表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/140

番外編 ー8月9日(ハグの日)ー

 今日は、8月9日で(ハグの日)らしいのでショートストーリーを書いてみました。


 Twitterに載せてたものを加筆しています。

 ハグの日~安藤と菱谷の場合~


「先輩、『私を抱きしめてください』」

「や、やめろ!」

 体が勝手に動く。己の意志に反して、安藤の両腕は菱谷の体を強く抱きしめた。

「い、嫌だ。菱谷、やめろ!」

 安藤は菱谷を抱きしめる自分の腕を、何とか離そうとした。

 しかし、安藤の腕は全く動かず、菱谷の体を抱きしめ続ける。

「くっ、くそ!動け、動け!」

「クスッ。照れてる先輩、とても可愛いです!」

「ち、違う!俺は、そんな事……」

「先輩」

 微笑みを浮かべながら、菱谷も安藤の体を静かに抱きしめた。

「やめろ!離せ、離せよ!」

「愛しています。先輩」

 苦悶の表情を浮かべながら抵抗する安藤に、菱谷は嬉しそうに微笑む。


「ああっ、先輩。私はとても幸せです」


***


 ハグの日~安藤と三島の場合~

 

「優斗、私を抱きしめて」

「…えっ」

「ほら、早く!」

 笑顔で両手を広げる三島。そんな三島を安藤は顔を紅くしながら、抱きしめた。

「痛くない?」

「大丈夫」

 三島も安藤を抱きしめ返す。安藤と同じ、相手が痛がらない強さで。

「温かい」

「俺も」

「幸せ」

「俺もだ」

「そろそろ、夕食だね」

「うん」

「でも、離れたくないなぁ」

「俺も……離れたくない」

 安藤と三島は、お互いの温もりを感じ合いながら目を閉じる。

 腹は空いたが、幸せだ。と安藤は思った。

 二人はしばらくの間、夕食を食べるのも忘れ、そのままお互いを優しく抱きしめ合った。


「優斗。私はとても幸せだよ」


***


 ハグの日~安藤とホーリーの場合~


「ユウト様、私を抱きしめてください」

「で、出来ません!」

「ユウト様は私を抱きしめるべきです。何故なら~」


 五分後。安藤はホーリーを抱きしめることにした。

 自分は、ホーリーを抱きしめなければならない。ホーリーの話を聞いた安藤は、そう思った。


「じゃあ……」

 安藤はホーリーを優しく抱きしめた。

「だ、大丈夫ですか?痛くありませんか?」

「はい、大丈夫です。ユウト様は優しいですね」

 ホーリーは微笑みながら、そっと安藤を抱きしめ返す。

「人は、自分が愛している相手に抱きしめられると、体に様々な良い効果を得られるそうです。まるで、魔法のようですね」

「……そ、そうですか」

「ドクン、ドクン」

「―――?」

「ユウト様の心臓の音が聞こえます」

「―――ッ!」

「緊張されているのですね」

 ホーリーはクスリと笑う。

「私も心臓がドクン、ドクンと高鳴っています。体が熱く、全身に喜びを感じています。これも、愛する人に抱きしめられることによって得られる効果ですね」

 ホーリーは、ほんの少しだけ安藤を抱きしめる力を強めた。

 

「ユウト様、私は幸せです」


***


 愛する相手と抱きしめ合いながら、三人の少女達は奇しくも同じことを思う。


『絶対に、この人を誰にも渡さない』


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