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第14:WHO星系、手紙の配達~その11。迷宮

 

 8月8日、8月一杯は飛行団は強制的に夏休みの為に、関係先からの苦情も多いが、最近の地球の世情も有って平和というべきもので、連邦での制服事件もあり、囚人まで華やかな制服になり、全体的に華やかだ。

 この制服事件もあってか、連邦のファッションは大変革の真っただ中、デザイナーも生き残るために必死、この時代の荒波に、アルトの中学校より呼び出しを受けた。


 呼ばれたアルトを中心に半分の姫、サツキ、姫野、小波を連れて現れる。

 全校生徒、全職員も呼ばれており、呼んだの校長と生徒会長。

 一つの事が提案された、制服を決めよう、ただの制服は嫌なので、お洒落な制服を決めようと。全員の満場一致での可決。

 呼び出されたアルトに地球の事を言っても始まらないので、デザインを依頼してきた。

 何せアルトの行った制服事件もあるが、連れの4名の服装が劇的に変わり、遥か高みにある服装に、女子生徒は何も言えなかった、男子生徒もこれは好いといった顔でいた。

 これらを行ったアルトのセンスを信じ、一任した。


 サツキを連れてエルフの惑星に渡り、王子に依頼した。

 この珍事に、暇ばかりのエルフ達は喜んで行う。

 アルトの学校の事を詳しく聞き、職員用、生徒用に分け、男女用、学年用、クラスの委員長、副委員長用、生徒会用、生徒会の役職用、部活の顧問用、運動用、これらの季節用、行事用、有名な連邦の事もあり、デザインのモデルは侍に決定された。

 超拘り派のエルフ達、アルトより連邦の服装の歴史から何までを聞き出し、時にはデータも取ってから、イメージを繰り返し、これによって完成するまでに丸一日、完成したデザインに見事さにはあるともいう言葉がない、エルフ達も久しぶりに楽しまさせて貰ったと感謝していた。


 運んでから、現れたアルトとサツキに、待ちに待った人々、生徒会長も素晴らしいデザイン、しかも種類が非常に豊富、他の学校とは一線を画す数の多さに喜ぶ。

 校長としても健全な制服には、仕方がないと言って折れた。

 この為に制服は別に良かったが、役職別もあり、好みの服の為にはライバルが増える結果となった。この競争には生徒会も大弱り、何せ生徒会の方は気合が違う、他の生徒がこれは酷いというレベルではないが、明らかに気合の入れようががっていた。

 職員の方も顧問別の為に、生徒会顧問の大人は己の幸運を嚙み締めていた。


 学食の制服も華やかさが違ったし、用務員用のシックな服装には待遇が違い過ぎた。

 事務員の地味な服装は一変し、この職業で良かったと思う様な物。

 校長の制服、明らかに一品物、唯一の専用の服装、校長も見事過ぎてこれは好いという程。

 教頭の方もいつもの地味なスーツから、蟻と白鳥位の差がある。

 満場一致で可決され、製造の方はどうしたものかと悩む中、話を聞いたプレイヤーの親御さんが快く請け負い、子供の地味な服装改善に励む事となった。

 終わってからの帰宅、父親に説明し、デザインを見た父親は衝撃からコップを落とした。

 制服の概念を叩き壊す様な、種類が豊富過ぎる様な物、明らかに問題ではあったが、息子に文句はつけられない、何せ制服事件の張本人なので、現時点の服装関係の最高責任者だ。下手したら団長の制服が地味なものに変わりかねない。


 朝方の事もあって、少し疲れたアルトは仮眠、残った四人はひとまずと作戦会議。


「うーん。なんか制服のイメージが」


 堅苦しい地味な服装で、種類が少ない。


「全くの別事件だったわ」


 気合が非常に入っていた。それだけは何処もが認めるぐらいだ。


「あれはいいものです。素晴らしく学校に行くのが楽しみになりました」


 姫が狙うのは戦巫女用の物、素晴らしい過ぎて言う言葉がない。

 姫野も思う、あれは制服というべきなのかと、そこで相方に質問。


「小波、あれは制服?」

「制服です。いいですか、これは死守するべきものなのです」


 二人の忍者は頷く、素晴らしい制服を着て主の傍という夢が続くからだ。

 今までの制服を知る姫は、あんな地味過ぎる服装よりは天と地位の差がある。

 まず女子制服、トップはワイシャツ、冬用のジャケット、下の方はズボン、靴下まで指定、唯一の靴は種類限定、装飾は全て不可、色合いは地味な灰色、気分まで灰色になる酷いデザインのものだ。

