表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

アンナとこれからと弟

 

 お母様の話が終わった後、お父様は私をぎゅっと抱き締めてお母様と一緒に何も言わずに部屋を出ていった。



 お父様とお母様と入れ違うように、アンナが部屋へ入ってきた。


 アンナの顔を見た途端、今まで我慢していた感情が一気に押し寄せてきて、涙が出てきた。



「アンナっ!!ごめんなざ…い、わたくしっ!!!わっ…くしが…よぐっ…がんがっ…ないでっ、…」



 言いたいことは沢山あるのに、涙と鼻水とぐちゃぐちゃの感情のせいで上手く言葉が出てこない。



 アンナは私の傍へやってくると、ハンカチで涙を拭った。



「お嬢様、そんなに泣いたら可愛らしいお顔が大変なことになりますよ。私はお嬢様の笑ったお顔が一番好きなのです。私の大好きなお嬢様の笑顔、見せてはくれませんか?」



 涙で滲んで歪んで見えるアンナの笑顔をみて、私は精一杯の笑顔をつくった。


 涙と鼻水で酷い顔だった筈なのに、アンナは「やっぱり笑顔のお嬢様が一番素敵ですね」と言って鼻水を拭いてくれた。




 ********************




 翌朝、アンナを筆頭に数人の侍女たちにドレスへと着替えさせてもらったり、朝の支度をしながらソフィアは考えていた。



 どうやら昨日は泣き疲れて眠ってしまったらしく、気づいたら朝だった。


 寝ている間に湯浴みも済ませたみたいで、涙と鼻水のベトベトもなく、スッキリさっぱりしている。



 昨日の今日で気持ちの整理はまだ出来ていないが、きっと今までのように遊んで過ごすだけではいけないと思っている。


 遊んでればいいと思っていた昨日の自分には悪いけど、やっぱり貴族に生まれ変わったなら、立派な貴族令嬢になりたいと思う。


 大事なものを守れる強さを持った、立派な貴族令嬢に───。


 そのためには、


「ねぇ、アンナ。私、遊んでばかりでは駄目だと思うの。だから家庭教師をつけて貰えるようにお父様にお願いしてきてくれない?」


 そう言うとアンナは笑顔で「直ぐに伝えて参りますね」と言い退室した。



 ソフィアは今年で6歳になった。

 6歳、前世で言えば小学校に入学する年である。勉強を始めるには丁度いい。


 ソフィアには今のところ家庭教師がついていない。なんでも、私の自主性を尊重したいと言う理由で今までつけてなかったらしい。



『家庭教師をつけてほしい』と伝えたところ、お父様もお母様も大喜び(特にお母様)で、直ぐに家庭教師を見つけると張り切っていた(特にお母様)。




 侍女たちによる身支度も完璧に済ませた。


 今日のドレスは、装飾の少ない比較的シンプルな淡いピンクのドレスである。

 また、髪の毛も全て後ろでひとつにまとめている。


 装飾の少ない理由、髪をひとつ結びにした理由、それは、赤ちゃんと触れ合うためである。



 そう!


 今日は、記憶を思い出すきっかけを作った、布おむつの持ち主である、愛しの弟ジャックに会いに行くのである。


 実は、ジャックに会うのは今回で2回目なのだ。



 初めてジャックと会ったのはまだソフィアが前世の記憶を思い出す前、絶賛野猿中の頃であった。



 その時ソフィアは、見たことのない小さな人間に興味津々で、顔や体を乱暴に捏ねくり回した。


 生まれて数日しか経っていない赤子をである!!!!



 慌ててソフィアをジャックから引き離したお母様の「ソフィアが加減を知るようになるか、ジャックが丈夫な子になるまで2人を会わせません」という鶴の一声により、あれから4ヶ月ジャックには会っていない。



 今朝、目覚めて直ぐにお母様にジャックと会わせて欲しいとお願いした。



 ジャックに怪我をさせたり、ぬいぐるみみたいに乱暴に触ったりしないと必死に頼んで頼み込んで、やっとお母様も了承してくれた。



 ふふん♪


 楽しみだなぁ~♪


 久しぶりの赤ちゃん♪♪


次回、ソフィア弟に会えません!次回は今まで一言も話していないお父様視点のお話です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