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天使の為のおむつ改革

ブックマークや評価ありがとうございます。精進します。

 

 アンナを連れて、ジャックの部屋へと向かうために廊下を歩く。



 ローレンス家の邸は広い。

 前世風に言うと、多分”東〇ドーム5個分”は優に超える大きさの建物である。


(まあ、田舎に住んでたから〇京ドームがどれくらいの大きさかなんて知らないんだけど…)



 実は、貴族が暮らす屋敷の中でもローレンス家の屋敷はずば抜けて立派らしい。


 さすが三公。





 無駄に広い邸の廊下を暫く歩いてやっとジャックの部屋にたどり着いた。



 ジャックの部屋と続くドアをノックする。



「どうぞ」


 女性の声が聞こえたので入室する。




 乳児特有の甘く柔らかい香りが漂う室内で、ジャックは恰幅の良い女性に抱きかかえられていた。



 この女性こそ先程の声の主で、ジャックの乳母であるエリゼである。



「お待ちしておりました。ソフィア様」


 エリゼは微笑みながらジャックを私の目線の所まで連れてきてくれた。



 お父様譲りの銀髪にお母様譲りの漆黒の瞳。私とは真逆の色彩をもった愛しい弟。



 愛らしい桃色のふっくらとした頬を人差し指で優しく突っつくと、ほにゃりとジャックは微笑んだ。



(っんんん〜~っ!!!何この子!!!すんごい可愛いんだけど〜!!!)

 


 弟のあまりの可愛さにニヤけそうになる頬を両手で挟んで、萌を沈める。



 そんな様子を見ていたエリゼは、「坊っちゃまと沢山遊んであげてください」と言うとジャックをカーペットの上に仰向けで降ろした。



 ジャックはカーペットの上で、体を左右に一生懸命揺らしている。




(…寝返りの練習かしら?)


 しかし、服の上からでも分かるほど嵩張ったおむつが障害となりいまいち上手く動けていない。



 アンナに頼んでジャックを膝の上に乗せてもらって遊びながらソフィアは考えていた。



(もっこりしたおむつ尻は可愛いけど、これはさすがに動きづらそうよね。…やっぱり、おむつカバーを使った方がいいと思うわ。でも、今使ってないってことは、きっとこの世界にはおむつカバーの存在がないのよね…)




 暫くジャックと遊んでいたが、ジャックのおねむの時間になったため、また遊びに来る約束をして部屋を退出した。




 自室へと戻る道中、ソフィアとアンナはジャックについての話をしていた。


「ジャック、前に会ったときよりも大きくなっていたわね」


「乳飲み子の成長は早いですからね」


「ジャックが歩けるようになったら、お屋敷の色んなところを案内してあげるの!」


「それは楽しみですね。ジャック様もきっと喜ばれるでしょう」



 気の早い姉は既にどこにジャックを案内しようかとワクワクし始めている。


(でも、その前にジャックが動きやすいように、おむつカバーを作らなくっちゃ!)



 自室へ戻ったソフィアは、早速机の上でおむつカバーの設計図を描き始めた。

 この世界の文字がまだ書けないので、絵だけで全てを表現する。



(えっと、ここは防水の生地を使って…って、防水の生地なんてこの世界あるのかしら?)



(ここはマジックテープを使って…って、この世界にマジックテープなんてないわよね。今まで見たことないもの。…だったらここは紐で結ぶタイプにしてっと…)




 試行錯誤しながらやっと完成した設計図を持って、ソフィアはお母様の元を尋ねた。



 お母様に今日ジャックに会った際に、おむつが嵩張って動きずらそうだったことを伝え、設計図を見せながらおむつカバーの利便性を訴える。



「なるほど、大体のことは分かりました。ところで、質問があるのですが、貴女の言う『ぼうすい』とはなんですか?」


「防水とは、水を吸収しにくい素材のことです」


「なるほど、でしたらブルーボレの布地が良いですね」


 ブルーボレというのは、ブルーボという植物から出来た糸で織った布地のことらしい。ブルーボレは防水性に優れ、傘などを作る際に使われているらしい。




 お母様は私の話を聞くと、設計図にいくつか文字を書き込み、早速何枚か仕立て屋に作らせると言い部屋を出ていった。



 出ていく際に「この様な素晴らしいものをよく思いつきましたね」と頭を撫でてくれた。



(ふふん♪褒められちゃった。前世の知識を自分の手柄にすることに少し抵抗はあるけど、治外法権だし、快適な生活は何ものにも変え難いからね!)



ソフィアは、ジャックのおむつかぶれを防ぐため、排泄後直ぐにおむつを取り替えられるように、こまめにおむつチェックをするようエリゼに伝えています。

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