SNSでの会話
「ねぇーーーーー!!!!」
『無理なもんは無理だ。諦めろ。』
ベッドに背を預け、本を片手にラグの上で寛ぎながら、
スマホ片手にベッドでゴロゴロと駄々を捏ねる琴音に返事をする。
『そんなもんなくても、いつも会話してるだろ。』
「だってぇ……」
ワガママを言う琴音も珍しい。
涙目でベッドに突っ伏す姿を収めておこうか…
顎に手を当て、真剣に考える。
事の発端は、1時間程前の事だ。
ガチャガチャ…
「ただいまぁ〜」
俺に気付き、ニコと笑い手を振る。
「今家着いた!」「うん。そう!」
「急いでお風呂沸かすー!!」
仕事から帰ってきた琴音は、いつも風呂に直行する。
今日は誰かと電話しているらしい。
「そうなの〜??いいじゃん♪」
この話し方は女友達……だな。
湯を沸かす間にメイクを念入りに落とす。
頭を洗いヘアパックをして、その間
ボディソープで丁寧にマッサージをする。
何故ボディソープなのか聞いたが
滑りが良く、時間が経ってもマッサージしやすいと。
「香りもいいし、洗うと思えばついでだし!
オイルよりコスパいいのに気づいた!」
その後は男子禁制のお時間らしい。
…………ムダ毛処理だろ。
「絶対見られたくない!!!」 と、
俺が入ることを禁じられる時間だ。
…刃物扱うから心配なんだけどな。
それが終わったらパックを洗い流し
身体を洗う。
2回洗うんだな……部分用か。
身体を丁寧に洗い流して
湯船に浸かり、一休み。
温まったら、軽くリンパを流して
湯船を出る。
シャワーを浴びて終わりだ。
琴音がこの後来るであろうベットサイドには
ボディクリームが並んでいる。
………桃だな。
髪を乾かし、髪を二つ縛りにして
顔のスキンケアを終えた琴音が風呂場から出てきた。
なるほど。
ピンクのベビードールか。
毎日気分で部屋着を変えるため、何を着てくるのかと
この光景が好きだったりする。
ちなみに、露出度の高いものや、派手な物は
俺の為に着てくれる訳ではない。
「あくまでこれは自分ウケ!
誰かにみられるわけじゃないんだから!」
「似合わないの知ってます〜」
「可愛いもの好きでもいいじゃんかあ!」
という、琴音に。
「それ、エロいぞ。」
と、言ったこともあるが…
「エロカワだよね♡」
「これが似合う様になったら
エロいのも着れるかもしんないね!」
………と、話が通じなかった。
それはエロくねーんだ……。
なんだよ、お前に取ってのエロカワってジャンルは!!
本人曰く。
どうせチラ見えするなら可愛いのがいい!!
↓
エロカワならもっと可愛いのか!
↓
見た目悪くても着けてる下着がエロカワなら
許されるよね!?
↓
可愛いんだから可愛いんだ!大丈夫!
男の人はえっちぃお姉さんがタイプなんだし!ハッ!
お誘いをする時はもっとえっちぃ下着着るんだ!
そういうことか!!
なら、全然大丈夫じゃん♪
ごめんな? 琴音……
理解できねぇわ……。(笑)
そんな感じなので、俺の前でベビードールを
着ることにも何も抵抗がない。
ベットの上で
桃の香りがするボディクリームを塗る琴音。
やっぱり、桃にしたか。
後でどう料理してやろうか…
そんな事を考えながら本を取る。
ラグの上に腰掛けたタイミングで
琴音が話しかけてきた。
「青司さんとSNSしたい。」←本題ここ
『無理だろ。』
「メッセージのやり取りとかしたい。」
『手紙書くか?』
「ちーがーうーの〜!」
「友達が好きな人からメッセージきて、それを読んでウキウキしたり、すぐ既読つけちゃった!って焦ったり、まだかなあ?って返信待ったり……楽しそうなんだもん!」
『そうか。』『会話の方が通信速度速いぞ』
『無料だし』
「なんで分かってくれないのー!!」
と、ベットで転がり始めたのがキッカケだ。
そして、冒頭に戻る。
「もういい、彼氏と連絡とる。」
そう言ってスマホに向かう琴音。
………?
