第一話 どいつもこいつも客観的に自分を見れていない痛いやつ
初めて小説(と呼んでいいのかわからないレベル)を書きました。暖かい目で読んで頂ければ幸いです。
平日のお昼。俺は椅子に座ったまま、暖かい日差しをぼんやりと浴びていた。遠目に、何やら騒がしい二軍男子が目に入る。
「俺は...負けるわけにはいかない!!村のみんなが待っているんだ...」
「wwww似てる似てるwそこのシーンまじやべぇよなw」
....どうやら彼らは今話題の無双アニメの真似をしているらしい。実に痛い。なぜ高校生にもなってそんなことができるのだろうか?痛すぎて背中がゾワっとした。
耐えられないので別の方向に視線をずらした。
「こんな感じでどうよ?かわいくね?」
「えぇ~かわい~い~」
....こいつらは顔が悪い癖にでしゃばって黒板にオリジナルの絵をかいて騒いでいるらしい。実に痛い。正直なぜあの顔で前に立って騒いで注目をあびようとするのか不思議でたまらない。
無理だ。ここも見ていられない。反対方向に視線をそらした。
(......静かだな)
ふと、教室の隅に目をやる。あいつの名前は確か、斎藤だったよな?一生懸命、学校pcをイヤホンで見ているが、なにを見ているのだろう。少し気になる....後ろを通る振りをして画面を覗いてみるか....
そうして温まった体を昼休み時間初めて動かした。
(こっそりと忍び寄る)
「うわぁ.....」
つい、言葉が漏れてしまった。斎藤に覗きがバレてしまうことを焦ったが彼はイヤホンをしているおかげで気づいていないようだ。俺が声を漏らしたのはしょうがないことだと思う。おそらくこの画面を見たものは全員同じ反応をするだろう。モニターは分割表示されていた。片方にはソ連の軍楽隊が映り、堂々とした国歌が流れている。もう片方は、ナチスドイツの戦車を紹介する映像。……なんだこの並び。こういう歴史に変な興味を持つタイプってほんとうにいるんだな....
昼休み終了のチャイムが鳴った。
斎藤の件は驚いたけどそれ以外は割といつもの日常だった。今日も変わらない。どいつもこいつも客観的に見れていない痛いやつばかり。俺はそれを眺めて、心の中で悪口を呟く。
チャイムの音が校舎全体に響く中、ふと自分の机に目をやる。ノートの隅に、昨日思いついた小説のタイトルが走り書きされていた。
「……“とある高校生の観察日記”。」
……俺も結局、同じなのかもしれない。