2000年という時間は、過去の情景を消し去るには十分すぎる時間だった
やぁみんな!元気かい?誰に言っているのかって?そこの誰でもない君だよ!
僕の名前は、クロス!クロス・タイラント!タイラント家三男として生まれ、大事に、それはもう大事に育てられた!
毎日母には教育と称した愛のムチ(暴力)で可愛がられ、兄たちにはそれはもう大人には思いもつかない子供の発想で数多のいじm…いや、可愛がられてきた!
僕が生まれた時代には1万人に1人の確率のごくごく稀に特別な才を持っている者がいる。
そして僕は特別な才を持っていた、『絶対記憶』魔法使いを目指すのであれば喉から手が百や二百出ても足りないくらいに欲しい才能。
どんな難しい魔法書でも1度見れば、たとえ習得に20年かかる魔法も僕にとっては秒単位でなんの苦労もなく習得可能なのだ!
何時この才が目覚めたのかはわからない、だけどそんな事はさして重要じゃない。
タイラント家は没落でも貴族は貴族、特権を活かしありとあらゆる魔法書を読み漁った。
時には王族に代々伝わる古代魔法や、国や世界の均衡を平気で崩すことが可能な禁忌魔法、この世の摂理をねじ曲げる方法の糸口を記した机上の空論が書かれた本。
最後のは魔法書では無いけど、そういった国家機密とされる本も読み漁っていた。
何故一介の没落貴族の三男風情に読ませる事を許したと思う?
勿論コネも無ければ別に僕が超絶イケメンで王女様に取り入って…なんて事もない。
絶対的な忠誠心も、絶大なる信頼もない、無い無い尽くしの我が家の特別待遇が許された理由、それは、特別な才より前にクソッタレな忌々しい呪いを持って生まれてきたからだ。
『魔素摂取不可』これさえ無ければ稀代の魔法使いとしてイージーモードな人生を歩めただろう。
そもそも魔素とは空気そのものと言っても差支えが無いほど空気に綺麗に溶け込んでいる物質である。
魔素が多すぎると魔法使いはもちろん、それ以外の人や動物にも大きく影響を与えてしまう。
吐き気や頭痛、目眩といった軽い症状から最悪死に至る場合もある。
逆に少なすぎると魔法使いにのみ大きな影響を及ぼす。
魔法使いとは外部から魔素を取り込み魔法を行使するものであり、火や水などの自然を操る魔法、自信を強化する魔法、自分以外のその他に影響を与える魔法。
の大きくわけて3つの系統の中から得意な魔法を使う。
魔法使いの絶対数が多い訳では無いので確実な事は言えないが
基本はこの認証で大丈夫だろう。
魔法書に書かれているのは、その魔法のイメージ、魔法詠唱、魔法陣などが書かれており、一般的には自分がイメージしやすい魔法を使う事になる。
大体の魔法使いは自然を操る魔法がイメージが湧きやすいと言う理由でこの系統の魔法ばかりを鍛えるのだが。
稀に自分には合っていない系統の魔法を死ぬ気で自身の体に叩き込むマゾヒスティックな者もいる。