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植物人間





私は『かおる』幸せしか知らない『かおる』


 二人に無意識に逃げて押し付けた弱虫なの。


 私は幸せになりたい、ただそれだけで、二人に押し付けた。


 私の分身達に押し付ける事により、自由に生きれる。それが目的なの。


 無意識にそう思いながら、願っていたんだ。


 謝ったりしない、私は私の願いを叶えるだけ。二人の苦しみなんて知ったこっちゃない。


 私もそう考えると母と同じなのかもね。


 本当の母か分からない、私が『母』とそう呼ぶ人物とね、大して何も変わらない。



 「おば…ちゃ」


 私は『ゆう』として行動をしていた事を覚えてる。主人格は私になったの。


 副人格の私が『かおる』と言う名前をもらい、『ゆう』が力を失くし、一番下へと落ちてゆく。


 暗闇の中、夢の中、現実を見れなくなった、ただの子供に。


 (夢の中で眠ってね…私の代わりに殴られてありがとう…)


 感謝なんて言葉はない、私は痛みを感じない身体になったから、全て『ゆう』が受け継いでくれる。


 そして私は演じるの『ゆう』の代わりに主人格として名前を貰った人としてね。


 『何も喋らなくていい、何も覚えてないのかい?』


 祖母はそうやって私に声をかけながら、優しくおでこをさする。


 「何…が?」


 私は知らないふりをして、大人達に罪悪感を与え、後悔を注ぐの。


 『お前は、五日間眠り続けていたんだよ…病院の先生に、五日目で目が覚めないと植物人間になると言われて…』


 そう事情を聴きながら、狂った私達はリンクし同じ言葉を発する。


 「死んだ方が楽なのにね」


 そう呟くと『なんて事を言うんだ』と周りが私を責める。死のうとしていた訳じゃない。私達は殺されかけたのだ『母』と呼ぶ人物に…。


 よかった、生きててと複数人が周りに来て、涙を流す。


 (殺すつもりだった癖に…)


 兄の時に車と免許さえ奪っていれば、私がこうなる事はなかった。


 外傷は右目の上にガラスが刺さったのと右の頬っぺたに切り傷。


 大きな事故だったらしい。もしガソリンのタンクに突っ込んでいたら、皆殺し同然。


 奇跡と言われた。死んでいてもおかしくないと、運がよかったと、騒いでる。


 運がいい?何がいいの?


 私達に身体と心の傷を与えて、自分達は『よかった』なんてよく言えるね。


 (何が…いいの?)


 

 ねぇ殺してよ。


 自由になりたい。


 倒れる身体なんて、地獄そのもの。


 救急車で運ばれるたびに、母を呪うの。


 (返して、私達の当たり前を…身体を…心を…日常を…)




 そして今の私になるの。


 私の力が弱まればインナーチルドレンと化した『ゆう』が支配する、この身体。




 それが今の現実なのよ。







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