 男子の方も似た様な物で、見るからに灰色の青春、夢も希望もない地味で暗い服装を着ての学校生活、職員も酷い服装。

 季節で表すのなら灰色の冬の時代。

 今春の訪れるが見え、この希望に、全員が喜ぶ。

 しかし敵もいる。教育委員会、よくアルトと揉める方々だ。

 もしこの希望ある制服と、あの灰色な服装、これが認められられないのは如何なものか。

 姫は考える、今の内に潰そう。


「サツキ少し」


 人の悪い笑みを浮かべた友人に、サツキはやっぱり彼奴の家族だと思う。


「邪魔は敵です」

「よく分からないけど」

「妨害する全てが敵なのです」

「それはないわよ」

「というと」

「彼奴に依頼したのが教育委員会だからよ」


 三名が衝撃を受ける、あの石頭過ぎてどうしようもない堅物共が!?

 サツキが続ける。


「あちらもあたしの細工に惚れ込んでね。是非この見事な細工の才能を花咲かそうとしきりに勧めて来たわよ。あのアルトに食って掛かるほどにね」


 勇敢な方々としか言えない、地球最大派閥のアルト派、この代表に食って掛かるのは正気では出来ない。


「色々と有ったのよ。まああたしも修行中だからと断ったわ」


 さすがはイーニャの細工師、細工の腕前だけで生きてきた少女に、三人は一つの懸念が過る。姫が代表して言う。


「何の修行ですか?」

「なんでそんなに警戒するのよ」

「半分はいつもサツキを特別扱いするからです」

「細工の修行よ。何で恋愛の修行をしなくてはならないのよ」


 姫はホッとするが、中々尻尾を出さない猪に、二人は忌々しそうに舌打ちする。


「あんたたちも取らないから安心しなさい」


 二人は信じていない、何故ならサツキにとってみれば何かと都合のいい少年がアルト、様々なメリットが多過ぎるに対し、デメリットが少ない。


「権力者は要らないの」


 二人は信じない、アルトに守ってもらう側がサツキだ。


「そもそも顔がね」


 これは信じた。何せアルトの容姿は冴えない地味顔の少年だ。


「地味過ぎるのよ」

「・・・半分は」


 姫は中々認めないが、姫以外は地味過ぎる容姿という認識なのだ。


「まああれっす」


 言葉を濁す姫野、相方の言葉に、小波も強く同意するように、頷いていた。


「顔は別にいいっす、綺麗が顔とか、容姿端麗とか、イケメンとか、そちらは興味が無いモノで」

「全くです。なぜそんなに顔に拘るのかが分からないもので」


 サツキはこの二人からすれば、理想だったというべきものなのは知っている、二人は全てを手放し、刹那の幸せタイムを望み、アルトは全ての代わりに二人を取った。

 姫からすれば面白くもない内容ではあっても、サツキからすれば二人は応援したい、それだけの事をしてまでという覚悟が立派だから。


「あんたたちの理想だからね」

「ええそうっす」

「完璧ですし」


 二人は満足そうな顔に、不満そうな顔の姫は、背中の神器に手を伸ばし、慌ててサツキが止める。


「落ち着きなさいよ。」

「こいつらを殺せば、取り戻せるのですよ」

「この子は」


 だが、忍者の二人は気にしない、何せ忍者の最高峰の称号持ちに匹敵する実力者、姫が頑張っても当てる事すら難しい相手達だ。寝首を掻くのもまず無理、それは忍者の得意分野だからで、姫のような戦巫女では話にならない、まさに論外。

 そんな時間が過ぎる。


 □


 仮眠より起きたアルト、学校よりメールが送られていた。

 全校生徒と全職員よりの感謝の内容だった。

 いつも迷惑ばかりかける生徒会長も、深く感謝の内容を綴っていた。


(偶には恩返しもするものだな)


