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EX-6 白い一人と一羽

気が付けば二カ月更新していませんでした……。


【後書き劇場EX】


『フレーレがおかしくない?』


おかしくないよ、あんなもんだろ?


『そうかしら……?』


 『それ』は一瞬だった。


 削夜とルーナが「あっ」と言った時には、すでに通路の向こうで男……陽が血まみれになり、綾香の手に頭が握られていた。


 「み、見えなかった……!」


 「俺もだ……」


 「コケー……」


 ゴクリと、削夜とルーナが喉を鳴らして綾香に近づいていると、綾香に食って掛かる女の子、フレーレを見てルーナが声をあげた。


 「あー! フレーレ! あなたもこっちに来てたのね、良かった、知り合いに会えて」


 「いきなりなんですかあなたは! ……って、あれ? ルーナ? ルーナじゃないですか! あ、ちょっと待ってくださいね≪リザレクション≫」


 「わ!」


 フレーレが魔法を使うとみるみるうちに陽の傷が塞がり、目を覚ました。

 

 「大丈夫ですか陽さ……」

 

 フレーレが掴まれた陽に声をかけようとすると、サッっと綾香が立ちはだかった。


 「……どうやら陽が世話になったようね。私は雨宮 綾香。陽の彼女よ」


 「あ、そうなんですね! 私はフレーレと言います」


 ポンと手を打ってぺこりとおじぎをするフレーレに困惑しながら陽を立たせて声をかける綾香。

 

 「で、どういうことか説明しなさいよね?」


 「いたた……お前ちょっと手が早すぎるぞ!? 先に聞くもんだろ、常識的に考えて!?」

 

 「それだと逃げるかもしれないじゃない」


 「それで瞬〇殺される身にもなってみろ、弁解前に死ぬぞ……あー首が痛い……」


 陽と綾香が言い争っている横ではルーナがフレーレに抱きついて話しかけていた。


 「私だけかと思ったけど、良かったわ。無事に合流できたのもね! それで、フレーレ達はどこから?」


 「私達は同じ部屋で目を覚ましたんですけど、こっちの通路の一番向こうでしたね」


 「私と同じ階だったんだ、ちょうど逆になるのかな?」


 「わんわん!」


 「そうなんですね。あ、シルバにシロップ、レジナも!」

 

