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青司さんのお友達 上

2人で出掛けていると、青司さんの知り合いに

遭遇する事が多い。


それは、山の祠近くだったり、池、海、川…

神社や、お寺、教会。お城での事。





今日も、ドライブに出かけた先で

水神様を祀る池を見つけた。


懐かしいな…そう呟いた青司さん。


車を停めて、一緒に行こうと提案した。


『やっぱり、まだいたか!』


そう嬉しそうに話し出す青司さんに、

来て良かったと思った。



『久しぶりだな。』


そう話し出す青司さんに合わせて、会釈する。


私には"姿が見えない"し、"聞こえない"


私に出来る、最大限の礼儀だと思って挨拶の会釈は

する事にしている。


関わってはいけない。


そう言われている気がしているから。


青司さんも私を紹介したりしなかったりで、

"離れていろ"と、心の中に指示を受ける時も

あれば、そばに居ていいと言ってくれたり、

見える範囲なら遊んできて良いぞと、心を通じて伝えられる時もある。


私達の関係性は、うまくは伝えられないけれど

バレてはいけない関係だったりもするらしい。


特に外で会うご友人には、気難しい人が

多いのだとか……


今日来たこの地域は、子供の時にはよく連れて来てもらった所でもある。初めて、この池の近くにきたけれど、

いつも通りかかりに見ながら、車の中でお参りしたなあ。あの時はよくワガママを言って困らせたなあ。

当時を思い出してフフと笑うと、青司さんに呼ばれる。


『良かった。やっと、確信したらしい。』


眉毛を引き上げ、少し呆れた表情の青司さん。





『琴音、挨拶の仕方を教えるな?』

入るぞ。そう言うと青司さんの姿が消えた。


青司さんはたまに私の身体に入り、体を使う。


体が勝手に動くのにももう慣れている。


なにか動作やコツを教えてくれる時、

こうやって身体で教えてくれる。




(私みたいなおバカにはこの教え方が分かり易い。)


『(バカとはいってないだろ(笑))』



この状態の時は心の中での会話になる。


といっても、普段から心の中で会話している時もあるのであまり特別感はなかったりする。


口でも、心でも会話する。

それが、私達なのだ。


青司が一呼吸置いたのがわかった。

これからやる仕草動作を完璧に覚えろ。

隙を作るなよ。


そう言われた気がして、気を引き締める。





こういう時の会話は非常に繊細だ。


仕草、動作、感覚レベルでの会話だから。

心を無にして、感覚に集中する。


この時、身体から抜けるように力を抜き、

体を完全に預け、意思表示をしない事を心掛ける。


ただ、気を抜くと寝てしまう為、

存在感だけは残しておく。






"始めるぞ"






目を伏せ、両手を合わせる…そして………












一通りの動作は終わり。


青司さんの感覚が響く。


"あとは昔教えた通りだ"




ここからは私が動く。








これを習得するのにどれだけ苦労しただろう。

寝ても泣いても、叫んでも暴れても、気絶しても

これだけは確実に覚えろ。

あの優しい青司さんが意地でも教え込んだ。


これを教え込まれる間に同時で、心での会話、感覚、知覚レベルでの会話、心の消し方、存在を消す方法、1ミリ単位のズレも許さないレベルでの動きの真似方、筋肉の使い方、間接の使い方、心を無にする方法を学んだ。 

学んだ…というよりも。覚えてしまったという方が

合っている気がする。





動作が一通り終わると、

"肯定"と読み取れる感覚を覚えた。


表情や、感情に出さず、

目は伏せたまま、深いお辞儀をして下がる。





一度目を閉じて、身体から力を抜いて緊張を取る。




『覚えたか??』


聞き慣れた声に目を開けると青司さんがいた。

まだ、声を出しては行けない可能性もある。


瞳で会話する。



『自信がないのはいつもの事だろう。』

『やってみろ』


そう言われて、先ほどの動きを真似ようと動いた時


顔にふわと、風が当たった。


『止めるか。(笑)』


青司さんは斜め上の方を向いて言った。


『優しいお前だからここで覚えさせたかったんだよ』

『間違えても何もしねぇだろ?』


一つ間を置いて、

『あぁ、初手アイツでな。』

『いや、まいったよ。』


『アイツに身分隠してたから余計に…

………あーハイハイ。スミマセンでした。』






なにやら、会話が進んでいるらしい。


私は聞くことも動くこともできず

ただ、固まっていた。







(生暖かい風だった…)



気が抜けてしまった!



