はなごはん
オレの名前は「曰野 三和」。26歳で予備校の講師をやっている。現在過去未来がともに穏やかであるように、という意味が込められている。
しばらく不思議なことが続いた。「ごはん」がなぜか「はなごはん」になっているのだ。「ごはん」に「花」飾られているのである。
母が亡くなってから少しして、仏壇に供えた「ごはん」に「花」が飾られるようになった。オレは一人暮らしだし、誰も訪ねて来てはいない。その花はどこから来ているのだろうか。よく見てみると、飾ってある造花の一部であるようだ。
こんなことがしばらく続いた。花は、無造作に入れられたというよりも、飾ってあるという表現のほうがぴったりなのだ。こんなの誰かがやったとしか言いようがない。
まさか・・・ね・・・
飾られている写真に目を向けたとき、オレの目には確かに見えたのだ。今度こそアッと声を上げてしまった。
小ネズミである・・・!古い家なので、屋根裏に小ネズミが住んでいたのだ・・・!何をどうしてそうなったのかは分からないが、偶然が生んだ産物だったのだろう。
おまえだったのか・・・
まるで「ごんぎつね」のようなセリフを吐いてしまった。こうして花ごはんの犯人が見つかった。それ以来、花ごはんを見ることはなくなった。




