再人生3
この人生はチュートリアルだ。
私の異能『再人生』は、15歳になった段階でその人生を『続ける』か『ステータスを振り直してやり直す』かを決めることが出来る。
…最強だ
最も強いと書くに足る、最強の異能。
しょっぱい異能や、デメリットしかない異能が蔓延るこの世の中において、これほど強力な異能がある?
いや、ない。
だから私は、この能力をひた隠して、人生を生きる。
友達だから、自慢したいから、衝動的に、そんな理由でこの異能を無駄にする可能性を増やしてたまるか。
私は私自身を見極める。
そして、どういった能力が人生を過ごす上で重要なのかを見極める。
なぜなら、振り分けることの出来るステータスの絶対量は今の私のソレと変わらないんだから。
頭をよくするかわりに運動を出来なくするとか、そんな感じ。
他の全てを捨てればどんなことだって出来るけど、そんな馬鹿な真似を私はしない。
14年生きてきたら大体人間社会というものに何が必要かなんてわかってくる。
お金だ。
結局、お金持ちが得をするんだ。
多少顔が良かったところで、歳をとったら何の役にもたたない。
貧乏人はオシャレも出来ないし、デートにだって満足に出来ない。
そうなったらズルズルと、貧乏な格好に引っ張られて、貧乏人生をおくることになるんだ。
そうなった私を、お金持ちはほくそ笑むんだ。
その点、お金持ちだったら全部が解決する。
かっこよくて、年収も高い旦那さんとも結婚させて貰えるだろうし、コネさえアレばカッコイイキャリアウーマンに慣れたりだってしちゃうかもしれない。
上流階級に仲間入りして、裕福な生活を送りながら夫婦円満な家庭を築くんだ。
だから、私は、この再人生でお金持ちの子である私になる。
今みたいに無意味に整った顔を捨てて、お金持ちになればきっと素晴らしい人生になるんだろう。
きっと、私立の高校、私立の大学と精一杯遊べて、丁度いい時期になったら結婚できる。
今みたいに、お金がないからなんにも出来ない窮屈な生活をおくることも無くなる。
顔だけ扱いされることもなくなる。
楽しみだ。
さぁ、再人生の時間よ。
さぁ、再人生の時間よ。
さぁ、再人生の時間よ…
さぁ…