第二話 錬金術
説明回です。
錬金術のことを、「ああ、○○と□□を合成して△△を作るやつね。知ってる」とか○○○のアトリエなどのゲームで出てきた錬金術のことを指している人が多いのではないでしょうか?
――甘い。甘すぎる。
その歪曲した幻想を、ぶち壊す……!
「カラムスは錬金術について、どの程度知っている?」
「錬金術?」
ガルガロの言葉を、俺は頭の中で反芻する。
――錬金術か。
そう呼ばれる魔術がMLOにあるとは知っていたが、試験範囲外だったので全く勉強はしていない。俺の持つ知識なんて現実世界においてのごく一般的な範囲に過ぎない。
古代より行われてきた金を作り出すための研究で、『金』と『金』を掛けて、楽して儲ける方法を錬金術と呼ぶことがある。
と、その程度だ。
「――なるほど。だったらまずは錬金術について説明したほうが良いな。知っているのと知っていないのとでは後の理解が全く違ってくる」
そう言ってガルガロは俺を作業机の対面へ来るように促す。
俺はその意図を読み取り、ノートを取り出してメモの準備をした。
ガルガロはそれを待ってから静かに話し出す。
「まず前提として、現実世界において錬金術とは――――『神秘的思想を基盤としてしまった間違った物理科学』だ」
「してしまった……?」
錬金術の基盤には、古より信じられてきた一つの思想が根付いている。
それが、全ての物はただ一つの『何か』から出来ている、というものだ。錬金術ではこの『何か』を、原初の素材『第一質料』と定義している。「一は全なり、全は一なり」という言葉はここからきているらしい。
この思想は、原初に存在した唯一柱の神から流出した霊(エーテル、プネウマ、スピリット等、呼び方は様々)によって宇宙――つまり全てが作られているというもので、錬金術の祖と言える人物、ヘルメスの名のついた神秘思想としても有名だ。
「だからこそ、錬金術の最大の目的である『全ての不完全なものを完全なものに変える』ことを達成する手段も、それに準ずることになる」
全ての物は同じ『何か』が変質して創られている。つまり物質をその『何か』に還元することが可能であるならば、その『何か』を手に入れることが出来たのならば、逆に全く別な物に変換することも出来るということ。
錬金術では金を完全なる金属と定義している。だからこそ、それ以外の不完全な物である卑金属(鉄、鉛、銅など)を金にすることを目標としていた者も多かったらしい。
「あと錬金術にはもうひとつ、重要視された思想がある。『大宇宙』と『小宇宙』というものだ」
大宇宙は文字通り天体を、小宇宙は個の人間を指す。そしてそれらは互いに対応関係が成り立っているという思想だ。例えば、宇宙で何か異変があれば人間にも影響があり、人間に異変が起これば宇宙にも何かしら反応が出ているというもの。
故に錬金術では、天体の動き――占星術と深く関わりがあるとされていた。
一つの実験に失敗しても、当時の理論的に間違ってはいなかった場合、星の廻りに原因があると考えられて、日を変えて何度も何度も同じ実験をしたという。
「そんなことが紀元前から行われ…………現代ではとっくのとうに廃れた。何故か?」
「基盤となった思想――つまり前提が間違っていたから」
「ああ、そうだ。しかし、このMLOでは違う。MLOで錬金術という魔術が確立しているということは……」
「ゲームの設定的には錬金術の思想の方を是としている?」
「いや、少し違う」
「?」
「手段こそ魔術というものを使用したが、君が雷を起こした理論は間違いなく現代科学だったはずだ」
「あ……確かに」
自然現象は現代物理科学、物質的には神秘思想に基づいた錬金術的科学ということか?