 気分の良い内容に、地球では地味な格好に入る、WHOファッションの服装に、帯刀する『祭り師』を差し、気分が良いので羽織を着込む。

 他のチェックを終えてから、部屋に外に出る。

 少年の半分の姫を制止するサツキ、忍者の小波と姫野はすまし顔で、部屋より出てきた黒一点を見ると甘えたがる子犬のような顔になる、少し複雑な気分になるアルト。


「適当に出歩くぞ」

「「了解」」


 四人とも準備はしていたらしく、服装の方も最新鋭の服装、華やかであるが、やや棘が多い。

 地上に上がり、家を出る前に親御さん達に挨拶していた。


「遊びに行ってくるぜ」

「ああ」


 どうも息子にも、遊ぶ余裕が出来たらしく、幸いというべき事だった。

 アルトの右腕の星守りは侍の修行に出ていたので、現在は不在、もしアルトの言葉を知れば顔が綻ぶ事間は違いなしだ。


 出かける適当にぶらぶらも出来るか、近くの公園に向かう。

 アルトの侍羽織に、四人も分かるほどに上機嫌、好い事が有ったらしく、飾りすらつけない少年がこれ程まで機嫌がよいのは初めてだ。

 公園にはスペル練習の少年少女、主に10代も、その下側の層も多い。

 閃いた姫が強請る。


「半分、祭り」


 姫の言葉に、返さずに腰の刀を抜く。

 スペルにより生み出される純白の翼を生やした戦乙女、腰には剣、両手はギター、他にもエレキギター、ベース等の担当も居て、中央に巫女の服装の女性が現れる。

 始まった音楽に、ダンサー兼シンガーの巫女が歌と踊りを行う。

 相変らずの見事な腕前と小波は思う、世界初のスペル芸術を生み出し、今地球最大の娯楽と化した。

 これらの情報は既に他種族にも回ってるのかもしれないが、この分野にだけは負けたくない、この為に小波は忍法でのスペル芸術の練習を行う。


「主君、あれっす」

「なんだ?」

「デートするっす」


 姫が素早く弓を取るが、素早く動いたサツキが羽交い絞めにする。


「絶対に殺す!!殺すったら殺す!?」


 暴れる姫に、姫野が仕方なしに忍法で束縛し、植物でぐるぐる巻きになった姫は恨めしそうに姫野を睨む。


「今回は、まあ別にいいか、小波の方は後でな」

「はい」

「おし行くかね」

「うっす」


 □


 デートを終えてからしきりに暴れる姫、宿敵を睨み、睨み殺さんばかりの目だ。

 小波も終えていたので、忍法での練習に入った。

 アルトは仕方なしに、半分を担いでから輸送する。

 サツキは友人の事もあるも、細工の修行も有ってレシピスペルでの細工作りを行う。

 そう言った生産に該当するような職人たちは、レシピスペルに依っての作品を作りこれで生計を立てる、腕さえあれば国宝級、まさに腕一本のみで生きる様なものだ。


 見付けていた露店の料理人、半分の好きなほどよく甘いクレープを購入し、苺ジャムやブルーベリージャムの入ったクレープを分けて食べる。

 姫は不機嫌であったが、美味しいクレープの頬が緩む、しかも半分と分けたのが何よりも嬉しい、久しぶりの幸せの時間だ。

 少年としても、手間暇の掛かる半分もあるが、あの二人も吹っ切れたなと思う。

 忍者を出奔した抜け忍、いつも追っ手に怯え、拾った時も何も信じていない凍り付いた目だった。それから幾年、今ではデートを図々しくも言ってくるようになった。大したものだと思う。


「美味しいですね半分」

「ああ。今度はカスタードを試そう」

「相変らずのクリーム好き。ボクとしては小豆がいい」

「ダブルで作ればよいしな」

「で、サツキの事」

「色々と知っているだろ」

「うん。」


 珍しく半分が力強く子供のような返答をする、余程にサツキが気に入っているらしい非常に珍しい事だ。

 ストレートの風に靡く艶やかな黒髪の、この半分は清楚とした前の印象から、華やかさが目立つような表情で、鮮やかな赤のルージュに付いた唇を動かし言葉を紡ぐ。


「サツキは本当に友人、サツキだけはボクも守る」


 驚くという感想、あの半分がと思わずにいられない。


(人の成長とはわからないものだ)


