第3泊目 ホテルの面接
◆第3泊目◆
『……いいのないかなぁ…』
私は4人兄弟で他の家よりも裕福とは言えないので、大学は奨学金を借りて通っていた。妹弟も自由に進路を決めて欲しかったので、なるべく家計に負担をかけまいと、私はアルバイトを誰よりも早く始めたかった。
『ここちょうど募集しているみたいよ』
アルバイトを探していたところ、母から焼肉屋とホテルのアルバイトを提案された。焼肉屋ホテル共にこのど田舎では時給がよかったことからどちらも応募した。
焼肉屋からは返答がなく、ホテルからはすぐに連絡が来て、面接の日取りもすぐに決まった。
面接当日、ドキドキしながらフロントに行き、採用担当である支配人を呼んだところ、ひょうきんで憎めない顔の背の低い男性が現れた。金色の名札をつけているところを見ると、彼が支配人のようだ。
『大学生?じゃあ彼らと同じ大学か…いいよ採用!いつから出勤できる?』
あれよあれよという間に採用され、初出勤日まで決まった。話を聞くと、私と同じ大学生の男性が既に2名在籍とのことであった。
初めて働くと言うことと初めて大学の先輩に会えることに少しだけワクワクした。