3話 人間は信じられない
奈雛たちとは別に、アニメの話をする友達もできていた。
その中でも一番仲が良かったのは、前置詞さんという人で、アニメが好きだった僕はよくアニメのキャラクターの真似などをしていた。
同じ声真似の界隈の人達と仲良くなれたのも前置詞さんのおかげだ。
今では、僕も前置詞さんも声真似はしていないが、たまに一緒にゲームの会議で一緒になることがある。
前置詞さんはリーダーシップがあり、多くの人から慕われていて、憧れの気持ちもあった。
恋愛の話やゲームの話、アニメの話など、なんでも話せて、話していてすごく楽しかった。
だが、前置詞さんの周りにもネットモラルを守れない人もいた。
いわゆる出会い厨というもので、出会い厨は前置詞さんの周りの女の子に声をかけ、裏で「好き」や「ずっと一緒にいたい」などと甘い言葉をかけて女の子をその気にさせ、リア凸を半ば強制的に約束し、リア凸ではホテルに誘いオフパコをするという人がいた。
でも、そんな人も前置詞さんは受け入れ、そしてその事を叱った。
前置詞さんは人間として尊敬できる人だった
あくまで過去形だ。今はもう違う。そんな優しく、包容力のあった人でも、今ではただの出会い厨。
自分のリスナーを食い散らかして
裏ではエロイプなどをするようになっているらしい。
エロイプをすることが別に悪いという訳では無い。お互いの同意の上でするならいいのだ。
だが、昔にそんな人たちを注意していた人がそこまで落ちたと思うと、絶望しかなかった。
そしてやはり最後には、あのグループに戻るのだ。困った時は助けてくれて、落ち込んでいる時はみんなでゲームをして元気づけてくれる。
例え人間を信じられなくったとしても、あの人たちは絶対に裏切らないと信じられるほどに僕は、あの人たちを信頼している。
では、僕が平和グループに相談した話を一つしよう。これは、中1の夏のお話。
僕が少しずつ、友達を作ろうとリアルでも頑張っていた時の話。夏に僕は話したこともない相手に恋心を抱いていた。
初めてのことで、僕は平和グループのみんなにその事を話した。自分のタイプどストライクな女の子がいて好きになったことを
それを奈雛やアスタロトさんも喜んでくれた
「やっとはーくんにも春が来たんだね!!」
それに対し僕は
「いや。いま夏だよ。」
と少し冷めて僕が言うとアスタロトさんが
「そうだよ奈雛ちゃん!今は夏だよ!」
と追い討ちをかけ、一瞬沈黙が走った後、
みんなで笑っていました。
こんなことが毎日のように続きました。
そして時間は過ぎ、中学3年の受験間近…
僕は好きになった女の子に失恋した。
その時に僕を慰めてくれたのも平和グループのみんなだ。
女の子に振られた時の話はまた別の機会に詳しく話すことにしよう。
だが、僕の相談や悩みを解決してくれていたのは平和グループのみんな。
それなのに僕は何も返せていないことに、少し不甲斐なさを感じていた。
出会い厨…恋愛や性行為を目的に異性に声をかける人
オフパコ…ネットで知り合った人がリアルで会い性行為を行うこと