 軽く温かく笑う。


「む。何その顔」

「半分も成長したなってね」

「むぅぅぅ」


 怒った半分が復讐のために、アルトのクレープのを齧りそのまま食べ尽くした。


「言うのもなんだが、もう一つ購入するのだぞ」

「食べる」


 購入に向かい、料理人は作ってから渡し、代金の方は支払い、アルトは半分と分けて食べる。

 食べ終えてから戻る、三名とも修行に一生懸命、やはりと思えるような上達の速さ、忍者の中でも忍法を得意とする姫野の方は、既に小波より一つ上の完成度。

 小波の方は姫野のような芸術性は確かに低い、しかし優れた制御性と炎と水の幻想的な光彩からの舞が素晴らしい。

 姫野の方は三個の忍法による舞踏会を作っていた。一つ一つの細かな作り、造詣の深さが伺え、服装の一つをとっても見事な腕前だ。

 見るからに夢中、公園にはそんな光景が広がり、どいつもこいつも夢中の中にあった。

 アルトが刀を真正面に突き出し、氷が幾重にも氷彫刻のような色彩で一つの形を作り、この先の周りを炎が纏う、この先の周りを雷が纏う、これを繰り返し、氷と炎と雷が幾層にも出来、次第の一つの完成を目指し、完成したのは神獣の朱雀。

 これを空に放つ。

 羽搏き飛翔する朱雀、幾重もの軌跡を残し、空高く飛ぶ。

 姫は出来ないが、半分のこれが何よりも好きだ。まるで子供の様な気分になれるのが何よりも好きだ。


「高く飛んだ」


 小さな子供達が喜んでいた。

 姫は懐かしそうに眺めていた。


 □


 夕方の帰宅、強制夏休みの結果、何度も続く事件も有って、飛空市は多い賑わい、良くも悪くも夏休みという奴であった。

 非常に珍しい事だが、親御さん達は遊びに出かけ、只今不在。

 溜息を吐いたサツキが、健康的な桜色の口唇を開いた。


「作るから待ちなさい」

「了解」

「うっす」

「了解です」

「コロッケ」


 珍しいアルトの注文に、サツキが気持ちよく笑ってから快く請け負った。

 台所に向かうサツキに、4名は腹を空かせ近くの居間でテレビをつける。

 一つの光景が飛び出る、星守りの修行場らしく、侍の修行とスペル芸術の修行を行って、桜が満開し花弁が絶えず舞う、この為に花見に来ている人が多い。

 近くには零の修行場、花火が絶え間なく撃ちあがり、夕方の空に花火の華を咲かす。


 祭り師の二人への注目度は高く、何せ金のかからない娯楽の事もあって、マスコミとしてもこれは有り難く、色々なネタになっていた。


 最近のマスコミの毎日のように事件が起き続けるので、ネタに兎に角に困らない。

 真面目なニュースにもなるが、局の趣味人達による様々な演出も行われる。

 何かと重宝するこのスペル芸術により、新しい巨大産業となっていた。

 ゲームの緊急メンテもあり、真面目な話も多く溜まっているが、新しい事ばかりなのでテレビも活気が有って、見るも楽しくなっていた。

 制服事件のこの余韻とも言うべきアルト派の制服騒動、欧州では堅苦しい服装か、それとも連邦のような華やかな服装かと言い争いに発展しており、兵達は地味で見た目も悪すぎる格好から連邦のような制服を、これを強く主張するが、石頭の司令部は反対ばかり、軍事的な事で強く抵抗していた。

