再人生
この人生はチュートリアルだ。
私の異能『再人生』は、15歳になった段階でその人生を『続ける』か『ステータスを振り直してやり直す』かを決めることが出来る。
…最強だ
最も強いと書くに足る、最強の異能。
しょっぱい異能や、デメリットしかない異能が蔓延るこの世の中において、これほど強力な異能がある?
いや、ない。
だから私は、この能力をひた隠して、人生を生きる。
友達だから、自慢したいから、衝動的に、そんな理由でこの異能を無駄にする可能性を増やしてたまるか。
私は私自身を見極める。
そして、どういった能力が人生を過ごす上で重要なのかを見極める。
なぜなら、振り分けることの出来るステータスの絶対量は今の私のソレと変わらないんだから。
頭をよくするかわりに運動を出来なくするとか、そんな感じ。
他の全てを捨てればどんなことだって出来るけど、そんな馬鹿な真似を私はしない。
14年生きてきたら大体人間社会というものに何が必要かなんてわかってくる。
頭だ。
頭がいいやつが、全部決める。
多少運動が出来たところで、大人になったら何の役にもたたない。
いい高校に行けなかったら、化粧とSEXしか頭にない馬鹿共と一緒にされる。
そうなったらズルズルと、繁華街で売女のような生活をおくるに決まってる。
そうなった私を、頭のいいやつはほくそ笑むんだ。
その点、頭が良かったらいい会社に入れる。
かっこよくて、年収も高い旦那さんとも出会えるだろうし、ルールを作る、搾取する側に回れる。
上流階級の仲間入りとまでは行かないだろうけど、そこそこいい暮らしが保証されているはず。
だから、私は、この再人生で頭を良くした私になる。
今みたいに無駄にある運動神経を捨てて、頭が良くなればきっと素晴らしい人生になるんだろう。
きっと、いい高校、いい大学に入って、そこそこの勉強と、そこそこの青春をしながら大人になる。
今みたいに、勉強してもしても報われないなんてこともなくなる。
バカ扱いされることもなくなる。
楽しみだ。
さぁ、再人生の時間よ。