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第3話 勇者たち、お風呂会合?

「―――ッ、あ、も、申し訳ありません」

「ん?」


 突如として部屋の扉がノックされたので、何事かと扉を開けた。すると先程のメイドが慌てた様子で息を切らしている。落ち着くように声をかけると、彼女はゴクリと唾をのみ込んでから「勇者どうしが互いの部屋に入ることは固く禁止されている」と伝えてきた。伝達事項の漏れがあったことを再三詫びられると、改めて俺はお休みと声をかけ、扉を閉めた。


「禁止…………」


 マナーやエチケット、そんなヌルい目的を持った決まりじゃない。勇者が気取(けど)るか気取らないか、ギリギリを攻めている。あるいは気付かれても問題ないようにしている。


 それにしても、勇者が別々の部屋に通されたり、今回を始めとして、互いの部屋でとか、余り話し合う機会を設けられないようにするのはなぜなんだろうな。なぜなんだろうなと言いつつ、可能性はほとんど絞られている。


「分断、か。どこまで徹底するつもりなんだろうな」


 分断、つまり手を組ませないためだ。

 勇者が三人も手を組めば、一国や二国ぐらい簡単にひっくり返る。国が簡単にひっくり返るほどならば、世界がひっくり返ることもある。

 それを危惧してのことだろう。

 ということは、「勇者一人なら何とかなる」という計算がなされている可能性も浮上してくる。異世界に来たばかりともあって、この世界のことについて知らない以上、藪をつついて蛇を出す真似は避けたいところだ。情報が欲しいな。


「眠れねぇ………目が冴えちまった………」


 ベッドの硬さなんて今更気にならないが、考え事が多すぎて頭が睡眠を拒んでいる状況だ。


 まず懸念としては、俺の今の不可解な状況が挙げられる。

 この世界に召喚された勇者のための滞在先として、勇者達には城内の部屋があてがわれた。もう二人の方の勇者達と違い……あの煌びやかな、豪勢な部屋と違い、俺にあてがわれたのは、長いこと使われていなかったであろう、使用人用の部屋だった。

 一応言っておくと、部屋が狭いし埃っぽいし貧相だし………と、文句を言う権利くらいはあると思うが………俺をこの世界に呼んだ、この世界の人間の責任でもあると思うんだが………


 どういうわけか、召喚された時、俺素っ裸(マッパ)だったんだよな。


 いや、俺は悪くねぇよ?


 ただ、そういった想定外、非常事態ともいえる現象に対して、周囲が取る反応は過剰なまでの警戒ってわけでもなく、ただの「侮り」だったわけだが。だからちょっと心にチクチクきてるわけなんだが。