 どこもかしこもこの制服事件の影響は強く、実用性ばかりの追及で、見た目が酷い服装の改善を要求する側と、機能性と生産性の両立という側に別れての論戦中。

 空軍や海軍なども、陸軍の事もあって比較的冷静ではあるが、前向きに検討したいという一方で、派手すぎては如何という側も多い。

 この服装問題は多くを巻き込んで国連に提出され問題だ。

 連邦の制服が余りに良過ぎたために、ショックが多かったようだ。


「出来たわよ」


 作られたコロッケ、白米と味噌汁、サラダもあり、子供達だけでの夕食。

 コロッケの味わいは素晴らしいの一言に尽きる、普通のジャガイモコロッケでも、塩コショウなどの加減が絶妙、女子の三名も美味しいが悔しいという複雑な顔。

 サツキの上出来な出来栄えに喜ぶ。


 夕飯の後に、アルトが一つの提案をした。


「ゲームというべきかな」


 この少年の悪癖のもったいぶるが発揮される。


「一つ示そう」


 アルトによってつくられた氷の迷宮、これに4名はまたやらかすと呆れる。


「投稿してくるっす」

「ああ」


 特に何の変哲もない事なのだが、何故か衝撃が大きかったらしいのがアルトにはよく理解できない、そこにサツキが呆れ顔でいう


「なるほどね。冒険のトレーニングね」

「そう、楽しいぜ」

「どんだけ娯楽を増やすきよ」

「いやだって暇が多くて」


 スペルよる芸術分野、主に創造によってつくられる、これに新たにゲームが加わり、新しい事ばかりを起こすために問題ではないが、周りも大変とは言えない。

 戦い、主に軍事に使われる事しかなかったスペルに、芸術性を重視した、これによって生み出されたスペル芸術は、地球最大の娯楽となった巨大産業、これにまたゲームが加わり、娯楽産業にとってみればアルトは有り難い存在だ。


「という訳で迷宮ゲームをしようぜ」

「仲間に連絡します」


 アルトの新しい遊びに、連絡用の通信機で伝え、仲間達が直ぐに集まる。

 登校し終えた姫野が、余りに多過ぎる、連絡を、というメールに眩暈を覚えて通信機を仕舞う。


「公園に行くぞ」


 向かった所の公園、冥夜が説明し理解を求め、新しい娯楽に興味津々で受け入れていた。

 公園を中心に巨大な迷宮が創造される。

 しかもエネミーに扮したスペルもいる、この楽し気な娯楽に入場料は取らないので遊んでくれと言った解放した。


 次に来たのが公園の池、ここてアルトが旧式のガレー船を生み出し、氷で出来た船による艦隊戦、その上空での生みでた旧式のレシプロ機での航空戦。

 撮影していた姫野が更に投稿、世界に再び激震が走る。

 娯楽産業は大喜び、何かあれば協力するという所も少なからずあった。


 学校より連絡があり呼び出される。

 アルトと愉快な仲間達、生徒会長より頼まれて、学校での迷宮ゲームが企画される。


 これにはプレイヤーも聞きつけて参加、アルトの学校には多くの人々が集まる。

 氷によってつくられた巨大な塔、内部にはプレイヤーの元で提案された一般エネミーも作られた。

 マスコミも現れ、祭り状態となる。

 内部の撮影許可も下り、一応護衛のプレイヤーも行くので安心、見学も有って色々な人達が参加、内部の映像は圧巻の一言、何せ丁寧な作りに、見事な氷彫刻、現れるエネミーも随分とユーモラス。

