第1泊目 大学生活の始まり
◆第1泊目◆
『……行きたくない…』
大学初日はきっと誰もが、友達作り、勉学やサークル活動に
胸を躍らせているに違いない。私はその例外だ。
『はるー!お母さんもう行くから、鍵よろしくねー!』
母の声量は朝がピークである。どこからそんな声が出ているのか甚だ疑問である。きっと私はお父さん似だ。
ガチャリ、とドアの閉まる音がした。私は2階から降り、身支度を済ませて大学へ向かった。
予め召集されていた教室へ向かうと、既に席についていた新入生達の視線を集めてしまった。
(もっと早く来れば良かった…)
『…新歓来てなかったよね??名前は??』
視線の1人が私に話しかけてきた。
新歓とは、新入生歓迎会の略で、入学前に新入生が集まって、広く浅く親睦を深める場である。私はもちろん不参加だったので、新歓で仲良し(?)グループができることを知り、若干後悔しつつも作り笑顔で答えた。
『はる…です…。』
『はる ね!じゃああだ名は…はるやん!』
なんちゅうコミュ力やねん!
と、私に微量も存在しないであろう関西の遺伝子がその女性に突っ込んでしまった。もちろん心の中で。
『私はえり!よろしくね!』
『うん、よろしく』
そうして、軽く挨拶を交わし、空いていた席についた。
これが私の大学生活初日の話である。