ゆう
やっとゆうにかわった。
ゆうの身体、ゆうの心、ゆうの居場所、ゆうのおもちゃ、ゆうのお母さん。
大好きだから壊したい。
大好きだから憎い。
大好きだから狂わすの。
あの二人はゆうの理想を叶えれない。
とてもとても悲しくて、残念だけどね。
ゆうはお外に出れたのが凄く嬉しい。
かほおねぇちゃんが押さえつけてて、ゆうは自由がなかったの。
あの部屋に閉じ込めて、釘を打って、出てくるなと言ってた。
(大丈夫、上手くするから)
そう言っていたのに、すぐ壊れちゃった。
二人のおねぇちゃん。
ゆうのおねぇちゃん。
「あはははあははあははあ」
誰の姉だって?ゆうはねぇ、あんな奴らの事認めたりしないから。
無理だし、絶対にね。
「二人は使い物にならなかったな、面白かったからいいか」
ゆうは本当のゆうになる。
精神の世界では見た目は子供だけど、一番成長しているのが現実。
あの二人は、いわざカモフラージュでしかなく、ゆうが本当の主人格。
狂ったゆう。
好きな孤独。
楽しい殺意。
「殺せたら、楽しいのにね」
呟く、ゆうの姿は一番ゆうらしい本当の姿。
「ゆうを押さえつけようなんて甘すぎぃ。ゆうが元の主人格なのに、二人で押さえつけれないと無理な癖に、本当笑えるぅ」
ケラケラ笑うゆうの心。
グラグラ崩れるかほの心。
シクシク零れるかおるの心。
全てはゆうの支配下でしかない。
「あの二人は失敗した。次はゆうの番。使い物にならないものはいらない。ただのガラクタ」
そうやって変わっていくのが表と裏の形。
ゆう達の構造の形。
支えあっている人格は少しでもバランスを崩すと壊れてしまう。
一人は泣き、助けを求め。
一人は自分の欲に負けて狂う。
そしてゆうは崩壊に導くんだよ。
パァンと人を叩く音がする。
それが人格交代の合図。
目を閉じてるあたし。
きっともう、目を開けるとあたしはいない。
怖くはない、元の居場所になるだけ。
苦しくはない、だけど、ゆうが出てくるのは危ない。
人を簡単に殺そうとするゆうは悪魔の子。
でもね、ゆうは天使の子なんだよぉ?
優しいゆうは、皆を潰す。
お人形を新しく作りかえるの…。
惨劇が繰り返されるの。