「最悪の事態は免れた………免れたのか?」


 今のところは無害認定されていても、後から何かが明らかになって排斥の対象となる、なんて歴史を紐解けばいくらでもそんな偉人が見つかることだろうな。


 繰り返し言うが、俺こと異世界の勇者は、マッパでこの世界に召喚された。


 武器どころかあらゆる装備、持ち物を持たずに。


 まさに、「裸一貫でこの世界に降り立った」というわけだ。


 ………ごめんなさい無理矢理格好つけて言いました。


 とにかく今の俺は、正直、ほぼ完全な装備を持ったまま同時に召喚された他二人の勇者と違って、周囲からの期待度が低いのは仕方ないだろう。優先度が低いのも。


 仮にも勇者である俺がこのように不遇な扱いを受けるのも、周囲からすれば無理もないことに映る仕組みが、認識があるのだ。


 視覚的に、「あ、コイツ弱そう」というイメージは勇者を見る上で致命的なまでにマイナス方向へ働く。


 民衆が勇者に期待するのが当たり前で、その期待に応えるのも当たり前―――そんな“勇者の前提”に疑問が生じてしまうからだ。


 望んだ英雄ではないから―――。


「勝手なもんだな」


 硬いベッドの上で寝がえりを打つ。俺は前の世界で何度も野宿したことなんかを思い出し、大して変わらない寝心地だなんて感想を抱いた。呑気だな、俺。


 昔を思い出してもなぜだか今は目が冴えるばかりだが、脳裏に浮かぶのは仲間のことばかり。ここに俺が元の世界で持っていた持ち物があればいいんだが。


 仲間は無理でも、せめて持ち物ぐらいいいじゃんか………


 俺は自分の持ち物一つ一つでさえ、何があったのか思い出を確認できる。ペンダントの一つや二つでも、ナイフでも鎧でも、アイテムバッグでも―――俺の半身ともいえる、愛銃剣『ドゥーム』があれば一番気がまぎれるだろうな。

 ただ、どんなアイテムだろうが何だろうが、やっぱり一緒にバカやって死線をくぐって笑い合える仲間がの方がいい。


「…………らしくねぇ」


 だが、それでも求めてしまうのはなぜだろうな。


 ………。


 まるでお守り―――ってわけでもないんだろうが、互いの名を知っている筈もないのに知っていた女に付けられた胸の傷を手でさすってみる。そこだけ皮膚の質が変わったように、何だか自分の肉じゃない気がするが、それは気のせいだ。やはりどう触っても俺の肉体であり、ケロイドにも似た歪な円形の傷跡は、時間をかけることでそのうち治ってしまうことだろう。


 胸に開けられた筈の大穴が塞がって、今はそこだけが何やら聖痕のようにも見えるから不思議だ。触ってもありがたみなんぞ感じないが。


「何やってんだ俺」


 召喚時、俺は何にも持っていなかったから………自身のアイデンティティが幻でないことを、こんな風に確かめてしまうのか。男の胸、ほかならぬ自身の胸板なんぞ触っても嬉しくないが、しかし、こうしていると不思議と最後の瞬間を思い出す。


 この世界に呼ばれる直前のことを。


「……………」


 あれ、俺って今生きてるよな……?


 少なくとも元の世界では、死ぬ寸前ではあった筈だ。


 胸の傷は、塞がった跡がしっかりと残っていて、だからこれが逆に、俺が勇者だったことの証明になっていて………


 あー、ダメだ!


 明日にしようかと思ってたけど、今から風呂入りに行くか。


 クローゼットの中に、おそらく今日入れられたばかりと思われる簡素なガウンを何着か見つけた。その内の一着を抱え、ハンドタオルやバスタオルなど入浴の準備をしてから部屋を出て一階へと向かう。




●●●●●




 確か、いつでも入れるのは貴族用の浴場だったか。今日の案内で城の地図が一通り頭の中に入っていたおかげで、目的地まですぐに辿り着く。


「結構デケェな………」


 浴場エリアに入った後に男女に分かれた入口を目にする。壁にかけられた札の案内通り、そのまま男湯の方へ足を運び、更衣室でガウンを脱いでタオルを持ち、浴場の戸を開けた。


「おぉ………」


 湯煙の中を見渡す限り、大・中・小とサイズに若干の違いはあるが、三つほどの大風呂があった。どの大風呂も、それぞれが獅子のような動物を模した石像から吐き出される湯で溢れていた。あの石像そのものが風呂に特化した魔法システムの一部なんだろう、注視すると魔石に込められた魔力と似たような質のそれを感じる。

 そして同じような気配が、両横手の壁側からも発せられていた。シャワーのようなものと、小さな椅子が並ぶ。銭湯よろしく小綺麗な光景が広がっていた。片側が立ち洗い用で、もう片側が座り洗い用だ。


 ―――と。


「やあ」

「……っ」

「お前ら……」


 最も大きい方の大風呂の湯煙の中から声をかけてきたのは、あの金髪勇者だった。そこには、今日でさんざん見慣れてしまった二人組。声の主である、どこか軽薄そうな鼻高のイケメン金髪と、少し小動物を思わせる、おどおどとした暗い雰囲気の茶髪がいた。フランクな金髪はやはり女にモテそうで、あのおとなしくしている茶髪も顔は良いから、こっちもこっちで女にウケそうではあるな。

