第十七話 学習の成果
――進級試験・実技の部。
ロア・ジュストー女史の作り出した巨大なゴーレムとのPT戦。
開始から30分を超えて、試験場であるリングの上は混沌の体を成してきた。
水塊が弾け、火花が散り、霧は濃く、風は乱れ、砂埃が舞い飛ぶ。
討伐対象である鍛鋼の巨兵は未だ健在だった。体力ゲージは1割すら削れていない。逆に、度々攻撃手段を変えてくる巨大な敵に都度対応を変更させなければならない俺たちの方が体力的には減ってた。だけど回復魔術を使うことはもはやしない。ポーションを飲むことで徐々に回復させるだけにしていた。魔力を使うのをなるべく制限させるためだ。俺も、俺以外のPT全員の魔力も、既に3分の1程度にまで減ってきた頃だろう。
敵の体力が9割以上に対して、此方の魔力は3分の1。
絶望的とも言える状況。
しかし、PTの誰一人とて、その瞳から戦意が薄れることはなかった。
――作戦は最終段階に入った。
後はこのままを維持し、期が満ちるのを待つだけだ。
「水、火、水蒸気の目暗ましときて、今度は『砂』だと? いったい何がしたいんだ……ただの悪あがきか?」
ロア女史の視界は、ガルガロの操る白い水蒸気の濃霧の壁で遮られている。
呪文を詠唱する此方の声は聞こえているみたいだ。少し移動すれば視界も確保できるはずなのに、ロア女史に移動する気配はなかった。だがそれは、此方としては有難い。
――気付かれる可能性は少しでも減らしたいからな。
水球と交互に、俺は風で砂を飛ばした。
ロートアイアン・ゴーレムの身体の、ロロ美の放つ水球で濡れた部分にピシャッと、桔梗さんの放つ火球に当たり酸化して赤茶に軽く変色した乾いた部分にカリカリッと音を立てて砂がぶつかり、ガルガロの操る風に乗って上空まで運ばれる。
ここまでは想定通りに進んでいた。だが、ここからが正念場だ。
「……ふむ。何が狙いなのかは分からないが、そろそろ良い時間だ。済まないが、終わりにさせて貰うぞ……!」
ロア女史が叫んだ直後、ゴーレムの動きがそれまでと変わった。
『ゴ―ゥ、ゴ――ゥ、ゴォ――――ゥッ!!』
「なっ、タゲが変わった!?」
「カラムス様! そちらへ行きました!」
今までは、確かな目的を持って行動をしていたゴーレムだが、その動きが不規則性を増した。計算では後数発は桔梗さんにタゲが集中していたはずなのに、いきなり此方へと向かって来る。
「――いや、俺じゃない!? ロロ美だ!!」
「…………!?(ほわー!)」
突如、ゴーレムは進行方向を俺からロロ美の方へと切り替えた。
ロア女史の視界は塞いでいるはず。だとしたら操られているのではなく、ゴーレム自身が自律的に動いているということか。憎悪値管理が出来ないランダムターゲットになったのだとしたら今までのペースが保てなくなる。前衛も後衛もなくなったようなものだからだ。
「敵の足は遅い! 距離を取るんだ!」
「――甘いな」
俺の指示に、ロア女史の静かな嘲笑が挟まれた。
前傾姿勢でズドンズドンと振動を立ててロロ美を追うゴーレムが、突如横向きに倒れる。
『!?』
驚く俺たちを気にも留めず、ゴーレムは倒れたまま――――転がり始めた。
盛大に轟音を鳴り響かせて徐々のその速度を上げていく。
まるで巨大なロードローラー。ただしその目的は整地ではなく、敵を磨り潰すこと。
あの巨体、あの重量、そしてあの勢い。今更俺たちがどんな魔術を用いても止めることは出来ないだろう。
「避けてくれ! ロロ美ぃぃぃ!!」
まともに喰らえば一撃死は免れない。だが、俺の身体能力や位置からして、彼女が避ける以外に打てる手立てもない。
「――【ご主人様の御為に】【速き風の道】――――ッ!!」
その時、黒白の一陣の風が俺の視界を横切った。
桔梗さんだ。明らかに身体能力以上の速度で疾走する彼女は、転がるゴーレムを追い越し、唖然とするロロ美に速度を緩めることなく近付いていく。
「――ロロ美様」
「…………!?(ほへっ)」
ロロ美のその小さい両手を、キュッと握りしめる桔梗さん。
そして――。
「申し訳…………ございませんッッッ!!」
「…………!!!(ほわ~~~~っ)」
桔梗さんは踵を支点にくるりくるりと独楽のように回ってロロ美をジャイアントスイング。そのままハンマー投げの要領で高く投げ飛ばした。
「――カラムス様!」
「!?」
ロロ美はゴーレムの頭上を躱しこちらに跳んでくる。
――間に合え!