 フレーレが狼達に囲まれていると、削夜が首をコキコキと鳴らしている陽へと話しかける。


 「ここに来るまで何か変わったことは無かったか?」


 「お、あんた……ゴミ捨ての兄ちゃんか? 前のアパートの?」


 「そこは覚えてるのか……なんでだ……ま、まあいい。それで?」


 「変わったことって言われても俺達も適当に歩いてきただけだしな。あ、でも来る途中部屋を調べたりはできたな」


 「そうなのか? 俺は下の階から来たんだけど、ドアはまったく開かなったんだよな……」


 削夜が顎に手を当てて考え込んでいると、フレーレがベティちゃんを抱えながら元気に言う。


 「わたしが壊しました! 結構簡単に壊れましたよ? わあ、綺麗な羽ですね」


 「コケー♪」


 ガクッと膝を崩して削夜がこけ、ルーナが困った顔で笑っていた。


 「この子すぐに力で解決しようとするから」


 「格好からして全然そうは見えないんだが……」


 「えっと、出月さんで、良かったですっけ? フレーレさんは侮ったらダメだ」


 「削夜でいい。そっちも陽でいいか?」


 「それで。で、さっきの話に戻りますけど、どうもこの館の主人が書いたと思われる日記を見つけました。内容を見たんですけど――」


 陽は日記を開きながら、館の主人は別世界から人を呼び出すことができるということ、そしてどこからか連れてきた女性を監禁していたであろうことを伝えてた。


 「……ここがどこか分からんが、とりあえず主人とやらを探すのが先決か?」


 「そうね、私達以外にもここに召喚された人は居ないのかしら?」


 「それぞれ関係者がセットで来ているなら、ウチは後フィリアが居そうだけど……」


 綾香を引きはがそうとしながら陽が言うと、削夜が口を開く。


 「どうかな……さっき嫁のアリシアが居たけど、偽物だった。出会うことはあるかもしれないが、一度警戒した方がいい」


 「え、ご結婚されてるんですか!」


 「コケー」


 「え、四人も…ですか!? 何でしょう、お、王族の方とか、ですか?」


 「コケッコ」


 「すごいですね! 王子様じゃないですか! 確かに顔はかっこいいかも……え? そこじゃない?」


 勝手に話をするフレーレとベティちゃんに少しイラっとしながら削夜が叫ぶ。


 「ちょっと責任者、あの子を黙らせろ! 話が進まん! ベティちゃん、こっちこい!」


 「コケ」


 いやいやと首を振るベティちゃんがフレーレの肩へと鎮座した。


 「ぐぬ……こいつ……」


 「フレーレ、ややこしくなるからちょっとだけ喋るのやめてね?」


 「分かりました!」


 「ああいう女は危険なのよねー」


 「フレーレさんはお前より年上だからな? とりあえず偽物がいるのは分かりました。これからどうします?」


 「こほん……じっとしていてもしょうがないし、移動しよう。俺は一階から、残りは二階のそれぞれから来ているみたいだし、それ以外の所へ行ってみよう。しらみつぶしに探せば館の主人なり、監禁されている人……生きているか分からんけど会えるだろ」

 

 削夜が言うと、全員が頷き再び歩き出す。結局呼び出された原因は分からないままだが、メンバーが増えるのは心強いと誰もが思っていた。

 

 五人と三匹は廊下を歩き続ける(一羽は肩)も、進展は無かった。

 

 「……ここもダメか」


 「部屋は基本的に入れ無さそうですね」


 削夜と一緒に前衛に立つ陽がドアノブを回しながら言うと、フレーレが首を傾げながら言い放つ。


 「壊しますか?」


 「流石にそれは無理じゃない? 私達も何度か試したけどダメだったわよ」


 「……いや、アリかもしれないぞ綾香。この日記を手に入れた部屋はフレーレさんが壊した部屋からゲットしたんだ」


 「そうなの? あ、もしかして……」

 

 「そうです! 聖魔光です! やってみますね」


 フレーレが構えると手がぼやっと光り出し、それを見て削夜が驚きの表情になった。


 「(あれ? シャイニングブレイカーっぽいな……!?)」


 「行きます!」


 フレーレが一気に拳を突きだすとドアが光りに包まれた!


 ドゴン!


 「やったか!?」


 「痛いです……」


 ガクっと崩れるメンバー。ドアはビクともしていなかった。


 「やっぱあれかな、イベント用のドアしか開かないって感じなのかね?」


 「あ、ゲームみたいな? 日記があったから開いたみたいな?」


 「何となく分かるのは現代人のサガか……」


 「ゲーム? イベント?」


 「がう?」


 陽と綾香の言葉に削夜が疲れた様に呟き、ルーナがレジナと一緒に首を傾げていた。そこに肩に乗っていたベティちゃんがフレーレに向かって鳴いた。


 「コケ、コケッコ」


 「手伝ってくれるんですか?」


 フレーレが再度構えると、フレーレの拳とベティちゃんが光り出した!


 「フレーレ、行くわ……よ?」


 「お、おい……」


 「とぉぉぉ!」


 「コケー!」


 インパクトの瞬間、ベティちゃんのみならずフレーレの身体も光り輝いた。


 そして……!


 ズゴゴゴゴゴ……!


 「やった! やりましたよ!」


 「コケー♪」


 「えー……」


 綾香が呆れた様に呟いたのも無理はない、ドアが壊れた、などと生易しいものでは無く、木端微塵になっていたからだ。


 「……入ってみよう……」


 「そうですね!」


 フレーレは満面の笑みで、他のメンバーは疲れた顔で。


 ドアの向こうへと移動するのだった。そこに待ち受けているものとは!

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