第七話
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「では、まずはマナ測定から行いましょう」
メレナさんはそう言って、透明な結晶をカウンターの上に置いた。
手のひらサイズで、光を受けて淡くきらめいている。
「こちらに手をかざすだけで大丈夫ですよ。
マナの量と、属性の傾向が分かります」
「分かりました」
僕は一歩前に出て、結晶の前に立つ。
そっと、手をかざす。
次の瞬間。
――
結晶の中心が眩く銀色に光った。
「……あ」
メレナさんが、小さく声を漏らす。
銀色の光は、瞬く間に広がり、建物全体を満たしていく。
「……え?」
周囲の空気が、少しずつ変わっていくのが分かった。
「きゃっ!まぶしっ……」
「銀色? あれ……」
「あんなに光るもんじゃねぇだろ!?」
背後から、冒険者たちのざわめきが聞こえてくる。
ピシッ。
小さな、嫌な音がした。
「……え?」
結晶の表面に、細いひびが入っている。
一瞬、場が静まった。
「ちょ、ちょっと待ってください……!」
メレナさんが慌てて手を伸ばすが、
パキンッ。
乾いた音とともに、結晶が砕けた。
「…………」
粉々になった破片が、カウンターの上に散らばる。
一拍。
そして。
「「「はぁーーー!?!?!?!?!」」」
ギルド全体が揺らぐ。
「割れたぞ!?」
「マジかよ……」
一気に、興奮が膨れ上がった。
「え、あの……」
僕は思わず、手を引っ込める。
「僕、触っただけなんですけど……」
「え、ええ……見てました……」
メレナさんは、こくこくと頷きながら、
割れた結晶を見下ろしている。
「結晶に直接、力を加えた様子は……ありませんでした」
横を見ると。
姉さんが、目を丸くしていた。
「……アトラ」
「うん?」
「……これ、私の番どうなるの???」
「……うん」
なぜか、少し嫌な予感がした。
メレナさんは、深呼吸してから顔を上げる。
「だ、大丈夫です。予備はありますので……!」
そう言って、カウンターの奥へ小走りで消えていった。
その背中を見送りながら、
周囲の視線が、じわじわと僕に集まってくるのを感じる。
(……目立ってる)
僕、何かやっちゃいました?
そんなふざけたことを考えてると、メレナさんが新しい結晶を抱えて戻ってきた。
「お待たせしました。
では……次は、キャトラさんですね」
姉さんは、にこっと笑って一歩前に出る。
「はーい!」
姉さんが、結晶に手をかざす。
(あ、まてよ。僕で結晶が割れたってことは…)
次の瞬間。
――光が、弾けた。
結晶全体が、まばゆい金色に包まれたかと思うと、光の圧で空気が震える。
「え、ちょっ――」
メレナさんが何かを言いかけたその瞬間。
バチィィィッッ!!
重々しい破裂音とともに、
結晶は中心から放射状に亀裂を広げ、粉々に砕け散った。
一瞬、誰もが息を呑んだ。
……そして、沈黙。完全な沈黙。
――十秒。
いや、それ以上かもしれない。
やがて、誰かがぽつりとつぶやいた。
「……測定不能……?」
その言葉を皮切りに、ギルドの中がざわめき出す。
「結晶が二回も壊れたぞ!?」
「おいおい、こんなの聞いたことないって……!」
「金色の光だろ!? 神聖魔法の適性じゃないのか!?」
「神聖魔法自体は珍しくなくない?協会のヤツらが使えるじゃん」
「バカっ!そりゃ神聖魔法を使えるやつらを集めてるからだろ!」
「それだけじゃねぇ…神聖魔法だけじゃなく前の坊主と一緒で全属性使えるってことだ…しかも結晶が割れたってことは…」
「測定不能っ……!?あ、ありえねぇだろ!? !?」
一気に噴き出した声と混乱が、ギルド内を飲み込んでいく。
まさに、阿鼻叫喚。
いや。若干1名さっきまで凛としていたメレナさんが口をパクパクさせている。
(魚みたいだな……)
なんて僕が呑気なことを考えていると、隣にも口をぽかんと開けたまま、呆然と結晶の破片を見つめているキャトラが立っていた。