だがそれだと様々なことに矛盾が生じる可能性もあるし、これだけのゲームにそんな大規模な矛盾を入れているのを可としていることにも疑問がある。
「まだ仮説だけど……僕の考えでは、恐らく全てが混在している」
「混在?」
「正確には、使用魔術によってその都度変わるんだと思う」
魔術のほとんどが、その土地の神話に強く結び付きがあることが多い。そして神話には世界や国の創造にまつわる伝承もある。
つまり、魔術の背景に在る神話によって、世界の理が違ってくるのではないかということだ。これが現実世界ならば発展した物理科学から唯一の解を導きだせるが、此処はMLO――――ゲームの中の魔法世界マギカズマゴリアだ。魔素によって様々な異変が起こるというのなら、逆に魔素を用いた魔術によって世界の理が変化しても別段不思議ではない。というのがガルガロの考えだ。
「閑話休題。つまり何が言いたいのかというと、『MLOの錬金術では現代科学とは違う理が適用されている』ということだ」
「ふむふむ」
「何故こんなことを言い出したのかというと、MLOの錬金術は他のゲームに出てくる錬金術のようなお手軽なシステムではないということを言いたかった。アト○エシリーズと同じように考えてると直ぐに挫折するぞ」
「ア○リエシリーズ?」
「知らないか……まあそれはいい。じゃあ次はMLOの錬金術について話をしよう」
MLOで錬金術を習得するには、かなりの根気が必要らしい。
まず、図書塔にて司書のNPCに錬金術についてオススメの書籍を訊く。すると錬金術の歴史や実在の人物関係のことが書かれた五冊の書籍を紹介されるのだが、一冊だけただの自伝がある。錬金術の実験の失敗談がつらつらと書き綴られているだけの自伝なのだが、最後のページに乱雑な手書きで住所と合言葉が書かれている。
――学園城下部、クエスト用NPC居住区。
団地街のような場所の片隅にある小さな雑貨屋に行き、そこの店主をしている禿頭の老人NPCに自伝に書かれていた合言葉、大いなる作業という意味の『マグヌス・オプス』と言うと隠しクエストが発生する。
『お前さん、あれを見たのかい? 恥かしいねぇ、若かりし頃の汚点だぁな。あの頃は錬金術が自分の全てと思っていたが……結局こんなボロ雑貨屋のジジイに納まっちまったよ、ハハ。
――しかしお前さん、あの本を読んだってことはもしかして錬金術に興味あるのかい?』
この問いに肯定の意を伝えると、若い頃に使っていたというアイテム『哲学者の卵』という名のフラスコ瓶が貰え、更に錬金術に詳しい知人のことを教えて貰える。
此処からが大変だ。キャンペーンクエストという繋がりのある連続したクエストを一つ一つ達成して錬金術に使用する道具や設備をその報酬として手に入れていく。
・ビーカー ・フラスコ ・小型ガラス瓶
・鉢 ・ガラス結晶皿 ・水差し
・蒸し焼き鍋 ・蝋燭ランプ ・ナフサランプ
・火鉢 ・アタノール(砂浴用の炉)
・精錬炉(大型・中型・小型)
・やすり ・へら ・ハンマー
・柄杓 ・せん断機 ・火箸
・砂浴用具 ・水浴用具 ・漏斗
・馬の毛の織物と亜麻製ろ過器
・蒸留器 ・蒸留瓶
・乳棒 ・乳鉢 ・作業台
ざっと取り上げただけでも最低限これだけの数を揃える必要がある。更に言えば、それぞれが用途によって種類分けされていて、しかも眼が飛び出るほどの高額だが凄く高品質の道具や設備もあるという。
上記のアイテムや設備を揃えた上で、実は雑貨屋店主の知り合いだという図書塔の司書に話をすると『エメラルド板の紙片』を貰うことが出来る。ちなみに『エメラルド板』とは、錬金術の創始者と呼ばれるヘルメス・トリスメギストスが錬金術の奥義を書いたとされるもので、この紙片と、入手した道具・設備を用いて始めて錬金術が使用できるようになるというわけだ。
「た、大変だったんだな……」
「ああ……大変だった。しかも錬金術自体もまた無駄にリアル志向で…………っと。それはまた今度話すとして、いよいよ本題だ」
「本題……」
「そう、僕たちに今足りない『前衛要素』。これを補うために錬金術で――――『ゴーレム』を造る」
「!」
――ゴーレム。
進級試験の時にロア女史が創り出した巨大な鋼鉄人形が思い出される。
確かにあんなのを造れるなら心強いにもほどがあるけど、どうやって造るんだろうか?
