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雨と傘と恋心  作者: 閃天
11/17

 な、なんだ、アイツは――あの目は――。

 恐怖。それが、俺の両膝を震わせた。

 奴は悪魔だ。あの目はそう言わざるえない。間違いなく殺される。そう錯覚した。


「ハァ…ハァ……」


 どれ位走っただろう。ひたすら走った後、廊下に転がった血の付着したホウキを見て足を止めた。あれは、栢山が大杉の頭を殴ったホウキ。アイツ、こんな所に放置しやがって、バレたらどうするつもりだ。

 そう思い、それに手を伸ばした時、ビュッと風を切る音と共に何かが俺の前髪を掠めた。思わず尻餅を着くと、小さな舌打ちが聞こえた。顔を上げると、そこにジャージ姿の一人の男が立っていた。頭には深々と帽子を被り、顔は見えない。


「だ、誰だ!」

「……」


 返答はない。その代わりに、呻き声がその男の後ろから聞こえた。そこに目を向けると、栢山と内村の二人が倒れていた。腹部を押さえ悶える二人。俺は恐怖で言葉を失った。

 男が拳を握り、静かに俺の方に足を進める。


「だ、誰なんだ! や、止めてく――」


 言葉を言い終える前に、男の足が俺の右頬を蹴り飛ばした。


「みっともねぇな。命乞いなんて」


 蔑む様な目が俺を見る。な、なんなんだこいつは。一体、俺にどうしろって言うんだ。

 頭の中が混乱する。そんな中で、男がゆっくり足をあげる。


「それじゃあ、オヤスミ。そして、サヨウナラ」


 彼の言葉の意味を知る前に、回し蹴りが俺の脳髄を貫いた。その時、帽子が飛び茶色の長い髪が見えた。だが、見えたのはそれだけで、俺の視界はすぐに真っ暗になった。


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