第二話
第二話
しばらく森の中を歩いていると軽く舗装された道が見えてきた。道と森の間には石が並べられていて境目が分かるようになっている。
(右と左。どっちに行けばいいんだろう?)
悩んでいると丁度良いタイミングで荷馬車が通りかかった。
「お嬢ちゃん。こんな所でどうしたんだい?」
荷馬車は少し先のところで止まると、御者のおじさんが話しかけてきた。優しそうな顔をしたおじさんで顎髭が少し生えている。
「え、あっ、えっと」
なんて答えよう。目が覚めたら急に知らないところにいてなんて話しても、おじさんを混乱させてしまうだろう。
「迷子かい?」
「あ、はい!そうです」
言葉に詰まっていると先におじさんの方から聞いてくれた。凄くありがたい。別に迷子というのも間違ってはいないので、迷子ということにしよう。
「後ろ、乗っていくかい?」
おじさんは親指で後ろの荷台を指した。
「あ、ありがとうございます!でも、お返しできるもの何も持ってなくて……」
タダほど高いものはない、という言葉をよく聞く。私は今何も返せるものがないので、タダで荷馬車に乗せてもらうことになる。
「ハッハッハ。可愛らしいお嬢さんが1人くらい乗ったって変わらんよ。私が勝手に乗せたんだ」
「それなら……」
私は荷台に乗ることにした。とても親切なおじさんだ。初対面の人をしかも自分から厚意で乗せてくれるなんて。それにしてもお世辞だと分かっていても、可愛らしいと言われるのは嬉しく感じる。親切なだけでなく口が上手いおじさんでもあるようだ。
森の中を抜け平野に行くにつれて道もだんだんと綺麗になっていった。見渡す限り畑が広がっていて、のどかさが心地良い。所々に家も建っていて人もいるようだ。遠くの方には牛や羊などの動物も見える。目の前には崖の上から見た城壁が見え、この道は城壁の中に入るための門に繋がっているようだ。
「さ、着いたぞ」
おじさんは城門の前で止めてくれた。中に入らないのにわざわざ近くまで来てくれたらしい。
「ありがとうございました!」
城門を通って街の中に入る。
(うわ…!すご!)
道の先は城に繋がっていて、城門から入ってすぐの所は市場になっていた。そこら中から商人の呼び込みの声が聞こえてくる。とても活気に溢れていて素敵な街だ。焼き鳥の店からとてもいい匂いがしてきた。今までは色々なことがあって忘れていたが、とてもお腹がすいている。市場の人達を見ると、銅や銀のコインで取引しているようだ。私はそんなもの持っていない。お腹がすいているのに、市場の中を歩くのはなかなかの苦行だが、他の道を行くのもなんだか違う気がするので気合を入れて進む。
「そこのお嬢さん!1本どうだい?」
先程のいい匂いがしていた焼き鳥屋のおばさんが焼き鳥を1本差し出してくれたが、私はそれと交換する物を持っていない。
「いや、でも、何も持ってなくて……」
「なんだいお金もってないのかい?まぁいいさ。お嬢さん可愛いからサービスだよ!」
ここの街の人は優しさが基本ステータスなのだろうか。でも心配なので躊躇していると無理やり手に握らされた。
「!?」
「お嬢さん冒険者だろ?小さいし沢山食べんと!」
「冒険者?」
「おや、知らんかったの?冒険者っていうのはね……」
私が冒険者が何か分からない様子だったので、おばさんは冒険者について知っていることを話してくれた。冒険者は冒険者ギルドに届く依頼をこなして稼ぐ職業のようだ。依頼の内容としては薬草採取、人探し、護衛、魔物討伐、ダンジョン攻略などがあるようだ。魔物討伐やダンジョン攻略は危険なため命を落とすこともあるらしい。冒険者ギルドはこの道を真っ直ぐ行ったところにあると教えてもらった。お金も結構稼げるみたいだ。
「そうなんだ……。ありがとうございました!冒険者ギルドに行ってみようと思います」
私は貰った焼き鳥を食べながら冒険者ギルドに向かった。