「っと……!!」
「…………!(へぷっ)」
間一髪、ロロ美を受け止めることに成功した。
「大丈夫か?」
「…………っ(あうあう~)」
ロロ美は大丈夫そうだ。良かった。
――いや、桔梗さんは!?
彼女はロロ美と入れ替わりになった。つまり、あのゴーレムローラーの前に投げ出されたということだ。状況はあまり変わっていない。
「桔梗さん!」
「問題ッ、御座いません……!」
桔梗さんは迫り来るゴーレムローラーに、逆に駆け寄っていった。
「!?」
「ハッ!!」
そして――跳躍。
回転するゴーレムの身体を駆け上がり前転、フワッ……とメイド服のスカートを膨らませて静かに着地した。しかもスカートの中は他者には見せないという貞淑さも兼ね備えている。
「すご……」
「なんというアクロバットメイド」
「…………!(ほわああああ)」
俺とガルガロ唖然。ロロ美は興奮してツインテールをふるふるさせていた。
桔梗さんは此方を見てぺこりとお辞儀をして再びゴーレムへと向かっていく。
――最近のメイドさんはバイタリティ高いな……。
そんなことを思っていると、リング端まで転がったゴーレムが立ち上がった。
再度転がってこなかったことに安堵したが、敵の攻撃がまだ終わったわけではないようだ。
『ゴ…………ゴォォォ――ゥッ!!』
ゴーレムはその巨大な鋼の腕を土のリングに突き立てる。そして勢いよく、その腕を振り上げた。
「くっ……全員防御!!」
『!!』
大量の土塊の雨が、俺たちの頭上から降り注ぐ。
桔梗さんは器用に避けているが、俺を含めた3人にそんな身体能力はないため、魔術で防ぐしかない。各々の属性で盾を作り、最小限の魔力で済ますように努める。
――もうすぐ、試合開始から1時間。
ゴーレムの反撃は激しさを増してきた。お陰で作戦に使う魔力の他に、敵への対処の方に使う魔力も消費してしまう。
それでは、いくらペース配分を意識しているとはいえ……。
「――カラムス! 魔力が尽きそうだ!!」
「私もです!」
「…………!(こくこくっ)」
――やっぱりそうなるか。
レベルが上がり、体内魔力も魔素変換力も上がったといっても、この激戦で俺の方も既に魔力は2割を切った。
「…………くっ」
もう少し。もう少しのはずなんだ。
材料は揃っている。手順もクリアした。
後は期が熟すのを待つだけだというのに……!
「……諦めは伺えないが、残りの手立てがあるようにも見えないな。しぶとく逃げ惑うだけなのだとしたら…………ワタシも、介入させて貰うぞ!」
ロア女史の声の雰囲気が変わった。
彼女の足元から黒い風が噴き出される。その風が、ロア女史の視界を曇らせていた濃霧を吹き飛ばした。
「ルール上、直接には手を出さん。だがワタシの指示により、ゴーレムの動きはより繊細を増すと知れ! …………ん?」
霧が散り、此方からもその黒髪とラフな服装が鮮明に見えるようになったロア女史は、参戦意思を吠えた直後に違和感を感じ取った。
……パリッ、パリパリィッ
連続した火花弾ける音が天より降りてくる。
「ば、馬鹿な……!」
「来た!!」
上空を見上げた俺とロア女史の声が被さった。
これだ。この反応を待っていた。賭けに勝つにしろ負けるにしろ、これで――――
「【我、魔の法を紡ぐ】……」
全てが――決まる!!