 金髪は鍛え抜かれた身体を惜しげもなく晒している。水面から出ている胸から上の身体が、まるで偉人の胸像みたいに、非常に良く画になっている。

 茶髪は相変わらず、首から下の全身をアンダースーツに覆われている。水着代わりにもなるのかと感心するが、そんなんで風呂に入る意味があるのかと首を傾げたくなるな。

 二人とも、こんな風に勇者どうしで集まることそのものが目的だったんだろう。


「来ると思っていたよ」


 金髪は湯船から軽く片手を上げた。俺は軽い首肯を返す。

 二人の視線を感じながらも、立ち洗い用のシャワーで身体を流す。壁に固定してあるシャワーは、魔石と思われる石が壁にはめ込まれていて、それを横にスライドすると湯が出る仕組みだった。魔石の感じ、こちらから魔力を少し流してやれば、出るお湯の温度を下げて水にも変えられそうだな………やらないが。

 すぐ傍の壁台に置いてある、小さな石鹸台に載っていた石鹸を使って身体を洗い、流し終えてから二人のもとへ向かう。


 バシャバシャと近づいたタイミングで金髪が切り出した。


「率直に聞くよ、どう思う」

「何をだ」


 俺がなぜ折りたたんだタオルを頭に載せているのか不思議がりつつ、二人は俺に目を合わせてきた。俺が二人と同じ目線の高さになっても、二人の目は滑らかにブレることなく俺の目を追う。茶髪の目は金髪の目以上に窺うような視線で、少し居心地が悪いな。長い前髪の下からというのもあるのかもしれない。


「この世界、いや、この国のことさ」

「さあな、まだ何とも。詳しい話は明日以降だろ」

「君から現時点での感想を聞いておきたいんだ。ダメかな?」

「そうだな、おっかなそうな国だとは思ってるよ」

「アハハハ」


 俺の言葉を冗談だとでも思ったのか、金髪は愉快そうに笑った。


「…………」


 ふと、茶髪が俺の目ではなく胸の方を注視しているのが見て取れた。

 どこ見てんのよッ!


 ………分かってるって。


 俺の()()()()に興味があったらそれはそれで問題だっつーの。


「なに見てんだ?」

「………ッ! 別にっ………」


 茶髪が慌てたように顔を背ける。心なしか頬を染めているような。


 ちょっとガチっぽいのやめろや。


 まあ、俺のこの胸にある傷………大穴が塞がってから間もないような傷。

 傷自体は別に珍しくもないと思うが………余り肌の見えない茶髪はともかく、金髪の方は大小様々の傷が身体中についているし、ある程度戦い抜いてきたやつなら凝視するほど興味の対象となるものでもない。同じような経験を積んでいるだろうし、死線を何度もくぐり抜けているだろうしな。


 金髪が俺達のことを観察しながら口を開く。悪いことを思いついたような顔、かなり冗談っぽい声の張り方で。


「君はどうして素っ裸だったんだい?」

「それを俺に聞くのか?」


 直球もド直球だった。まさか召喚後のアレをこんな風に聞いてくるとは。


「まさか………()()()()()に呼ばれたとか?」

「ちげぇよ」


 突然下ネタか? というか金髪は「ヤる時は裸」っていうイメージを持ってるみたいだな。自分がそうだからか? 俺自身は、その時に服を着ていようがいまいが、どちらも一般的だと思うが―――いやいや金髪のその手の話なんて、すげぇどうでもいい情報だったわ。