 リアルに作られた迷宮により、色々な所から様々な人達が現れて入る。

 武装が有っても使う機会もなかったので、これは良い場所と言って狩りを楽しむ。


「・・・」

「凄いですねサツキ」

「・・・うん」

「という訳でPTです」

「ラジャー」


 二人も組んでから向かう。


「俺らも向かうかな」

「「了解」」


 アルトを先頭に、冥夜、十兵衛の侍、四人の忍者、他は連絡がつかずこられない。

 最初のフロアは大渋滞の為に、二層に上がり、武器を持たない素手のエネミーと戦う人々が多い。ここより先に進んだフロアにいき。

 多くのプレイヤーが嬉しそうに戦う、その相手は氷の侍。


「鬼だな」

「あれか、まあ」


 生みでた氷の鬼、戦士達が武器を抜く。

 鬼が咆哮を上げて駆け出し、手に持つ槍に炎を纏い襲ってくる。

 操るのがアルトの為に侍としての腕前は最強、戦士達の喜んで戦う。


 迷宮ゲームの氷の塔、この品質の高さには絶賛が起こる、飛空市の最大の娯楽となり、この舞台となった中学校の制服の事は特別に許可が下りた。

 暇だったフレイヤ―達も集まり始める。

 祭り師のアルトによって切り開かれた娯楽、これには開発者も絶賛し新しく祭り師が調整され、第二の特殊能力、迷宮創造が加わる。

 子供にとってみてもよい遊びなら、大人にとってみても楽しめる、老人達にとってみてもよい観光、という訳であちらこちらから集まる。

 祭り師達もこれを聞いて急いで駆け付けた。

 零も花火の打ち上げ、星守りは良い修行相手、何せアルトと戦ってみたいが、そうもいかない為に我慢していた、これが全て解決すれば喜ばない訳がない。

 武芸の国でもある連邦で、最も人気のある娯楽になるのは言うまでもなかった。


 飛空市もいきなり増える事もあって、アルトに頼み、第二を生み出してもらう。

 面倒だと全ての学校の上空に氷の塔を創り出した。

 これに様々な問題が解決し、父親からよくやったと褒められる。


 ドロップがないのは楽しくないというアルトの希望で、氷のコインが作られ、これとプレイヤーが数に依っての交換を行うことも決定した。


 祭り師達によって様変わりした飛空市、世界でも最もホットな町の一つとなる。


 集まってからアルトと愉快な仲間達も集まり、どこの攻略から行くとなる。

 ゲームマスターのアルトも一つを教える。

 アルトの母校の中学校は初めての迷宮なので、最も効率がよく、最も困難であり、最強のエネミーの鬼が現れる。

 これで決定し、飛空市の青空中学校の迷宮に向かう。

 細かなPTあってそれぞれが挨拶し、自己紹介。

 そこに連邦海軍と空軍より連絡が入り呼び出される。

 立案された作戦に基づいたの巨大なゲーム、面白いと請け負ったアルトが生み出した。

 東京湾を封鎖する氷の艦隊、上空には氷の航空機、竜騎士、天馬騎士、翼を生やした侍や忍者の歩兵、軍人たちも面白くなってきて暴れ始める。

 陸軍も興味があるので連絡が入り、立案された富士樹海のダンジョン、これも惜しいと言って創造した。


 飛空市の青空ダンジョンに戻り、説明してから、次のダンジョン計画も考える。

 PT構成し、アルトと護衛の二人と風鈴、明らかにあれなPTであるが姫は我慢していた。

 スカオ達も現れ、サクヤも現れる。

 迷宮創造には驚かされ、サクヤもアルトには興味を持ち、この迷宮創造の事を聞いていた。星守りも興味が尽きない為に色々と試行錯誤。

 零も遅れながら現れ、奥さんと武装して向かう。


 □


 アルトのPT、通称ハーレムPTは、四層目に入り、エンカウントした氷の騎士、これと弓師、戦う前に忍者達が後方の弓師を片付けようとするが、この弓師が曲者、小剣を二つ持つ氷に依っての自在のリーチを誇り、騎士が真正面を担当する事で最強のコンビとなって布陣する。