「……【地表の土よ、眼に映る敵の足元へ、集い集いて高く細長く隆起せよ】!!」
ゴゴゴゴゴと地面が唸り、ゴーレムの股下に隆起して鋭い土の円錐を作り出した。
広範囲の土を操り、造形まで用いた俺の体内魔力は、もはや一番最初に教えて貰った攻撃魔術すら使えないほど消費してしまった。これ以上は本当に何も出来ない。
――でも、それでいい。これに全てを賭けているんだ。
余計な事は考えない。勝利への道筋――思考は既に、完了している。
それに、負けるなんて微塵も思わない。
何故なら――――ほら。
「まさか、初級の魔術で……ら、『雷雲』を作り出しただとォォォ!?」
天の輝きが、眩ゆいほどに増していくから。
◆○★△
それに気付いたのは、ウィント(水島)たちとダンジョンに潜った時のことだ。
とあることに気付いた彼らの雑談でハッとした。
「へ~、ホントMLOって凄いな」
「きゃるーん☆ 何の話~?」
「ふむ? どうしたで御座るか」
「いや、これ見てみろよ」
「さっきの戦闘で俺が撃った水属性魔術の跡……か?」
「そうそう。此処、濡れてるだろ?」
「それがどうかしたのか?」
「あ、なるー! そーゆーことね♪ きゃるるーん☆」
「前やっていたどのゲームでも、戦闘が終われば、戦闘時の痕跡など微塵も残らなかったで御座るな」
「普通はそういうものなのか?」
「まーな。だからこんなふうに、地面や壁に切傷やら燃えた跡が残るなんてすっげー珍しいぜ?」
「きゃるーん☆ でもー、そうだとしたらダンジョンがボコボコにならない~?」
「確かに。まあ時間経過で元に戻るのでは御座らんか? そんなラノベがあった気がする」
「戦闘の、痕跡が残る……?」
この会話は俺にある可能性を示唆していた。
つまり、一度使用した魔術は『敵』や『場』の属性値に影響を残す。
火属性の魔術なら焦げ跡を残してその場の酸素を消費する。水属性なら敵や辺りが濡れる。風属性ならしばらくその場の空気が乱れる。土属性なら生み出した土や砂が残るなど。
俺はこれを『属性効果の残留』と解釈した。
各場所には各属性値が設定されているというのは講義で習ったことだが、この『属性効果の残留』を利用することで、場の属性値すら操ることは可能。
そして場の属性値を操作して思い通りの環境を作り出せば、初級の四属性タグだけでは出来ないような強力な魔術も発動させることが可能なのではないか。
そう考えた俺は、思いつく限りの事象と、それを発現させるための環境作り、そのために必要な属性魔術で消費する魔力などをまとめた。
今回の敵は、特殊な鍛錬をした鋼の巨人。見た目からして、俺たちが扱うどの魔術でもまともにダメージを通すことが出来ないのは確実だと思った。
俺たちに取れる選択肢は二つ。
ひとつは、手堅くダメージ重視で全力の攻撃魔術を魔力が空になるまで各自が撃ち続ける戦法。しかし、レベル帯が10以上も下の俺たちでは押し切れる可能性は限りなく低い。
もうひとつは、一発逆転を信じてダメージは気にせず場の属性値を制御して最後に強大な攻撃を与える戦法。
どちらもかなりのギャンブル性の高い選択肢だが俺は後者を皆に推した。どちらも賭けになるのなら、成功した時に最も効果の高いだろう戦法の方が良いと思ったからだ。幸い3人からの否はなく、開始までの時間を作戦の打ち合わせに費やした。
そして試合開始。
まずはガルガロの魔力を半分近く使用して試合場を覆う風の膜と、上空に乱気流を作り出した。
次に、場に水の属性値を増加させるためロロ美と俺が水球でゴーレムを攻撃。ロア女史の言っていた通り、錆てくれることもダメ元で期待していたがやはりダメだった。まあそれも想定内。
魔力が少しだけ回復したガルガロも水を使わせ、俺は火属性を使用した。目的は水球にて濡れて水浸しになったゴーレムの身体や地面に火球をぶつけて蒸発させ、水蒸気を生み出すこと。この水蒸気には二つの意味がある。
