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貴族階級は理不尽

連続投稿失礼します。

 

「その様子だと貴女は全くその可能性に気づいていなかったようですね」



 ダブルショックに開いた口が塞がらない私を見て、お母様は私が全く誰かを危険に晒すような行動をしたことに気づいてないと分かったようだ。



 お母様は、大きなため息を1つつくと話を続けた。



「だから貴女は貴族としての自覚がないと言ったのです。いいですか、ソフィア。貴女の貴族としての自覚のない行動により、アンナは解雇される可能性があったんですよ」



 アンナはソフィアの専属侍女で、ソフィアが姉のように慕う存在である。


(大好きなアンナが私のせいでクビになるなんて…)



「どうしてアンナがクビになるのですか?アンナは何も悪くないのに」



「…ソフィア、私の話をちゃんと聞いていましたか?私は『可能性があった』と言いました。アンナをクビになんてしませんし、アンナではなく貴女が悪かったのだと私も旦那様も理解しています」



 アンナがクビになる、というのが早とちりの勘違いでホッとしたものの、私の言動の何が間違いだったのか知っておかなければ行けない。



 今後、同じ過ちを起こすことがないように。



「お母様、私の何がいけなかったのですか?教えてください」


 お母様の目を見つめて質問した。


 怒ってるお母様は確かに怖い。でも、それよりも、無自覚に誰かを危険に晒す事の方が怖いから。




 お母様は「まだ貴女には難しい話になりますが」と前置きをして話し始めた。


「貴族という立場は、人々を纏め統べる立場です。人の上に立つということは、人を物のように扱うことでは決してありません。それは分かりますね?」



「はい。勿論です」



 普段からお父様とお母様は言っている。


 私たちが裕福な生活をできているのは、平民のおかげであると。



 貴族として人の上に立つからには、相応の責任を持たなければならないと。



 お母様は私の答えに満足そうに頷いた。



「人の上に立つ者の言葉ひとつで、従う者たちの人生が変わることもあります。なので、人の上に立つ者には責任が必要なのです。従う者たちの人生を握っているのだという責任が。今回の貴女の行動は、その責任感が欠けた行動でした」



「…責任感ですか」



「そうです。私たちに仕えている者たちには、私たちの生活を、ひいては命を守る責任があります。貴女はアンナが制止しているにも関わらず、使用人区域の庭に行き、挙げ句の果てに熱を出して倒れました。これはアンナが制止をしなかったからだと、アンナが責任を果たさなかったということになったのです」


「何故ですか?アンナは何も悪くないのに?」



「『そういうものだから』としか言えません。使用人は主に逆らうことは出来ない、でも、主に何かあった場合には責任を取らなければならない。非常に理不尽ですが、貴族の世界とはそういうものなのです」



 あまりにも理不尽な言い分に、色んな感情が押し寄せてきて、ソフィアは拳をぐっと握り締めた。


 お母様はそんなソフィアの拳を優しく包むとこう言った。



「だからこそ、大切なものを守りたいなら、自覚と責任を持たなければなりません。力を持つということは、簡単に人の人生を変えることが出来るということなんですから。自分の行動がどんな結果を招くのか、よく考えて行動しなければなりません。それが貴族として、人の上に立つ者としての自覚と責任に繋がるのです」


 と…


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