本
風がパラパラと頁を捲る
小さな音で目を覚ます
栞のない本は何処まで読んだのか教えてくれず
僕は諦めて読み返す
作り出された仮想空間
それでも楽しい誰かの幻想
消化した本の数だけ
僕の中には世界があって
抱えた大きな蔵書録
ゆっくりと けれど確実に
増えていく本のタイトル
先生 僕、大人になれてますか?
先生の名前を継いで
もうどれくらい経ちました?
あれから僕はちっとも成長しなくて
あの時授かった分厚い本が手放せず
未だにからかわれています
この辞書は踏み台にもなるし
いざという時は鈍器にもなります
知識を持たなければ生きて行けないよ
先生はそう言った
難しい言葉は沢山あるけど
頑張って覚えます