水蒸気が増えて白い濃霧となった頃合いに桔梗さんは火、ガルガロは風に変更。風で濃霧を操り敵の脳であるロア女史の視覚を殺した。俺たちがやろうとしていることに少しでも気付かせ難くするためだ。
霧の一部はロア女史の目隠しに、そしてその他は上空に送る。上空には最初に張った風の膜と乱気流があるので、何度も何度も送られてくる霧はその場に留まり『雲』となる。
そしてそのタイミングで、俺は砂を舞い上がらせた。舞った砂はガルガロの風に乗って同じく上空に運ばれる。雲の中に取り込まれた砂は気流に揉まれてぶつかり合う。本来なら高高度空域の冷たい大気で水蒸気が凍結した氷粒を使いたいのだが、それは無理なので氷粒の代用品として『砂粒』を使用した。大小の砂粒のぶつかり合いは静電気を生み、雲中に帯電する。
理由は解明されてはいないらしいが、ぶつかる砂粒では大きな粒が負の電荷、小さな粒が正の電荷になるという。そして小さい粒は軽いため雲中の上方へと、大きい粒は重いため下方へと移る。つまり、地上に近い方に負電荷が集まるということだ。
雲底に集った負電荷により、大地の表面には正電荷が誘導される。これを『静電誘導』という。
正と負、両方の電荷は次第に溜まり、やがて許容値を超える。雲の色が黒くなり、バチッとくればそれが合図だ。最後の一手として、地表の土――地表の正電荷をゴーレムの足元一ヶ所に集めて隆起させた。
蓄えきれなくなった正負の電荷の片方を一ヶ所に集め、更に近づけた結果、溜まり溜まった電荷の急激な移動が起こる。
つまり――――
◆○★△
世界の全てが白で染まるほどの閃光。
数瞬遅れて、鼓膜が破れたと錯覚するほどの爆音。
「うああああああああああ!!」
五感の全てが狂っていた。立っていることすらできずに倒れるが、自分がどんな体勢でいるのかすら認識できない。
――『雷』。
それも10mと無いかなりの至近距離での落雷だ。自分で引き起こした事象とはいえ、その威力も、周りへの影響すらも想像以上だった。
しばらくして、耳鳴りが収まり、身体も自由を取り戻す。
強張った瞼をぎりぎりと開いて見た、目の前の光景は――。
「……」
半身が粉々に砕け散り、断面が赤く溶けている鍛鋼の巨人の残骸だった。地面も広く黒く焦げ付き、雷の凄惨さを表している。9割以上あったゴーレムの体力ゲージは全て消えていた。
「ククッ……ハハハッ、アハハハハハ! まさか、まさかノービスが雷を起こすとはな! フハハハ、これはワタシの完敗だ!」
ロア女史は大声で笑い出した。
俺は未だに実感が湧いてこず、唖然としたまま立ち尽くす。
「――カラムス」
「……ガル、ガロ?」
呼び声に振り向くと、そこにはロロ美や桔梗さんも居た。
疲労が色濃く見える3人の確かな達成感を感じさせる笑みを見て、ようやく俺も終わったんだと認識できた。
「くくっ、何を戸惑ってんだオマエら。もっと喜べよ、弾けろよ叫べよッ! オマエらはワタシに勝った――――進級試験、合格だァ!!」
『……!!』
ロア女史の結果発表。
俺たちは賭けに勝った。運の要素が限りなく強く、本当の本当にギリギリだったが、なんとか合格することが出来たのだ。
この日この時より、俺たち3人は『インターミドルクラス』となった。
その後、今回は残念ながら不合格になってしまったフィリップと緋奈とも合流して、桔梗さんも一緒に商業区の酒場に行き、合格おめでとう&不合格残念会を開いた。今日ばかりは、勉強のことは忘れて騒ごう。
『ムっちょ、ガルさん、ロロ美ん、メイドさん、合格おめでとーかんぱーい!』
『フィリップ、緋奈、不合格おめでとーかんぱーい!』
「おいコラー!」
「ぐすん。これが負け組の扱いなんだねー」
「ま、人生谷あり谷ありだ」
「…………!(わふー)」
「はは……」
「皆様、飲み物の御代わりは如何ですか?」
――どうしてだろう?