 茶髪の方をちらりと見ると、興味深そうにこちらを見ているだけだった。


「だとしてもあの召喚にそんな条件があるのか? 着の身着のまま呼ばれるとか」

「さあ、それは僕にも。前例が無さそうだからね」

「俺だって初めてだよ」


 そう言って肩を竦めて見せると、金髪は興味を失ったように「へぇ」と相槌だけ打っていた。


「ところで、この城の一階の地図は頭の中に入っているかな?」

「一応な。食堂に大浴場、メイドや衛兵の詰め所なんかがある階だ」

「……」


 茶髪は俺の答えに追従するようにコクコクと頷いた。


「すげぇ広いなと思ったよ」

「全く同感だね」


 俺の当たり障りのない感想が気に入らないのか、金髪はなぜか不満そうに俺の目をじっと見つめてそう言った。


「城下の賑わいの話もそうだし、小耳に挟んだ領土の情報もある」

「すげぇな、もうそこまで情報を?」

「聞きかじっただけだよ。それにしても、この国は随分と力を持っているようだね。協力関係の体裁を整えながら、勇者から“帰還する権利を人質にとる”のだから。隠し事も多そうだし、明日以降、色々情報を集めるつもりだ」

「そうか。俺も頑張らないとな」

「隠し事は良くないからね」


 金髪はそう言って何か威圧するような気配を出した。睨むような、というわけじゃないが、先程よりもじっと動かぬ視線で俺の目を見つめる。


「て言ったって、まだ互いのこともよく知らないだろ」

「……それもそうだったね。じゃあ、あらためてちゃんと自己紹介を」


 俺が至極真っ当な切り返しをすると、金髪は納得したのかそんなことを提案した。


「僕の名前はレイ。前の世界のハムル村というところの出身だ。世界の敵を倒した反動で、もう以前のような強さはないけど、これでもれっきとした勇者だよ。前の世界に帰って婚約者と再会するため、この世界では頑張るつもりだ」


 婚約者か。そりゃあ帰りたいだろうな。


「俺はソウジ。元の世界じゃ世界最強だった。ゴンドワナ大陸出身。自分で言うのもなんだが、勇者のくせに傭兵に知り合いが多いような、身体の半分は荒くれ者みたいなもんだ。元の世界には、絶対に帰るつもりでいる。仲間が待ってるからな」


