悪役お嬢様図書館で眼鏡美男子と出会う
「…ここが図書館ね。建物がなんだか…懐かしい感じだわ」
世界の歴史をいま学んでたりもしているけれど、フランス、だったかしら?あの国の建物は、転生前であるアルフォート国によく似ていて、この図書館も……少しだけ…似ているわ。よく幼い頃はルイ様と一緒に勉強をしていたわね。
「入らないのか?」
「ごめんなさい、少し懐かしくて。行きましょう」
「……?」
私は真斗さんについていき、中へ入るとそこには
沢山の本が並んであった。真斗さんにあまりウロウロするなと言われつつも、こんなに沢山の本があるんですものワクワクするに決まっているわ!
「……以前のお前なら本なんて読まないんだけどな。漫画はあるけど」
「あら、では勿体無い事をしてたのね。本はね、沢山の知識が詰まってるのよ」
「そんなの、スマフォとかで調べれば一発なんだけど…」
「貴方達魔法使いは、あの薄い箱に頼りっぱなしなのね。駄目よ、ほら、本の紙1ページずつめくりながら、学んでいくの。楽しいでしょう?」
そうニコニコと話すと、真斗さんは何故か目を逸らした。
「……俺は、外のカフェでまってる。30分くらいしたらまた迎えにいくから…」
「わかったわ」
マンガとかはよくわからないけど、とりあえずどの本にしようかしら!?世界の歴史も良いけど、やはりこの日本の歴代総理大臣とやらも調べておかないと。この国は王がいるのに、政治はこの総理大臣を中心に動いてる。少しややこしいのね。
あと…密かに恋愛小説でも借りようかしら。そう私は恋愛小説を手に取ってみた。
《悪役令嬢に転生してしまった!》
《太っちょ悪役令嬢に転生しちゃったけど今日も推しを見守っています!》
《私の姉は悪役令嬢!》
「………やめましょう。悪役令嬢なんて言葉は、なんだか気分が悪いわ…」
私は恋愛小説はとりあえず諦めて、今日借りようとしている本を取り出そうとした時、足元がふらついて、誰かの肩にぶつかってしまったわ!
「申し訳ありません!私の不注意で…!」
「いえ、こちらこそすいません。僕も横ばかり見て歩いていたからって……如月、さん?事故にあったと聞いたけど大丈夫なの?」
焦茶の髪色で眼鏡をかけている男子が私に話をかけてきた。
「…どなたですか??」
「え?」
「え?」
首を傾げながらお互い見つめてると、眼鏡の男の子はクスッと笑いながら話した。
「なんだか雰囲気変わった…ね?本に興味があるの?いや、ごめん。失言した。本に興味持ってると思わなくて」
「本を読むのは好きですわ」
「……言葉遣いも、丁寧になってるね」
眼鏡男子さんは驚いてるようだし、私この場から離れていったほうよいかしら?そう考えてたとき
真斗さんが現れた。
「…本とかもう選んだのか?……って何してんだよ」
眼鏡男子さんは真斗さんを見て話しかける。
「君は一年の…如月さんの弟の真斗君だよね」
「…えと西園寺先輩ですよね。どうも…」
ぺこりと頭を下げている真斗さん。どうやら真斗さんの知り合いのようだから私も頭を下げて
「如月紫苑です」と挨拶をした。
眼鏡男子さんは目をパチクリして固まっていた。
「え?うん…知ってるよ。同じクラスだから」
同じクラスだとは、記憶にないとゆうか人格が違うからわからないのは無理ないけれど失礼な態度だったわ!
真斗さんは少し面倒くさそうに説明をしていた。
「……あの…事故で記憶が全くないんです。一応内密にしてもらえませんか」
「…そうなんだ。通りで、まったく話し方が…違うから…」
チラッと私をもう一度見てから、少しはにかんだ笑顔で私に握手を求めた。
「僕は如月さんと同じクラスの西園寺陽一郎だよ。まあ、学校きたら、…色々騒がしくなるかもしれないけど、困った事があったら遠慮なく言ってね」
「西園寺さんね、同じクラスメイトとして、よろしくお願いしますわ」
そう私が挨拶をすると、西園寺さんはクスと笑った。
「ごめん、なんか、おかしくて。うん、まあ今の如月さんいいと思う。」
「…良くわかりませんが、ふふ、ありがとう」
笑顔を向けてお礼を言うと二人の顔は赤くなっていました。熱でもあるのかしら?
「また学校で会えるのを、楽しみにしてるよ」
西園寺さんはそう言って、私達は図書館から出てまた帰り道もバスに乗ろうとした。
家に着くと、何故か執事やメイド達はワラワラと集まってきた。そんなみんなの様子を見た真斗さんは呆れていた。
「あの、丸い形をしているタコヤキというものをみなさんに買ってきました。一緒に食べましょう」
お土産にたこ焼きとやらを真斗さんに買ってもらった。丸くて可愛いらしいんですもの。執事やメイド達は驚いて
「紫苑お嬢様が我々にお土産!?」
両親同様、何故か号泣。仕えてくれる者にはきちんとお礼をしなくてはならないもの。でもお金を出してくれたのは真斗さんだわ。もう少しこの世界の生活に慣れたら彼に沢山お礼しましょう。
「真斗さんも一緒に食べましょう」
「いや、なんか疲れたから…」
やはり風邪でも引いたのかしら?そう肩を落としていたら、真斗さんは無言のまま隣に座ってくれた。
「……少しだけならな」
「タコヤキ好きなのね」
両親も帰ってきたので皆んなとたこ焼きを食べた。
みんなと一緒に何か食べるのって、前の世界では味わえない事だし、とても嬉しいわね。
紫苑さん、貴女の体をお借りしているけれど、今私とても楽しいと感じてるの、ありがとう…。