これはゲームなのに。ゲームでの試験なのに。
現実世界の試験よりも、合格できて嬉しいと思っている俺が居た。
■◆◇◆■
学園城最上階。
学生の誰も入ることの出来ないその場所に、学園の長の部屋があった。
「オマエが目を付けていた学生が今日、進級試験を合格したぞ」
薄暗い部屋の中に響くのは、男のような話し方の女性の声――ロア・ジュストーだ。来賓用のソファーに深く腰を下ろしてくつろぎながら、部屋の主の席へと話しかける。
「それも奴は、魔術によって生じた事象の結果を組み合わせ――自然環境を操り、雷すら作り出してみせた。本来、雷属性はその威力と発現の難しさゆえ上級から習得が可能と設定されている。――分かるか? 無から有を生み出したと同じことを奴はしたんだ」
「…………つまり」
声が、灯った。静かな声だ。
ロア・ジュストーよりも高く儚げな声音。
「貴方の眼からみて、彼は可能性があると……?」
「ああ。六重魔円陣で生成したワタシのゴーレムを、レベルが15にも満たない学生4人で倒したんだぞ? そんなこと、他の誰が出来るというんだ」
「……ロアは、彼に決めますか?」
「む? ん~~~、それはまだなんとも言えんな。奴がMLOをこれからも続ける保障はないし、そもそも見込みはあると言ってもまだまだ全然弱いしな」
「ウェバンは、決めたようです」
「ほう、あのハゲがってことは、『彼女』か」
「そうです」
「まあ、ワタシも彼女にセンスがあるのは認めるが……」
「どちらにしても、此方には時間がありません。早く、見出さなければ」
「ふむ……だったら『試練』を与えるのが一番だ」
「試練ですか?」
「奴を含め、見込がありそうな奴らは試練が困難なほどにその力を飛躍させる。成長を促すには試練を課すのが一番だ」
「なるほど。でしたら、そろそろ『アレ』をすることにしましょう。インターミドルクラスも一定数を超えたことですし」
「アレ、か。それは良いな……楽しくなってきた」
夕日の光が窓より射した。
光は室内を昏く照らし、学長席を影より押し出す。
革張りの大きな椅子には小さい人影が座っていた。猫の耳の生えたトンガリ帽子を被り、青と白を基調とした洋服にミニスカートを纏った金髪の少女。
「…………」
「あまり根を詰めるなよ。こればかりは焦っても仕方がないんだからな…………【チーシャ】」
最初にカラムスの前に現れた時とは全く雰囲気が違う。今の彼女の顔に感情は無かった。
あるのは、今にも砕け散りそうな脆く切迫した雰囲気だけ。
チーシャは窓の外に視線を向け、独り言のように呟いた。
「――それでも、想わずにはいられないんです」
■本日の取得タグ■
【雷属性◆】
第一章ノービス編 終了――――
今回かなりの運に助けられて雷が起きたので、次回同じことをしても出てこない可能性の方が高いです。
次章からインターミドル編が始まります。学生の数も、魔術の種類も増えていって更にカオスさが増します。
戦闘スタイルが確立していないキャラも、この章で確立していく予定。
やっばいです。テンション上がってきた……!!
あ、次章の投稿は申し訳ありませんが、もう少々お時間を頂く予定です……。