 隠すことはない。俺は正直に身分を明かした。


「ぼ、ボクは、クローディア。都市ブースト出身、ボクも、元の世界に、戻りたい、です。家族が、待っているので………」

「クローディア……何回聞いても女みたいな名前だな」

「そういうのは言わなくていいんじゃないかな」

「だ、大丈夫、です、言われ慣れてるから………」

「それにしても、へえ、“都市”か。そのブーストってところ、“都市”っていうくらいだから、結構大きいところ?」

「うん……すっごく、おっきい………かも」

「僕もそんな場所は数えるほどしか見当つかないよ。行ってみたいなぁ、村育ちだから、そういう場所にどうしても憧れがあるんだ」

「田舎もんが」

「君だってひとのこと言えないだろう? 出身を“大陸”っていうのは無法者だけだよ」

「言ったろ、半分は荒くれ者みたいなもんだってよ」


 自己紹介をし合って、他愛のない話に移る。

 故郷の話、仲間の話、敵の話、自分の話―――それぞれを深く掘り下げたわけでもないが、長風呂と言っていいくらいの時間は話し込んでいるな。


 自己紹介っぽい話は一巡くらいして、そして今の、この世界・この城の話に戻る。


「―――ちょっと人に聞いたりして調べてみたけど、どうやら三階と二階にそれぞれ貴族達の寝室や、僕ら勇者の部屋があるみたいでさ」

「そりゃあ良かったな」

「まあまあ、そう言わないで。不思議なことがあってさ、三階と二階の部屋に、それぞれ一つずつだけみたいなんだよね、勇者専用の部屋は」

「はーん」

()()()()()()()()()()()()()()()()()、さ」

「…………」

「…………」


 俺が黙り込むとクローディアもじっと俺を見てくる。

 そしてレイが突然、底冷えのするような目で俺を覗き込んだ。


「君の不遇は()()じゃない、()()だよ」

「どうだかな」


 俺はレイの威圧と探るような視線をかわし、肩を竦める。

 まだ右も左も分からない状態であらゆる断定は危険だ。自らの立場を決めることも。決めるのは、今は覚悟だけでいい。


 元の世界に帰る、覚悟だけで。


「―――さて、いい時間話し込んじゃったね。僕はもうそろそろ上がるよ。君達は?」

「俺はもうしばらく入ってるよ」

「ぼ、ボクももう少し」

「そっか。じゃあお休み」

「ああ」

「おやすみ……」


 レイは風呂から上がり、ひたひたと浴場を後にしていく。途中で頭を振り、金髪をかき上げる仕草が色っぽいな、イケメンらしく画になる。多分、この世界でも女がほうっておかないぞ、大丈夫か、婚約者のお嬢(?)さん。

 それはさておき。


「そういえば、お前はずっとそのスーツを着てるな。風呂入った気にならないだろ」

「い、いいよ、明日、また一人で入るから」

「一人で………恥ずかしいのか?」

「う、うん、あんまり肌を見せるのが得意じゃなくて………」


 コイツ、男のくせになんて声音でなんて台詞を喋りやがる。やめろ、俺にソッチのはねぇよ………ない筈だ。


 しかし胸筋が少しおかしいか、スーツの上からもその膨らみが見える。細い身体つきに対して少しアンバランスな筋肉の付き方だからな。

 ただ、身体の線は細いが弱そうとは全く思わない。曲がりなりにも勇者として召喚されているわけだしな。

 だからこそ、その神経の細さが、俺の中でしっくりこない。コイツ、こんな性格で勇者なんてよく務まってたな。何というか、途中で前触れもなくパーティーを抜けていきそうなヤツだと思う。かなりの偏見だが。


 それとも、これが偽りの性格だったりするのか。


「も、もう上がるねっ!」

「おう、今度こそお休み」

「………お、おやすみ!」


 そう言ってクローディアは風呂から上がり、小走りで去って行った。




●●●●●




 我ながら、レイやクローディアと話し込んだ時間も含めて、随分と長風呂をしたと思う。時刻は真夜中もいいところだろう。

 一人風呂から上がった俺は、ほどよく温まった身体を冷ましながら、替えの簡素なガウンを着て更衣室を後にしようとする―――と。


「お、おい!」


 男女の浴場に分れる入口のところに、一人の少女がうつ伏せで倒れていた。


 一目で分かった。なぜならその少女は他でもない―――


「く、クロイツァ姫!?」


 俺は駆け寄り、意識を確認した。


 意識は―――危ない。


「姫! 姫!」


 身体が濡れている、入浴後だろうか。だとしてもこんなところで倒れているのはおかしい、水滴も拭かずに更衣室から出るわけがない。


 普通なら。


「クソッ………!」


 身体に目立った外傷がないか確認しつつ、俺はすぐさま仰向けにしたクロイツァの顎を上げて、気道確保、口付けて息を吹き込み人工呼吸と、合間に胸骨圧迫をして蘇生を始める。もちろん限りなく加減する。


「――――ぷはッ! ぅぅゴほっ! ごほっ! こほっ、ケホっ………」

「姫、大丈夫ですか」

「…………ぁ」


 良かった。


 息を吹き返したクロイツァ姫は、反動で大きく咳き込み苦しそうにしてから、周囲を見回して呆然とする。

 少しショックがありそうだが、命に別状はない。目立った外傷でもあれば治癒魔法でもいいんだが、気絶だとそうはいかない。判断は正しかった。


 こちらがほっとしていると、クロイツァは震えながらゆっくりと、俺、そして自分の裸体を交互に見て―――


「キ、キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 うぉああああああああああああああああああああ!

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