表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

4 双子の兄様


それから程なくして、ヴォル兄様が私の部屋を訪れた。

ヴァン兄様が言っていた通りだ。


「やぁ、ヴォル。随分遅かったけど終わったのかい?」

「あぁ、お前のお陰で随分絞られたぜヴァン」


心なしか、少し疲れた感じのヴォル兄様

笑顔は完全にひきつっている。

その一方、頭上を見上げると、こちらは満面の笑みのヴァン兄様

笑顔はとても素敵、なのだがどこか黒い。

何だろう、悪さをする前の子供、とでも言えば良いのだろうか?


「フフッ、でもそれはヴォルが悪いんじゃないか?」


僕に負けたんだから。

そう言い放つヴァン兄様は本当に8歳児だろうか?

サバよんでませんか?

…ねぇ?


「うっ…」

「……まぁ、でも今日は機嫌が良いから許してあげるよ」


そう言いながら私にむかって、ウインクするヴァン兄様。

えっ、そんなご機嫌になるようなことあった?


「なっ、何で俺が許してもらわなきゃ…!」

「なに、何かご不満でも?」

「……っ」

「そう、エレク先生には僕から言っておくよ」


この時点での力関係は、ヴァン兄様の圧勝のようだ。

とても悔しそうに頬を膨らますヴォル兄様は、こう言っちゃなんだが

年相応な感じが可愛らしい。


「…ところで、ヴァンはルーナと何してたんだよ」

「何、ヤキモチ?」

「う、る、さ、いっ!!」


兄様達がキャンキャン騒いでる間に(正しくはヴォル兄様だが)

素早くヴァン兄様の腕から抜け出す。

この二人、30歳の精神からみると仔犬のじゃれあいだ。

とても微笑ましい。

…まだまだヒートアップしそうなので、このまま少し放っておいて。

私はさっき目標も決まった所だし、この際私の日常エンドを邪魔する

攻略対象をおさらいしよう。



攻略対象1


ヴォル=フェルト・レィリレース

本名はヴォルティル=アイアン・ローズ

双子の兄で最初に話した通り、金髪碧眼。

ふわふわの猫っ毛が、簡単な見分けのポイント。

性格は俺様で我が儘。だが、素直な一面も。

他人に時間を使うのは、勿体無いと心の底から思っているタイプ。

顔と、その地位で女性には将来困らない、が

ルーナ以外にはその愛を囁くことは決してない。

一途なタイプだ。

剣の腕は今はからっきしだが、成人までにはそこそこ成長する設定だ。

代わり、と言っては何だが魔法の腕は生まれつきあり

練習せずとも中級魔法位は使えたりする。

勉強の方はまぁ、至って優秀と言ったところだろうか。



攻略対象2


ヴァンフリード=フェルト・レィリレース

こちらの本名は、ヴァンフリード=アイアン・ローズ

双子の弟で兄と同じく金髪碧眼。

こちらのヴォルとの違いは、サラサラストレートヘア。

性格は策士で食えないタイプ。そして黒い。

またヴォルとは違い、必要であれば誰にでも愛を囁くし

必要とあればキスだって厭わない。

自分の目的のためなら殺しだって、笑顔でやってのける

ある意味一番注意が必要な人物だ。

そして、ヴァンは魔術の腕が悪い。

最低限の生活魔法と、初期魔法位しか使えるようにならない。

代わりに剣の腕は国一番、と言って良いほどに努力し、成長する。

兵士の立場が無い、とそれこそ泣かれる程にだ。

そして、ヴァンはヴォルより勉強も出来る、が

それは兄に対しての劣等感から来るものだ。

心の闇度があったらかなり深いだろう。



他にも攻略対象はいるが、出てくるかも分からないのに

紹介してもしょうがない。

今のところ気を付けなければいけないのは、この兄達だけだろう。

いや、さっき約束したからヴァンルートは潰れたも同然か。


……ヤバイ、日常エンド楽勝じゃね?



っと、いかんいかん。

油断は禁物だ、変なエンドができたら困るからやはり注意しよう。

フラグは見つけ次第潰すに限るが、立てないようにも気を付けなければ。


話は戻るが、この二人とも本当の私の兄妹ではない。

私の『婿候補』として一緒に暮らしているのだが、彼等の地位がまた凄いのだ。

普通なら私の家になんて居るわけない人物。


そう、この国の王子様達!!

しかも第一王位継承者と第二王位継承者。

何故こんな人達が居るかと言うと、やっぱり私が作ったゲームだから

としか言いようがない。

恋愛ゲームには王子が付き物だよね~とか言っていた自分を

今は心底呪いたい。

この王子超めんどくさいっ!

自分で作ったけど、自分で作っちゃったけどっ…!


一応王族は成人まで顔バレしないように公式の式典等では『仮面』着用が義務だ。

こんな仮面なんかでバレないのか?って思うかもしれないがバレないのだ。

変身ヒーローとか魔法少女とかと一緒で、自分で正体を明かさない限り絶対バレない。とても便利な魔法アイテムだ。

因みに仮面は暗殺等から身を守るため、とも言われている。

ので、彼等が王子だと言うことは

今は、私の両親と家庭教師位にしか明かされていない。

つまり私は婿候補と言ったが、実際のところは私がお妃候補なのだ。


最初に2、3年で帰ると言ったのは

『他のお妃候補』に会わなければいけないからだ。

私が2人のルートに入らなかった場合、この候補中からお妃が決まる設定だ。

また、王族は色々な家へお妃候補を探しに行くが、一般の貴族は行っても2ヶ所が限度だろう。余り気が多いのも反感を買うから。

因みにルーナである私も、そのうち一年間は何処かのお屋敷に行く筈だ。

このゲームの貴族の義務、と言ってしまっても過言ではない。

まぁ、口説かれゲーと言っても一応ゲーム。

ライバルなんてキャラも居るわけで

私が目指している『日常エンド』がどれ程平和か…

ライバルもいない、死亡エンドもない。

今なら分かる。あれが最高のエンドなのだと。



『魔法なら絶対負けねぇのに~!!』

『剣じゃ絶対勝てないけどね?』

『ーーーッ!!』



それにしてもあの二人、そろそろ止めてあげた方が良いだろうか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