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海での新生活

【空に船を浮かべる神を殺した】

【皇帝陛下の威光は神をも超えた】

【神は死んだ。皇帝陛下万歳】


 そんな言説が帝都を駆け巡っていたらしい。流言飛語の類かと断じることはできない。


 実際に山を崩し海を割ってきた皇帝陛下なら、やりかねないからだ。


 皇帝陛下は、遥か上空を航行する飛空艇の存在を知ったとき、対象を【空の神】として扱うよう指示した。実際、飛空艇は大陸の各所で目撃されていた。霊峰アクロ山付近にも出没していたので、すぐに信じられた。


 しかし、対する【死刻の蔵人】も、そう簡単にやられるとは思えない。


 シド・アウフタクトこと私は、魔力回復後も思案を巡らせていた。


 極大魔法をあれだけ打ち込んでも破壊できない建造物。それを錬成できるほどの男が、長距離迎撃魔法一発で殺せるのか?


 疑問がつきない。懐疑的になりすぎているのだろうか?


 だが、肝心の蔵人の死体は見つかっていないという。飛空艇に蓄えていた魔力の誘爆で跡形も残らなかったのだろう、と陛下は言っている。


 だが、本当にそうなのか?


 私には、蔵人こそが神をも超えた存在である気がしてならなかった。


                 ◇

「というわけで、飛空艇アイオロスから潜水艦オケアノスへの引越し、お疲れ様です!」


 クロードこと俺は、新天地で祝杯を挙げていた。


「いやぁ、クロードの『撃ち落としてみなよ』ってそういうことだったのね!」

「心配して損しました」

「ホント、底が知れない……」


 エレノア、セレスティア、フレアは三者三様の反応を見せる。


 まぁ、今回は上手くいったと言っていいだろう。


 スカイ・ピアッサーが直撃したふりをしての【蔵潰し】。これは我ながら妙案だったな。


「そろそろ海鮮が食べたい頃だったんだ。ちょうどいい引っ越しタイミングだったろう?」


 ポイントA、B、Cを通る航路もマンネリ化してきたことだしな。


「海鮮かぁ、あんまり食べたことないかも」

 エレノアは内陸地出身だしな。


「私もないな」

 フレアにも海のイメージはない。


「教会の総本山は内陸部なので、パサパサしたお魚しか食べたことありません!」

 と、セレスティア。


「じゃあちょうどいいな。沖合に出たら、浮上して艦上で釣りしようか!」


 というわけで、俺は昔使っていた釣り道具を出してきた。


 さて、次はどんな食材が採れるのだろうか?


 戦乱の世から逃れての安穏生活は新しい局面を迎え、俺はワクワクしていた。


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