青司さんの鋭い視線が刺さる。



青司さんが目の前に来ると私から目を離さず

怒りを含んだ瞳で見つめているのがわかった。

体に極度の緊張が走る。

焦る気持ちを無理やり抑えて、頭をフル回転させる。

こうなったら、私に出来ることは

一つだけだ。


意を決した瞬間。


『大丈夫だ。』

青司さんが私を抱きしめた。


『その判断ができるなら安心した。』


安堵から震える身体を抑えるように

自身を抱きしめた。






[どういう事だ]


知らない声が心に響く。


『この先までやらされたんだ』


[あの噂は…]


『この子だよ。それと俺だ。』


[それを聞いていれば…!!]


『どうにもできなかったさ。俺でも無理だった。』

『他の奴らには迷惑かけたくなかった。』


[だが…!]


『だからだよ。お前も。同じだろ?』

『繋がりこそ、大切なものがある』


『いざという時、頼んでいいか?』


[………勿論だ。]


[琴音。今はまだ話せぬ。また時期を見て訪ねる]

[気を楽にしろ。私の前ではそのままでよい。]


そう言葉を残して声は消えた。


『もういいぞ。お疲れ様。思い出させちまったな。

悪かった。』



!!!

慌てる私は次の動きに入ろうとする。



『ダメだ。それはやらなくていい。』

『…悪かったよ。でも、コイツにだけはどうしてもやらなきゃいけなかった。』


『俺の悪い癖だ。』


『許してくれ。』


そういうと、青司さんは私を眠らせた。
















………………………………



(心地の良い風が当たって気持ちがいい。)

(まだ寝てたいな…)

(寝よう………)


『いや、起きてくれ』


(…………)


『人目が気になるから。」







(………人目…!)





パチっと目を開け起き上がると、夕陽が綺麗に見える

景色の良い丘の上だった。


周りに人は居ない。





『ここにくる予定だったろ?』


隣を見ると、不安そうに微笑む青司さん。






何か、嫌な予感がする。


『琴音。俺は離すつもりはない。』

『だが、現実…甘くないな…』


「青司さん…?」

次に言われる言葉を予測して、涙を堪える。


これ以上聞きたくなくて、笑顔で先に告げる。

「わかりましたっ!」

そう言って立ちあがろうとした時







腕を引かれキスされた。



"離すつもりはないと言った"

咎めるような口付け。


(でも…!!)

そう返すと同時に体に甘い痺れが走る。





私が否定して離れようとするならばと

どんどん口付けは深くなり。


心が1ミリでも離れるのを許さないと

身体に走るその痺れも強くなっていく。





その感覚に耐え切れず、呼吸が荒くなる。





もう限界だと口を開けば、

待ってましたと舌が入り、深いキスになる。

強くなる快感に思わず身を捩るが


"何考えた?"

"離れる事は許さない。"


その言葉と共にまた一段と快感が強くなっていき

身悶える。







言葉や、快感とは裏腹に

ゆっくりと、安心させるようなキスをされる。






限界がきて、頭が真っ白になった。





体に甘い痺れが走り、力が抜ける。






脱力する私を抱き留めて


"愛してる"

もう一度深い口付けを落とされると、唇が離れた。









そのまま2人で丘に寝転ぶ。


頬を抱き寄せ、額を合わせる。

甘やかす様に、誘うようなキスが降る。




甘く、心が溶かされていくようで…













(愛してます)



私からもひとつキスをした。


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