プロローグ
この作品はフィクションです。
物語に登場する人物名、地名、団体名、その他固有名詞は現実に存在するそれらとは一切関係ありません。
とある某有名VRMMOモノの正反対な作品を書いてみたい――――
そんな考えから生まれたこの作品。
はてさて、どうなることやら……。
魔素と呼ばれる未知の粒子が発見され、研究され、発展した世界――――《マギカズマゴリア》。
超常を起こす不可思議な力の源である魔素は、日々世界を変転させ続けている。
しかし、世界の変化は決して人々を幸せにするだけではなかった。
魔素によって変異した獣や植物、道具。更には地形や空間、自然現象。
時にそれは神の奇跡にも似た事象を起こすが、時に牙を剥き人々を襲うこともある。
人々はこれに対抗するため、全ての原因である魔素を研究した。
魔素研究者は『魔法使い』、『魔術師』等、様々な呼称で呼ばれるようになる。
そして長い時が経ち、未だ魔素の全てを解明してはいないが、自らの研究に限界を感じ始めた彼らは、いつしか世界中の様々な場所から計らずも集い、ひとつの組織を立ち上げた。
各々が積み重ねた知識、技術を教え合い更に発展、進化、昇華させるため。
才能ある若者に教授して次代に受け継がせ、または新たな閃きを得るため。
世界の変転が及ぼす災厄に対し、優秀な個を集め、衆の力で対抗するため。
その名も、――――《界立スティカレーア魔術学園》。
魔素の全てを研究解明し、それが起こす脅威を無くすことを目的とされて作られた学園。
素質さえあれば誰でも入学出来るが、後の全ては自分次第。
今日もまた、未来有望な生徒が学園の門を潜る。
――さあ、少年少女よ。よく学べ。よく閃け。
世界の命運は、君たちのこれからの行動が握っているのだ。
「…………凄いな。クオリティが半端じゃない」
眼の前には、巨大な石門。
そしてその門が開いた先にある更に巨大な城とも言える学園。
ラピ○タが地上に降りたらこんな感じだろうか、と俺――学生名『カラムス』こと『真鍋尚武』は開いた口が塞がらなかった。
建物を形造る石材の一つ一つに対しても表面のザラザラ具合や質感が見ただけで鮮明に分かる。
服にしてもそうだ。全体的に藍色を基調としたこのローブは簡素な作りながらも編み物としての縫い目もしっかりと確認出来る。
「見た目だけじゃない」
空の色、雲の動き、大地の匂いや風の触感。全てに覚えがあり、そして全てが新鮮だ。
「これが全部……VRとは。技術の進歩は凄まじいな」
仮想世界没入技術、通称VR。
電子空間の中に作られたデータの世界を、五感で感じとることが出来る技術。
それはまさに、別世界に入ったような感覚だった。
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