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プロローグ 君は認めるのか?

まずは開いてくれた方に感謝を申し上げます。

誤字脱字等変に思う所があると思いますが、温かな目で読んでくださると助かります。

 それはある日のことだった。

 ……梅雨の季節。


 空は灰色に包まれ、いくつもの雨粒がコンクリートの地面に打つかり飛び跳ねる日。

 ここはある都会の広い交差点。


 救急車の音、パトカーの音が周囲に響く。

 何か事件が起きたのだろうか。

 

 疑問が募る中、一人の少年の泣き声が聞こえる。 

 その子供を慰める大人達の姿、スマートフォンを握り姿を撮影する者。

 多種多様な人間が周囲に漂っていた。


 すると、「道を開けてください!」、と人に呼びかけて歩く人達が現れる。

 清潔感のあるグレーの服装にヘルメットを被った者──救急団員だ。

 

 救急団員達は泣く少年の前に倒れている二人の人間の前に立つと、揃って眉間に皺が寄る表情で素早く担架に乗せて運んで行くのであった。 


 目の前の泣く少年の姿から察するにこの子供の父と母だろう。


 救急隊団員の男性達の声が聞こえる。

「もう助からない、怪我が重症すぎる」、と会話が少年の耳に入り、更に震え始めた。


 これは相当の大事件なのだ。

 少年は頬に付着した血を震えながら、触ると地面に倒れ込み全ての力を抜いてしまった。


 *


 その時から数週間が経ったある日。

 季節は梅雨明け。


 少年は椅子に座っていた。

 その先に何やら念仏を唱えるお坊さんの姿。

 

 木魚を叩くお坊さんの前には二枚の遺影と花束があり、ここはお葬式場のよう。

 お坊さんが念仏を唱え終わると立ち上がり少年の方へ深くお辞儀をして去っていく。


 その後の事。

 暗い服に身を包んだ大人達に少年は囲まれて言葉を次々と放たれる。


『お前のせいで二人は亡くなった』

『二人は何故死ななくてはならなかったのか』


 その言葉を聞いても少年は顔色一つ変えなかった。

 もう彼には顔色を変える力が無いからだろう。


 遠くから二人の人が走って来る。

 囲う大人達を通り抜けて少年を二人が抱きしめると、二人の内の一人である、蒼髪の男性がギョロリと目を尖らせて大人達を睨みつける。


 凍てつく圧のある目。

 今にも目線の先が氷の結晶を紡ぎ始めそうなほどの圧力を大人達にぶつけながら口を開く。


「子供に何をしている?」


 その言葉、彼の雰囲気に圧倒されて周囲の大人達はその場を去っていく。

 蒼髪の男性が再び少年を抱きしめようとした時、少年は暴れ始める。


 二人の内の一人、蜜柑色の髪をした女性が少年の頭を撫でて落ち着かそうとするが効かず、そのハグをすり抜けて走っていく。

 少年は遺影の前に立つと一言放つ。


「行かないで」、と。


 *


 それから数年が経った。

 少年の物心がつき、思春期の時期となる。


 しかし、顔色は昔と変わらず暗く未来に絶望している表情。

 少し時間が経ってしまえば、自分の炎を直ぐに消してしまいそうな心配がある。


 にわか雨が降るベランダにて、青年は空を見つめる。

 これから進む空虚の時間。

 青年はため息を付く。


 ガラガラと後ろの扉が開く。

 青年が振り向くとそこには蒼髪の男性が立っていた。

 あの葬式場にて、青年を抱きしめた男。


 男は青年に近づき、頭を撫でる。

 青年は嫌そうな表情に変わり、その手を強く払う。


 男は優しい表情をして青年へ大きな紙袋を渡した。

 青年は顔を傾け、質問を問いかけるが、「開けみればわかるよ」、と男は答えてその場を去る。


 紙袋を開けてみると中には、古いゲーム機と一つのソフトが入っていた。

 それを見た青年は顔色が変わる。


 にわか雨が降り始めた。

 空が明るくなっていく。


 雲の上の空から一筋の光が出る。

 青年の目からは透明な結晶、涙が流れ始めた。

 そして笑った。

プロローグ終了後、【出会いの書 無月編】が始まります。全数話程で少ないですが、投稿が終わり次第、卯月編を書いて六月中には投稿して行きたいと思います。


◆物語投稿予定


始まりの書(四月の終わりらへんで投稿終了予定)


↓ 自立の書(六月くらいから投稿を初めたい)

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