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EX-10 廃れたアトラクションへようこそ?



 「<劫火蒼焔>!」


 「『煉獄剣』!」


 「聖魔光からの一撃です!」


 「『真空烈破』!」


 「『剣気一閃』!』


 「コケッコー!」


 「わおーん!」


 ドゴゴゴゴゴ!!


 腹いせとばかりにそれぞれ技や魔法を使って大扉の破壊を実行する一行。最強技をぶっ放したのであっさり扉は粉々になった……


 「おー、すげぇな。俺もこういう異世界に憧れたんだけどなあ」


 「クリスさんのところは違ったんですか?」


 「おう、ウチはそういうのとは縁のない普通の古い西洋みたいな異世界だった……あ、いやでもドラゴンは居たし、魔法はあったからそうでもないのか……俺の生活圏が普通なだけなのかもしれん」


 「ふーん、平和ならいいんじゃないですか?」


 「そうだなぁ。セルナとクロミア、俺が居なくなって心配してないかな」

 

 「きゅーん」


 綾香に抱っこされていたシロップがクリスの頬をぺろぺろと舐めて慰めていた。


 「はは、ありがとうな。おっと、開通したみたいだぞ。あんたの彼氏も強いじゃないか」


 「彼氏だなんてそんなぁ。本当ですけど! 陽~♪」




 「ぺっ! ふざけやがって……さっさとぶっ壊してやれば良かった」


 「コケッコ!」


 「流石にこれだけの攻撃を当てたら跡形もないね」


 削夜とベティちゃんが扉の破片をげしげしと踏みつけ、それを見ていたレイドが呆れ笑いをしながら言うと、ルアが陽のコントローラーから語りかけてきた。


 『これで先に進めるわね。どう、外に出た?』


 「えっと……多分……」


 『多分?』


 フレーレが困惑した様子で呟き、ルアが聞き返す。補足するようにルーナが薄暗い庭を見ながらルアに答えた。


 「庭だから外だと思うんですけど、植木が邪魔で行ける所が限られているから『多分』って感じです。迷路みたいな……」


 「上は屋根か、ちょっと見てみる<レビテーション>」


 「わん!」


 「おわ!? なんだお前、飛びたいのか?」


 「わんわん!」


 「コッケー!」


 ふわりと浮いた削夜にシルバが前から飛び込み、抱っこする形になり、そのまま尻尾をぶんぶん振って吠えるシルバ。下では乗り遅れたベティちゃんが憤慨して地団太を踏んでいた。


 ――やがて植木より高い位置になり、ライトを使って辺りを照らす。


 「……なるほど、ルーナの言うとおりこりゃ迷路だな」


 「わふん」


 巨大迷路とでも言うべき広大な庭が眼下に広がっていた。削夜はそこで思いついたことを実行する。


 「迷路ごと吹き飛ばしても問題ないよな? お前は背中にくっついてろ」


 「わん」


 シルバを背中に背負い、削夜は手を迷路に向かって伸ばし――



 「<劫火蒼焔>」


 ゴッ!


 魔法を放った!


 だが――



 ピシュウン……



 「あれ?」


 植木に着弾して大炎上! かと思いきや、直前で掻き消えてしまったのだ。失敗かともう一度放つが結果は一緒だった。腑に落ちない物を感じながら削夜は地上に降りると、残っていたメンバーに問い詰められる。


 「削夜さん、いきなり大技はまずいって……」


 「うん。俺もそう思うよ、一応先に行っておいて欲しかったかな」


 「う……」


 冷静にツッコみを入れる陽とレイド。そこに女性陣がぷんすかしながら追い打ちをかけてきた。


 「燃え広がったらどうするつもりだったんですか! これじゃお嫁さんも苦労してますねきっと!」


 「本当よね。屋敷に逃げても燃え移ったら大火事よ?」


 「あ、うん、そうね大変ナトコロダッタワ」


 言いたいことを先に言われたルーナが適当に誤魔化すと、バツが悪そうな顔で削夜が頭を下げる。


 「よ、嫁は関係ないだろ嫁は……悪かったよ」



 「コケッコ」


 「ほら、ベティちゃんも怒ってます。『焼き鳥になったらどうするんだ』って」


 「コケ!?」


 フレーレの言葉にベティちゃんが振り返って驚愕の声を上げる。


 「分かるのか?」


 「いいえ! でもそんな気がします!」


 「コケ! コケッコ!」


 言ってないよ! と、首をぶんぶん振るが、言葉が分からない削夜はしゃがみ込んでベティちゃんの羽を撫でた。


 「悪かったな、ベティちゃん。お前を焼き鳥にしたらアリシアに何を言われるか分からん……気を付けるよ」


 「コケー……」


 疲れた声をあげるベティちゃん。


 フレーレの勘違いで良く分からない話になったが、ここで黙って迷路を見ていたクリス(別に死なないから気にしていない)が、ポンと手を打ってレジナ達のところへ行く。


 「ルーナちゃん、ちょっとこいつらを借りてもいいか?」


 「え? はい、大丈夫ですけど、どうするんですか?」


 「こいつを使ってみよう」


 クリスはポケットから日記帳を取り出し、レジナ達に言う。


 「俺達以外の匂いがついていたらそれを狼達に追ってもらう。レイドさんと俺以外は触っていないから大丈夫だと思うが……」


 『それはいい手かもしれないわね。迷路だったら正解を一発で辿れそうだし』


 ルアがそう言うと、狼達はクリスの持っている手帳に近づいて鼻を鳴らす。


 「がう」


 「わん」


 「きゅん……きゅん!」


 「お」


 鼻ふんふんさせていた三匹の内、シロップがピンときた、という感じでタタタ……と迷路の奥へ行き、一度立ち止まって地面を嗅ぐ。そして、そこで一声鳴いた。


 「きゅんきゅん」


 「へえ、賢いな。多分分かったんじゃないか?」


 「みたいね。それじゃ、先へ進みましょうか」


 陽と綾香が歩きはじめると、早足でクリスがシロップを追いかけながらレイド達に言った。


 「頑丈な俺が先頭で構わない。後はお母さん狼……レジナだったか? 一緒に来てくれ」


 「ガウ」


 「気を付けてね」


 タッとクリスの横に立ち、歩きはじめる。その後ろをルーナ達がついて行く形になった。


 「うーん、賢い。そういやサスケ、元気かなあ……」


 陽がかつて拾った柴犬に似た魔物を思い出しながら、迷路へと足を踏み入れる。しばらく進んだところで再びルアが話しかけてきた。


 『そういえば屋敷には何も無かったの?』


 「どうかな? 合流してから探索せずにここに来たから何とも言えない。攫われてきた女の子の日記帳だと地下に何かあるみたいだけどな」


 『なるほどね、ほらこういうときゲームだとスタート地点がゴールってよくあるじゃない? もしかしたら何か鍵になるものが先にあって、戻ったら――ザ……ザザ……』


 「あれ? ルアさん? おーい!」


 「どうしたの陽?」


 「いや、急に雑音が」


 『……で――転――れば――』


 どんどん雑音でかき消されていくルアの声。やがて何も聞こえなくなり――


 <ご臨終です>


 ローラのしょうもない冗談が静かな迷路に響いた。

もっと早く投稿したい……

あまり長くならない予定なので、気軽にどうぞ!


いつも読んでいただきありがとうございます!


【後書き劇場?】


『あれ? 私の出番が……』


まあまあまあ


『これから面白くなるのに!?』


まあまあまあまあ

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