表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱剣士とストーカー魔法使い  作者: カエル
番外編、IFストーリー
77/140

もしも菱谷、三島、ホーリーが五歳だったら

「皆一回子供みたいな性格になって安藤に世話されないかな」


という感想を頂きましたので、菱谷、三島、ホーリーが五歳だったら?というIFストーリーを書いてみました。

 ここは、『最弱剣士保育園』。


 今日も元気な子供達の声が聞こえる。保育士さん達は、元気な子供達の世話で毎日、天手古舞だ。

 保育士の皆さん、いつもご苦労様です。


 安藤優斗は、この保育園で働く保育士の一人だ。

 彼は子供にとても人気がある。


 さっそく菱谷という女の子が安藤に声を掛けた。

「せんぱい、抱っこしてください!」

「いいよ。よいしょ」

「わーい!ありがとうございます。せんぱい」

「菱谷さん。俺の事は『せんぱい』じゃなくて、『先生』って呼んでね」

「せんぱい。良い匂いがします」

 菱谷は安藤の首筋の匂いを嗅ぐ。


「せんぱい。ハァハァ。せんぱい……」 


「ちょっ、菱谷さん?」

 菱谷の様子に困惑していると、三島という女の子が近寄ってきた。

「ゆうと。私も抱っこして!」

「由香里さんも俺のことは『先生』って呼んでね。分かった。じゃあ、菱谷さんは降りて……」


「え、嫌です」


 菱谷の声のトーンが変わった。

 甘えた声は消え、とても低い声となる。

「で、でも菱谷さんが降りてくれないと、先生、由香里さんを抱っこできないから……」


「ぜったい嫌です」


 菱谷は五歳とは思えない力で安藤にしがみついた。

『絶対に離れない』という強い執着を感じる。


「どうして、私がせんぱいと離れないといけないんですか?私とせんぱいは、愛し合っているんですよ?なのに、どうして離れないといけないんですか?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?どうして?」


「め、目が怖い!え~と……」

「ゆうと」

「ご、ごめんね。由香里さん。ちょっと待って……」

 謝罪する安藤に、三島はニコリと笑った。


「気にしないで、ゆうと。私は『おっと』を困らせるようなことはしないから」


「……はっ?」

 三島の言葉に、菱谷がピクリと反応した。

「お前、今なんて言った?」

「私は『おっと』を困らせるようなことはしない。って言ったの」

「きさま……」

 安藤から降りた菱谷は、三島の目と鼻の先まで顔を近づけた。

「とり消せ。せんぱいとけっこんするのは私だ」

「私だよ。私とゆうとは運命でむすばれている」

「消すぞ」

「やれるもんなら、どうぞ」

 菱谷と三島から殺気が溢れ出す。


「ひっ!」

 あまりの殺気に、安藤は腰が引けた。

「怖い!とても子供が出す殺気じゃない!だ、だけど止めないと!」

 そう。安藤は保育士。どんなに怖くとも子供の喧嘩を見過ごすことは出来ない。

「ちょ、二人とも……」


「ユウトさま」


 安藤が菱谷と三島の喧嘩を止めようとした時、また別の女の子が安藤に声を掛けた。

 ホーリーという女の子だ。

「何?ホーリーさん。悪いけど俺、二人の喧嘩(喧嘩って言うより殺し合いをしそうだけど)を止めないと!あと、君も俺のことは『先生』って……」

「二人の喧嘩を止める良い方法があります」

「―――ッ!?」

 安藤は目を大きくする。

「何?教えて!」

「お耳を近くに」

「うん」

 言われた通りに、安藤はホーリーに耳を近づける。


「チュッ」


 安藤の唇に柔らかいものが触れた。

「ちょ、ホ、ホーリーさん?」

「私のファーストキス。ユウト様に差し上げてしまいました。キャッ!」

「あの、ホーリーさん?だめだよ。そんなことしたら……」


「おい、お前……」

「いま、ゆうとに何したの?」


 完全に表情が消えた菱谷と三島がこちらを見ていた。


「や、やっぱり!ホーリーさん!君、二人の喧嘩を止めるって……」

「はい、ユウトさま。これで『二人の喧嘩』は止まります」

「えっ?」

 困惑する安藤にホーリーは微笑む。


「私も加わりますので、『三人の喧嘩』になります」


「えええええっ!!!???」

 ホーリーは無表情でこちらを見てくる菱谷と三島の元へ、全く怯える様子なく歩いた。


 五歳の少女三人が睨み合う。


「ちょ、三人とも!やめ……」


「せんぱい、心配しないでください。害虫はすぐに駆除しますから」

「ゆうと、大丈夫。ゆうとに付きまとう女はすぐに排除するから」

「ユウトさま、ご安心ください。ユウトさまは私が守ります」


「ひいいいい!」

 三人から立ち昇る殺気は最早、安藤一人では止めることは出来ない。


 安藤は他の保育士に助けてもらおうと周りを見る。

 しかし、こんな時に限って、ここには安藤しか居ない。


「死ね」

「消えて」

「お覚悟を」


 三人の少女がぶつかり合う。


 たった五歳の少女三人の争いは、機動隊が出動するまでに発展し、テレビや新聞でも取り扱われるほどの大きな事件となった。


 この事件は後に「ブラッディ・ナーサリー」と呼ばれ、広く知られることになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] そういえばこれでロリヤンデレは達成ですね
2021/02/11 11:03 りくしょう
[良い点] 有り難うございます。感謝しきれません [一言] 皆頭いいから難しい言葉たくさん使ってるの細かい
2021/01/15 00:14 りくしょう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