ロア女史はあの時、何重もの魔法陣みたいなので作っていたけど……。
「ゴーレムの造り方には幾つかの方法がある」
エメラルド板の紙片は錬金術に用いられる手法が書かれた本だ。それには、【○○と□□を合成すると△△が出来る】というようなことはほとんど書かれていない。素材を、自らの求める形へと変えていくための、集めた道具・設備を使った様々な手法があるという内容だ。
手法の種類は以下の通り。
【蒸留】 【溶解】 【腐敗】 【摘出】 【煆焼】
【反射炉処理】 【昇華】 【凝固】 【分離】 【還元】
【凝析】 【着色】 【形成】 【打刻】 【魔力抽入】
これらは使用時に、作業難易度に応じて体内魔力を消費するらしい。この作業を組み合わせてアイテムを作り出すのだという。
また、本の内容にはゴーレムやホムンクルス――人工生命体の作り方についての記載もあった。
「一つ目は定番だ。土属性に連なる素材で人型を【形成】し、ヘブライ語で真理を意味する『emeth』を体の何処かに【打刻】することでゴーレムが出来る」
この方法のメリットはとにかく簡単だということ。素材は最低限土が在れば事足りるし、強化するには素材を別なものに変えればいい。しかも特殊な施設を使わないので、道具さえ持ち歩ければダンジョン内でも生成が可能だ。デメリットは、造り方が単純なぶん知能もそれ相応に単純な造りになっているということ。一度に一つの事しか対応が出来ない。二つ以上の事を対応しようとすると処理が追いつかなくなり動作が極端に遅くなる。もうひとつは造り方が有名なぶん弱点――『emeth』の『e』を削ると死を意味する『meth』に変わりゴーレムの身体がただの土に還る――も有名なことだ。知能の高い敵や、プレイヤーが相手の場合はそこを狙われる可能性が高い。
総合的には、ダンジョンでただの壁として使うならばそこそこ使えるという認識だ。属性呪文と併用すれば早く多くの土が集まり大きなゴーレムも即席で作れる。ただし低知能で鈍足なため戦力としては期待出来ない。
「二つ目も定番と言えば定番か。【形成】した土人形の回りをカバラの定式呪文を7周する」
この方法は今の俺たちには出来ない。何故ならカバラとは『カバラ秘術』、つまり魔術の一つであり、俺たちはそれを取得していない。したがってカバラ系の術を使うことは不可能だからだ。
「まあ、これで出来るゴーレムも恐らく一番目の方法と変わり映えはしないだろう。重要なのは次だ」
エメラルド板の紙片に書かれた最後のゴーレム創造法。
それは――――『魔法陣を用いたプログラミング』だ。
「魔法陣?」
「そうだ。この作業台では『生成陣』という魔法陣が作れる。ハガレン的なアレだ」
「はがれん?」
「…………これも知らなかったか……」
生成陣は、複雑な造形を作る際に細かな設定を付随して一瞬で生成してくれる魔法陣の一種らしい。プログラミングと称した通り、生成陣は最初に形状を決定し、用意した各種素材をそれの部位のどの位置に宛がうかを選択し、設定した順番通りに構築していく。
「生成陣というと……」
「聞き覚えがあるだろう?」
進級試験でのロア女史がゴーレムを作り出した時の呪文の中に、確かに聞き覚えがあった。
【生成陣『土人形』起動】と言っていたか。錬金術では『作業台でしか』生成陣を作り出せないが、もしかしたら何らかの付加情報が在れば、戦闘中でも生成陣を作ることが可能なのかもしれないな。
「生成陣は素材に形状を与えるだけのただの魔法陣だ。だが、進級試験の時の雷を見た時から、僕はMLOのゲームシステムを機械的だと思うのをやめた」
「…………つまり、応用が出来ると?」
「ああ、僕はそう考えている。ロア女史の呪文の中で【構築陣】と言っていたのを覚えているか?」
「確か【構築陣『じゅうのうふよ』】とか言ってたな」
「それだ。僕はそれを知能の付加を行う魔法陣だと推測している」
あの時、ロア女史が言っていた呪文は一応ノートに記録してある。
【生成陣『土人形』起動――、造形陣『巨大化』重層起動――、造形陣『剛腕』重層起動――、錬成陣『どへんてつ』重層起動――、錬成陣『れんこう』重層起動――、構築陣『じゅうのうふよ』重層起動――――生まれろ、『ロートアイアン・ゴーレム』】
