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終わりと始まり
空は、憎らしくなるほど澄んだ青だ。
燃えるような色に染まった紅葉との対比が美しい。
「……もったいねぇ」
そう呟いたのは、景色と裏腹に空気が淀んでいたから。
鉄の匂い。オレがいちばん慣れ親しんできた匂い。
けれど、それはオレが好む鉄の無機質な匂いとは違う。
もっと生々しい命の匂い。生きていたものの匂い。冷たくなっていく死者の匂い。
「……、何で、こんなことになってんだっけ」
何で自分は、地面に横になって空なんか見上げているのか。何でいくつもの屍の中に佇んでいるのか。目を閉じて、記憶に思いを馳せる。
こんな責任の取り方をする羽目になったのは――何でだったのだろう。