宣告
「あぁぁぁああああ…いた……」
朝起きるとね、痛みが走る時がある。
足が良く攣るんだ。寝てても、起きてても、自転車をこいでても、どんな体制にいてもそんなふうになってしまう。
前にも言ったでしょ?16の時に宣告されたって…あれだよ、あれ…。
まぁ僕からしたらそれから十年以上経ってるからなんて事ないと考えてる訳。
そんな事人に言うと怒られるかもしれないけどさ、僕自身は何の後悔もないからいいんだよ。
実際こうやって文章も打てる訳だし、何の問題もないよ。
ただ、無理しすぎるとダメとは言われたよ。
で、僕は聞いたんだ「無理するとどうなるんですか?」って、そうすると当時の医者はね考えもしないような言葉の返答を投げつけてきた。
『無理すると最悪、車イスになるよ』
はじめは、少し抵抗があったが、当時は右手の痺れと痣が出てきたりで、他の箇所は大丈夫だったんだ。
「大丈夫ですよー」
なんて軽く言うとさ、医者が真面目で冷静にサラッと言葉にするのね。
『今はでしょう?次第に全身に回りますよ、痺れ』
「無理しなきゃいいんですよね?」
何事もなかったかのように、軽く質問する自分がいる。
まるでナンパしてる感覚の軽さで、驚いてしまうほどだ。
それは僕だけじゃなくて、医者もだったらしく、少し溜息を吐いてこう言い放った。
『貴女は人より精神力が強いので…ばてても、無理するでしょう?心身ともに…』
まぁ二年くらいかかりつけてたから大体分かるのだろうか。
初めは薬なんかに頼るか、なんて突っぱねていたら、最後は正直駆け込み寺状態になるんだ。
僕の悪い癖だね、やはり…。
「そんな事ないですよ」
そうやって心の中でボロボロになるまで無理するからと呟きながら、ニコニコしてる自分がいて、少し怖く感じる。
そういう自分も自分なんだなーと思うよ、マジで。
何回、言われても言う事を聞かない性格だからさ、最後は医者が折れるしかないんだよね。
仕方ないよ、僕毒舌で、腹黒いからなぁ。
まぁ、こんな所でブラックジョーク言う暇あるなら、ゆっくり休めよとか思わないでね。
書きたいから、書く楽しんでいる。
正直、今は全身に広がって、脳にも少し痺れみたいなのを感じるが、意識ははっきりしてるし大した事ないんだ。
周りが心配しても、怒っても、僕からしたら、大した事ないんだ。
例え車椅子になっても、身体が動かなくなっても、訓練さえすれば口で文を書けると思う。
僕の知っている作家さんも色々大変だっただろうし、僕もそれくらいの壁がある位が生きごたえがあるって感覚だからね。
人生はギャンブル、刺激の世界。
好きなように生きて、好きなように死んでいく。
それが僕の一番の理想、生死の形のね。