ひらがなで書かれているのは、耳で聞いただけだから漢字が分からなかったところだ。他は音から漢字を推測している。
生成陣は素材に形状を与える。生成陣『土人形』はその名の通り、土で人型を作り出す魔法陣なのだろう。そう考えると次の出てくる造形陣は、『巨大化』と『剛腕』の呼び名、そして実際見たゴーレムの変化を鑑みれば、生成陣にて作り出した形状に更に強化を加える魔法陣なのかもしれない。
漢字の分からなかった錬成陣の『どへんてつ』と『れんこう』は、ゴーレム生成時の変化の中で土の身体から鉄製の身体へと変質したことに関係があると考えられる。
そしてガルガロが注目する、呪文の中で一番最後に言っていた構築陣『じゅうのうふよ』。『ふよ』は『付与』であることは容易に予想できるが、ガルガロは『のう』を『脳』と仮定し、『脳の付与』すなわち、これらは巨大鋼鉄人形と化したゴーレムに知能を付加する魔法陣ではないかと推測した。
「生成陣しか使えない現状、そしてロア女史のゴーレム生成呪文の中にある知能付加…………ガルガロは何とかして『知性のあるゴーレム』を作り出そうとしてるのか?」
「フッ、その通りだ」
ガルガロは小さく笑い、作業台の上を軽く叩いた。
するとスケルトングリーンのウィンドウが表示された。【生成陣設定画面】と書かれている。
そこでは、使用素材の選択、形状の選択と部位の変形、素材を宛がう部位の指定、などが出来るようになっていた。しかし、これをこのまま使用したとして、例えば土を素材にしてゴーレムを作ったとしても、それは『ゴーレムの形をしたただの土塊』にしかならない。そのためロア女史はわざわざ知能付加の魔法陣を加えたのだ。
だが、ガルガロは此処に応用を加えて、生成陣だけで、知性のあるゴーレムを造り出そうと考えているという。
「一体どうやって……?」
「発想の転換だ。生成した土人形に知能を付加出来ないのなら…………形状生成の時点で『知能のある素材』を組み込めばいい」
「知能のある素材?」
「そう、それは――――」
それは、一部で神秘性の象徴でもあり、錬金術においても非常に重要な意味を持つ存在。
呼び名は違えど、世界どの地域でも古来よりその概念は存在し、万物に宿るとされている超自然的なもの。
「精霊だ」
◆○★△
「精霊を核としてゴーレム生成に加える」
「精霊を……ゴーレムの核に」
精霊という概念は知っているが、実際の所はどういう存在なのか俺の中ではイメージがついていない。なんとなく意思を持つ不定形なエネルギー的存在というのは予想がつくけど……。
「そもそも精霊は居るのか? というか居たとして素材に出来るのか?」
「魔法世界系のゲームであるMLOに精霊が居ないなんてあり得ない。というか、攻略サイトに精霊と契約したという書き込みがあった」
攻略サイト情報か。そう言えば最近見ていなかったな。
「錬金術思想にも精霊というのは深い結びつきがある。有名なのは錬金術師パラケルススの提唱した四大精霊か」
水の精霊ウンディーネ、火の精霊サラマンダー、土の精霊ノーム、風の精霊シルフ。
これらは錬金術師パラケルススが四元素説を象徴していると著書『妖精の書』で提唱したという擬人化した自然霊的存在のことだ。
錬金術があり、精霊が居る。そして錬金術思想では精霊は地水火風、つまりゴーレムの素材となる土にも宿っている。だから逆説的に精霊は素材と成り得るとガルガロは言った。
「なるほど、話は理解した。つまり俺は精霊を捕まえてくればいいのか?」
理論が分かれば、あとは手段の確認と実行あるのみだ。
手段についてはガルガロの実験室があれば作業台にて生成陣を組むことが出来る。後は素材の確保だが、此処で精霊云々言うってことはまだちゃんとした材料を手に入れてないっとこと。だから協力者となった俺が最初にやることはゴーレムの素材を手に入れることだと考えた。
「話が早い。カラムスには『精霊の宿る土』の確保を依頼したい」
土か。となると洞窟系ダンジョンになるのかな?
