プロローグ
公立日ノ出高校。偏差値70オーバーの進学校で戦前よりもっと昔からあるとされる由緒正しき伝統高校に月見里翔は通っていた。しかし、首都圏ではあるが海の近くで電車も1時間に1本しか来ないような田舎の高校であり、最寄りの駅からも遠く駅からも歩きだと一時間もかかる距離にある。極めつけに校舎は山の上にあるときた。そんな最悪な立地のおかげか特殊な入試のおかげか毎年志望倍率は1.5倍前後だ。そのため募集定員に対して半分もとらないなどして何とか偏差値や品位を保つ限界高校だ。
「なんでこんな学校来たんだろ。」
と毎日考えながら登校する。無駄に伝統があるためか、海軍を彷彿とさせる帽子から靴まで白い重くて暑い制服をまとい、都市部のほうにある家から毎日二時間以上かけて登校する。名前のおかげで出席番号は最後のため席は窓際の一番後ろだ。いつものように後ろの扉から教室に入り席に座り、登校した翔に気づいた友人たちが集まり他愛のない話をする。少したって担任が入ってきてホームルームが始まった。頬杖をつきながらけだるそうに先生の話を聞く。そんな普通で面倒くさい日常の中に今日刺激が走った。