「強いっす!マジ強いっすよ!?」

「弱音を吐くな!」

「ちと洒落にならん」


 三人は大苦戦、攻撃の前に双小剣によって妨害、忍法を与えるも氷の為に回復、体力もない無尽蔵、救いなのは特殊能力がないが、死に程に強い。


「撤退っす」


 姫野が逃げる、いつもの弱腰に風鈴が怒りながら追う、殿の小波が煙幕を投擲し撤退。

 後方のアルト、スカオ達もおり、見学していたが、笑って武器を抜く。


「子供に難しい相手だ」

「いいですねこのダンジョンは」

「当たるしかありません。目指すはコイン」


 親後さん達も暴れ始める。

 忍者の三名は、余りに強過ぎてどうにもならない。


「強過ぎっすよあれは反則っす」

「いやだって、攻略が間違っているし」

「いいですわ。看破しましょう」

「よく分からんないです」

「ヒントは二体の距離」

「補い合うっすか、洒落にならんとです」


 二体が絶妙な補う会う事で、比較にならない性能を示し、個体としては大したレベルではないのだが、二体のそれぞれの分野から、かなりの強敵と化す。


 親御さん達は喜々して戦っていた。さすがは英雄たちの、猛攻を掻い潜り騎士に接近し、タイミングを見て騎士の反撃の隙間に剣で両断し、この中心を正確に切り裂いた。

 騎士が消滅し、弓師は逃走しようとするが、この足の健を美姫の矢が射ぬき、倒れる弓師に夕霧の薙刀が性格に中心を貫く。

 弓師が消滅した。

 忍者娘達は感心するような見事さだ。


「さすがはか、今後の改善だな」

「団長たち強いです」

「英雄っすからね」

「ひとまずは装備ね」

「ちとあれだな。強力過ぎると壊れるぞ」

「・・・」

「そう言うのも計算に内だ」

「バッシグなのが救いですわ」

「あれでアクティブだったらな泣くに泣けないっす」

「装備の改善は有りますが、聊かコインが」

「・・・下で狩る?」

「じゃ降りよう」


 □


 三層に下りる、スケルトンと落ち足軽の鬼が現れるフロア、全部バッシグなので生産も露店を開き、戦闘が手に入れたコインと交換していた。


 アルトの仲間達も戦っており、鬼には苦戦気味、最大効率の鬼ではあるが、その個体としての能力も高く、群れないのが救いのエネミーだ。

 逆にスケルトンは群れる、最大で6体にも群れ、手に持つシミターは近接にも遠距離にも対応し、戦士達は大苦戦、キャスター達も戦うが、中々攻略方が確立されない。


「鬼と戦うとか正気じゃないっす」

「何とかなる」

「ならないっす」

「逝くわよ」

「コインに為に」


 三人が鬼に襲い掛かるが、鬼は槍を振るい撃ち落とし、弾かれた空中で整えてから着地。

 姫野からしても凶悪な鬼、特殊能力がないだけで、圧倒的に強い。


「面倒っす」


 忍法を使い破壊しようとするが、近くの相方に止められる。


「だから壊すなって」

「私は忍法系っすよ!?」

「気持ちは分かるが、クナイで行こう」

「経費が落ちないっすよ!?」

「う、うん」

「ダーリン、何かない」

「まあある事は有るが固定すればいいだろ」

「無理よ。だって土が無いもの」

「あー。それは失念、武器の方かな」

「武器壊しに行くわ」

「あれは神器を弾きますよ?」

「・・だ、大丈夫かも」

「かもじゃ無理っす」


 忍者達も大苦戦、非常識な戦闘能力の鬼には色々と仕掛けも多く、これを一つ一つ攻略するしかない。これに比べたらスケルトンの方が遥かに易い。


「時間差っすか」

「それで行ってみましょう」


 三名が揃って駆け出し、少しずつ速度を変化し、鬼は槍を振るいが、避け役が避け、残る二人の近接に入り、忍者刀が深々と突き刺さり、アーツを使い強引に破壊したが、砕けた事により修復が始まる。


「撤退っす」


 逃走、回復し始め鬼、三人はこの非常識なエネミーの攻略に悩む。

 ここで姫野が気付く。


「分かったっす。武器っすよ」

「だから意味が」

「違うっす」

「?」

「鬼が本体じゃなくて槍が本体っす」

「正解」


 アルトの言葉に三名は溜息を吐く、まさかの本体が違うとは思わなかったらしい。


「でも神器より硬いわよ?」

「うーん。アーツで」

「やるしかないです」


 三名が再び駆け出し、鬼の持つ槍を狙う初級のアーツで砕こうとするが、穂先で軽やかに弾き、三名が狙うものの中々倒せない。

 そこに侍の二人が来る。


「苦戦していますね」

「まああれは反則だ」


 二人に気付いた小波がヘルプする。


「加勢してください!」


 侍達が刀を抜く、近接を行い五名に増えた事で、鬼の攻撃の個人当たりが疎かになり、とらえた小波の忍者刀が槍に触れて使われたアーツにより両断、鬼が消滅した。

 落ちるコイン。


「「おお」」


 フロアで見ていた者達がどよめく、初の鬼攻略だ。


「なるほど、槍か」

「これなら可能です」


 二人も離れて鬼を狩り始める。

 コインを拾った風鈴が数え、割と高額だった。


「10枚ですか、割と」

「効率がいいっすよ。これはいいっす」

「クナイ代にもなります」


 三名も鬼を狩る。

 そこに時間になり警報が鳴る。

 ダンジョン閉鎖時間になり、中から人々が出る。

 時刻は午後の8時、全ての迷宮が消え、作戦も終了した。

 アルトと仲間達は集まり、今日の報告会、コインの数え、色々と有ったの山分け。

 薬師のレンズも受け取ってから確認し、巫女の出雲も確認、プレイヤーを求めてコイン交換向かう。他の者も同じく。


「今回はこれ位か」


 稼ぎが少なかったので渋い顔のアルト。

 装備の方もあるが、POTも必要だし、何かしらの小道具もよいが、コインは貴重だった。

 帰宅してからの5名となる。


「ひとまず作るわ」

「リアル運動はお腹がすきます」

「全くよ」


 サツキとしてもまた面白くなった為に、退屈する暇がなくなった。


「鬼は稼げるっすよ。10枚っす」

「儲かりますね」

「アーツで攻撃が有れば狩れます」


 三名も喜ぶ、姫もよい夏休みとなったと感じていた。


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