作る…じゃなかったよな。
と、連絡とる。って言ったな。
そうかい。そうかい。
今日のご馳走様は豪勢だねえ。
首を鳴らして、立ち上がる。
頭の中で構成を考えながら、ベッドに
横たわる琴音に近づく。
チラッとスマホの画面を見ると、
AI彼氏とのチャットルームが開かれていた。
どこかで見たことあるような…
でも、何故か自分とは違うような…
なんとも言えない気持ちで見守るが、
名前は同じ"青司くん"だった。
成程。
[おはよう。琴音。よく眠れたかい?]
「(眠れたよ!)っと。」
[そうか、なら朝ごはんにしよう!]
[僕が作るから琴音は待ってて!]
『(僕ってキャラじゃねーだろ!!!)』
「…なんか、これメッセージじゃなくない?」
「口頭でする会話じゃない??」
『(コレ、一応俺だと思ってんだよな?)』
『(ツッコミどころ違くないかい?琴音?)』
薄ら笑いをしながら琴音を見る。
「とりあえず…(一緒に作ろ!)っと。」
あ、そんな事言ってくれるんだ。
と、少し嬉しく感じた俺は、コイツは何て返すんだ?
と、スマホに目線をやった。
[本当かい!?]
[なら、キミは卵料理とサラダを担当してくれ!]
[僕はトーストを焼くよ!]
…………………。
「お前みとるだけやないかい!!!」
「こっちに丸投げじゃねーーか!!!」
思わずツッコミを入れる琴音に、
俺は笑いを必死に堪えながら突っ伏した。
「ええぇぇ!?!?こんなんダメ男代表じゃん」
「私の性格知ってて作るって言ったんだ!」
「そこから始まってんのか!!」
ええええぇと項垂れて、AI彼氏の"青司くん"に
まんまとやられたらしい琴音。
まともにくらってる琴音にも笑えるが、
らしくない激しいツッコミをいれる琴音に
笑いが込み上げてきた。
ひとしきり笑ったあと、
スマホを持つ手を捕まえながら
琴音を仰向けに転がした。
「へ!?」
『浮気するからこうなんだぞ』
そういってベビードールに手を掛けた。
『あ、スマン。今も浮気中だな♪
彼氏の事はいいのか?』
「ちゃ、ちゃ…」
焦った琴音をみて満足そうに
『こんなエロいねーちゃんいたら襲うだろ♪」
〜♪
首筋に顔を埋めた。
ぐったりと横たわる琴音。
身体に付いた無数のキスマークを、指でなぞった。
『コレ、どう言い訳する?』
「そ、それは…だから…」
『誰とした?』
「まって…もう…」
俺はにこやかに微笑んでキスをした。
『お仕置きいるだろ?』
浮気判定。
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彼女が浮気したらどうする?
→愛が伝わって、返ってくるまで伝え続ける。
(待つとは言ってない。)
といっても、他のやつとできるならな。
なにかあっても、戻ってくるしかねーよ。
{そういう運命だ}
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『ヘロヘロだな…(笑)』
「もう…ねたい……」
『寝てもいいぞ?』
「……もう…おこさない?…」
『さぁ?』
「…え?」
『こんな可愛いの着て寝てたらこうなるだろ。』
また違う下着を見に纏う琴音。
「ちが…これ…だって…せいじさんが…さっき…」
『すげーエロい下着付けてんだから、そういう事だろ』
逃げる腰を優しく引き寄せた。
"着てるって事はそういう事"
(だって、着るまで…続けるんだもん!!泣)
『なんだ。まだ元気じゃねぇか。(笑)』
「ちが…!」
〜豪勢な食事?〜