精霊の宿る、という条件を満たすためにどうすればいいのか、少し調べる必要もある。
ガルガロがそこを言わなかったのは入手方法がまだ曖昧だったからだろう。そして、俺ならばそれでも入手出来ると考えたから依頼したという彼なりの信頼の証……だと勝手に思うことにした。
でもそうとなれば、採取用の道具も買わなければいけないな。
「土だけを素材とするんじゃ芸が無い。僕の方は少し考えがあるから別行動を取らせてもらう。精霊を抽出する準備も揃える必要があるし。ただ、戦力が必要になった場合は遠慮せずに呼んでくれ。此方もお願いすることもあると思う」
「分かった」
――ゴーレムを造る。
進級試験の時に敵だったあのゴーレムが自分の味方になる場面を想像すると居ても立ってもいられなくなる。はやる気持ちに俺は椅子から腰を上げようとした。
「ああ、それともうひとつあった」
「?」
しかしガルガロの声でそれは中段させられる。
「ゴーレムを造るにあたって、君にも錬金術を使えるようになって貰いたい」
「俺も錬金術を?」
それは凄く魅力的な提案だ。先ほど聞いた話からも、試してみたいことは湧き水の如く溢れ出てきている。ノートに記録したアイディアのメモ書きも乱雑に溜まっていた。あとで整理しないと。
――と、それはさて置いて。
錬金術を取得するにはかなりの手間と時間が必要だということはガルガロ自身が言っていたことだ。それを今からゴーレム完成前にやれと? 餌を前に「待て」と言われた犬のような気分になったぞ。
「ああいや。勿論カラムス個人的に錬金術は取得しておいた方が良いとは思うが、手っ取り早く君が錬金術を使える方法がある」
「? ……あ、もしかして」
「そうだ。インターミドルクラスに進級することで追加された『師弟システム』だ」
師弟システムとは、『師』に登録した学生が使える魔術を、対となる『弟子』に登録した学生が使えるというシステムだ。使えるといっても、タグの問題もあるし本当に一部分だけ。
これはギルドなどで、手っ取り早く新人を使えるようにするためのシステム……と攻略サイトには書かれていたが、詳細は分からない。
しかしこの師弟システムを俺とガルガロで登録すれば、俺にも錬金術が使えるようになる。
錬金術は特殊なタグが無くても道具と設備さえあれば使用可能だ。そういう意味では師弟システムに最も向いている魔術と言えるかもしれない。
――まあ、当分の間はガルガロの研究室でしか使えないのだけど……。
「君のゴーレムは、君自身の手で作りたいだろう?」
そう言われれば頷かざるを得ない。
ガルガロが表示させた師弟システムの登録認証に、俺はYESのボタンを押した。
「――じゃあ、俺はさっそく行ってくるよ」
訊きたい事は聞けた。
やるべきことも理解した。
気力も十分、後は実行あるのみ。
「ああ。頼む」
ガルガロに見送られながら、俺は彼の研究室を後にした。
ガルガロはゲーム系ファンタジーを知らない主人公にそれらを知識提供してくれる重要なキャラクターになってきた。
今回、かなり短くまとめてしまったので、もし分からなかった部分がありましたら質問をお願い致します。




