けを求める声は、
誰にも届かない。
本当は聞こえているのに、誰も関わり合いを避け、
99.99%、見て見ぬふりを決め込んでいる。
それに、私が大きな声を出しても、その卑劣な
薄ら禿げの中年男をよけい興奮させるだけで、
とっても虚しくなる。
「何で、私だけ・・・。」
他にも、もっとキレイで可愛い女子高生はいるのに、
何故か私だけが、狙われる。
誰かに動画を撮られ、ネットでばらまかれないか、
いつも心配するけど、今のところは安心かも。
それにしても、今日の痴漢は、随分慣れている
感じがする。
「そこは、駄目。嫌・・・」
私の救いを求める声は、誰にも届かない。
苦痛と絶望感に涙が出そうになる。
耳元で痴漢のいやらしく荒い鼻息に、首を横に
振るしかない。身をよじりながら、声を出さないように、
時間が立つのを我慢するしかない。
やっと、その卑怯な痴漢が、どこかの駅で降りて、
私は解放された。
私は、通う高校のある駅で電車から飛び降り、
改札口を駆け抜けた。
空だけは、晴れ渡っている。